Mishina’s Eye Vol.9 part 1

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2014年の全日本ロードレースは先日終了しました。今年は全クラス混戦、最終戦でチャンピオンが決定するドラマティックなシーズンでした。

今回は今から30年前の1984年、TTフォーミュラクラスのことについて2回に分けて書きます。(すみません、写真が無いので文字のみとなります・・)

それ以前の全日本選手権シリーズ国際クラスは、純然たるレーサーマシンの排気量別クラスだけで行われ、ストリートバイクをベースにしたクラスの開催はなかった。一方、鈴鹿8時間耐久レースが行われる鈴鹿サーキットでは、シルエットフォーミュラとかスーパー1000とかスーパーバイクとか、いろいろな呼び名でサンデーレースや全日本選手権に併催してレースを行っていた。鈴鹿8時間耐久レースは世界選手権となった1980年から出場マシンをFIMの規定するTTフォーミュラ1クラスに限定し行われていた。そして1984年FIMの規定が変わり、TTフォーミュラ1クラス(TTF1)の排気量上限が4サイクル・750cc、2サイクル500ccになり、TTF3クラス(排気量上限4サイクル・400cc、2サイクル・250cc)とともに、いよいよ全日本選手権シリーズの国際クラスでも開催されることになった。前年の1983年はノービスクラスでTTF3クラスが全日本選手権として開催されており、スーパーノービスと呼ばれた選手たちが各サーキットで熱戦を繰り広げた。彼らがこぞって国際B級に昇格した1984年、国際A級の選手にとって初めてのTTF3マシン。どんな戦いになるのか・・・。
開幕戦は3月10・11日の鈴鹿BIG2&4レース。予選はWETコンディションとなり、ホンダRS750Rの徳野政樹選手がポールポジションを獲得。2番手に国際B級の宮城光選手、3番手に八代俊二選手とモリワキ(ZERO−X7)2台が続き、フロントロー4番手に鈴鹿レーシングCB750の横井猛選手が並んだ。15周の決勝レースは晴れ・ドライコンディションとなり、八代選手が初優勝。2位争いは6/100秒差で宮城選手が徳野選手を征し、初戦はモリワキZERO−X7の1・2フィニッシュ。ヨシムラ・GSX750ESの三浦昇選手が予選5位から決勝4位となった。もうひとりのヨシムラGSX750ESの池田直選手は予選8位から決勝は4周リタイアとなった。

第2戦の筑波はTTF1クラスの開催は無く、TTF3クラスではモリワキ宮城選手が優勝、鈴鹿レーシングの山本浩生選手が2位と国際B級ライダーが1・2フィニッシュ。3位にモリワキの樋渡治選手が入った。

第3戦のSUGO、TTF1クラスは国際A級4台、国際B級1台の参加となり、台数不足でレース不成立。しかし折角観に来てくれ、初めてTTF1マシンを目にするSUGOのレースファンに4サイクルの号砲と迫力を知ってもらいたいということで、POP吉村さんや森脇護さんら参加者の熱意で10周のエキジビションレースが行われた。レースはヨシムラの三浦選手が、2位に22秒の大差をつけて優勝。そして2位争いは同タイムでゴールとなり八代選手が2位、宮城選手が3位という結果だった。
TTF3クラスは、国際A級3台、国際B級11台となり、ポールポジションスタートのヨシムラ三浦選手がブッチギリの優勝。2位にモリワキ宮城選手、3位に鈴鹿レーシング山本選手、4位にモリワキ福本忠選手と国際B級ライダーが続いた。

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第4戦の鈴鹿TTF1クラス。ヨシムラの三浦選手がコースレコードを塗り替えてポールポジション獲得。2番手にモリワキ宮城選手、3番手にTeam38・カワサキGPZ750の喜多祥介選手、4番手にモリワキ八代選手が並んだ。決勝は波乱だった。ウォームアップランでポールポジションの三浦選手が転倒しスタート前にリタイア。さらに決勝直前に雨が降りWETへ。ほとんど全車がレインタイヤに履き替えてレースはスタート。しかし雨はすぐに上がりコースはドライへと変わっていった。15周のスプリントレース。レインタイヤで苦戦するライダーを尻目に、あれよあれよという間にトップに浮上したのは、国際B級でTTF1クラス3戦目のTEAM TORIKO・ホンダCBXの山根千尋選手で、スペアホイールが無くレインタイヤに交換できずにスリックのままスタートしていた。結局、2位に約14秒の差をつけてキャリア初の優勝を飾った。2位にブルーヘルメットMSC・ホンダCBX750の萩原紳治選手、3位に鈴鹿レーシング・CB750横井選手が表彰台に立った。4位にTeam38喜多選手、5位にモリワキ八代選手。ピットインしてスリックに交換して猛追したモリワキ宮城選手は8位となった。
TTF3クラスは、ヨシムラ三浦選手がTTF1に続いてポールポジション。2番手にモリワキ宮城選手、3番手にモリワキ福本選手、4番手にチームカナヤ・ヤマハXJ400ZS江崎正選手。TTF1の転倒でポールポジションの三浦選手はリタイア。もうひとりのヨシムラ池田選手も予選は13位だったがリタイア。15周のレース序盤はモリワキ福本選手がトップを走るが、3位にいた宮城選手に続いて福本選手もエンジントラブルでリタイア。結局レースを征したのは江崎選手。2位にスタート出遅れ、追い上げたモリワキ樋渡選手、3位にTEAM CBX・ホンダCBR400Fの河合秀雄選手と初めて表彰台を国際A級ライダーが独占した。

第5戦の筑波はTTF1クラスの開催は無く、TTF3のポールポジションはヨシムラ三浦選手、2番手に鈴鹿レーシング山本選手、3番手はチームカナヤ江崎選手。20周の決勝レース、序盤トップを独走する三浦選手が痛恨の転倒でリタイア。国際B級の山本選手が初優勝を飾り、2位に江崎選手、3位にBEETレーシングの国際B級大島正選手。ヨシムラ池田選手は5位、モリワキ宮城選手は10位。モリワキ福本選手は3位走行中に転倒しリタイア。国際B級の辻本聡選手がDIC RT・GPZで11位だった。

第6戦SUGOのTTF1クラスは参加3台とまたしても台数不足でレース不成立。10周のエキジビションはブルーヘルメットMSC伊藤裕之選手が1位、ヨシムラ三浦選手が2位、基本マスターズ中部の榊原健二選手が3位となった。
TTF3クラスの決勝は、ようやくヨシムラの池田選手が初勝利を飾り、2位にこのクラス初出場のチームクシタニ平塚庄治選手、3位にチームカナヤ江崎選手と表彰台を国際A級ライダーが独占した。モリワキ福本選手が4位。ヨシムラ三浦選手、モリワキ宮城選手は序盤早々にリタイアだった。

 続く

special thanks : Takashi Akamatsu (photo)