アールエスタイチがエアバッグシステム搭載レーシングスーツを実戦投入!

2016/11/23

AS8Q9192アールエスタイチがアルパインスターズ社のエアバッグシステム「Tech Air」搭載レーシングスーツを実戦投入!

Racing Heroesでも紹介した究極の予測技術を搭載したAlpinestarsの「エアバッグシステム:TECH Air」を装着したレーシングスーツを世界で初めて※「アールエスタイチ」が実戦投入しました。
※アルパインスターズ社以外のメーカーでTech Airを実戦投入したのはアールエスタイチが世界初

ロードレース世界選手権 第17戦 マレーシアグランプリにおいて、Moto2のハフィス シャーリン選手と、Moto3のカイルール イダム パウイ選手、そして全日本ロードレース最終戦鈴鹿で秋吉耕祐選手(au&テルルKohara RT)が装着しました。

AS8Q7404信頼と実績のアルパインスターズ社のTech Air

最終戦鈴鹿で株式会社 アールエスタイチ 販売促進部 藤本淳一さんにお話を伺いました。

「ライディングギアで一番大切なのは“安全性”と考えているメーカーとして、Tech Airはレーシングスーツの安全性を飛躍的に高めることができるシステムだと確信しました」
「アルパインスターズ社のTech AirはMotoGPで多くのライダーが装着している実績から信頼性が高く安心して使える、と判断しました」と藤本さん。
しかし、実戦投入はこの秋に急転直下で決定が出たそうで慌てて準備を行ったそうです。

AL2H7023アールエスタイチには「T-RAPS」という日本初のネックプロテクションエアバッグシステムを採用したレーシングスーツ:GP-MAX T-RAPSがありますが、それはエアバッグシステムを搭載するためにオリジナルでスーツを造っています。本来なら、GP-MAX T-RAPSのようにエアバッグシステムに合わせたオリジナルのレーシングスーツを造るのがベストですが、前述の通り急転直下の決定となったので既存のレーシングスーツをカスタマイズして臨んだそうです。

AL2H7021「エアバッグシステム搭載のスーツは上半身のサイズが全く違います。「Tech Air」のユニットとバックプロテクターと一体となったアッセンブルを装着するためのスペースが必要であることと、エアバッグが開いたときのための伸びしろのためのシャーリングを増やす、2段階のカスタマイズが必要でした」と藤本さん。

AL2H6699「むしろ、このスーツを着ないと不安になります」

既存のスーツにエアバッグシステムを組み込むのでは装着に違和感があるのでは?と思い、実際に装着して参戦した秋吉耕佑選手にも伺ってみました。

「全く違和感はありません」「むしろ、このスーツを着ないと不安になります」

エアバッグシステム自体の重さは約2.0kg、脊髄パッドが不要になるのでその分(約500g)を差し引いても約1.5kgの重量増となるのですが、「実質+1.5kgだけど、つなぎと一体となっているので背負っている感覚はなく、身体への密着感から重さは感じません」と秋吉選手。

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「実はボク、基本は恐がりなんです

そして意外な言葉が…。「実はボク、基本は恐がりなんです」

え?韋駄天の異名をもち、アグレッシブな走りを披露する秋吉選手が怖がり?
「オートバイ競技において「安心感」はとても大切です。機械だから絶対に壊れないとは限らない。何かの拍子でどこかが壊れた時、自分では予期せぬ時、予期せぬところで、あのレーシングスピードで投げ出されたときの痛みは「凄絶」。自分のミスで転倒するときはある程度意識できるのであまり大きなケガをしないことが多いですが、不意に投げ出されたときは大ケガになりやすいのです。そんなときに、このエアバッグシステムで「守られている感」はとても大きな安心感に繋がります」と秋吉選手。

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安心感が成績アップに繋がる

また、その安心感が走りにも良い影響を及ぼすとのことです。安心感があるから今まで攻めきれなかったところで「いま一歩攻めこめる」「もう一歩イケる」と思えるそうです。全日本ロードレース最終戦ではノックアウト予選Q1で最後の最後にタイムアップ、10位に食い込みQ2進出を果たしました。

AS8Q9182のコピー「最終戦は(安心感があるので)攻められました。レースウィーク前(使用前)とレース後(使用後)では感覚が全然違います。このレーシングスーツ無しで走ることは「あり得ない」という感じです。もちろんエアバッグシステムは使わないのがイチバンですが、不可抗力の外乱的要因でマシンから投げ出された時でも「守られている」安心感は、走りの安定に繋がりますし、成績アップに繋がると思います。
エアバッグ搭載のライディングウェアが広く浸透して、一般のお客様にも安全なバイクライフを楽しんでもらえるようになって欲しいと願っています。」と絶大な評価をしていた秋吉選手でした。

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いずれは一般のお客様にもエアバッグ搭載のライディングギアを

 藤本さんに今後の予定を聞いてみました。

エアバッグシステム搭載のオリジナルスーツとしてイチから製作する方向ですが、今はまだ「装着して走った」「高評価を得た」という開発の第一歩を踏み出したところとのことです。このシーズンオフにテストを繰り返し、試行錯誤をしながら「装着感」「運動性能」「完成度」を上げていく、とのことです。

AS8Q6523_3「秋吉選手には引き続きテストをお願いし、長島哲太選手にもテストをお願いするつもりです。フィードバックのコメントが多い方が製品作りに活かせますからね。来シーズンが始まったら実践を通じてデータを収集し、細かい点を煮つめていきます。
現時点においては開発段階でありますが、将来的には限られた一部の選手だけではなく、一般のお客様にも購入いただくことができ、より高い安全性を手に入れていただくことを前提に開発を進めてまいります。まずはそれに向けての第一歩に、どうかご注目ください!」と藤本さん。

「ライディングギアにおいて一番大切なのは“安心・安全性の高さ”」と考えているアールエスタイチが日本で最初にエアバッグシステムを採用した意義は大きいと思います。全日本ロードレースのライダーはもちろん、一般ライダーのみなまさにも広まって欲しいと思います。

Photo & text : koma