Mishina’s Eye Vol.9 part 2

1984_MIYAGI前回は1984年TTフォーミュラクラスの開幕戦から第7戦までについて書きました。今回はシーズン後半の第8戦筑波からです。

第8戦の筑波ではTTF1クラスの開催は無い。TTF3クラスは、国際B級のBEET RACING大島正選手がレース序盤にトップを奪うと後続を寄せ付けない安定した速さでラップを重ね見事初優勝。2位にモリワキの宮城選手、3位にSRSスガヤのRG250Γの駒沢春治選手が2サイクル初表彰台となった。

第9戦SUGO。TTF1クラスは不成立で無い。TTF3クラスの決勝は、ブルーヘルメットMSCの萩原選手が好スタートでトップを走るが、ヨシムラの三浦選手が序盤にトップを奪うと独走。2位にチームクシタニの平塚選手、3位にモリワキの宮城選手。4位にチームカナヤの江崎選手、5位に序盤トップだった萩原選手、6位にBEET RACINGの大島選手となった。

1984_EZAKI

第10戦は、鈴鹿8時間耐久レースを挟んで9月9日、第21回日本グランプリとして鈴鹿サーキットで開催された。
TTF1クラスは最終戦の筑波での開催が無いことから、ここでタイトルが決まる。ポイントランキング国際A級ではブルーヘルメットMSCの萩原紳治選手がトップで40点、モリワキの八代俊二選手が33点で2位、3位には鈴鹿レーシングの荒木利春選手が29点で続いている。国際B級ではモリワキの宮城光選手とTEAM TORIKOの山根千尋選手が35点で同点トップ、3位にTeam38の日下直一選手が34点となっているが、今回、山根選手はエントリーはしたが出場しない。そしてヨシムラからグレーム・クロスビー選手、大友レーシングからネイル・ロビンソン選手がCBX750で出場。
曇り、ドライコンディションの予選でポールポジションを獲得したのは、ヨシムラの池田直選手。2番手にヨシムラのクロスビー選手。3番手に逆転チャンピオンがかかるモリワキの八代選手、4番手にヨシムラの三浦昇選手とフロントローにはヨシムラ3台とモリワキ1台が並んだ。ランキングトップの萩原選手は4列目予選14位の位置からスタートとなる。一方国際B級のタイトルがかかるモリワキの宮城選手は2列目6番グリッド、Team38の日下選手は5列目17番グリッド。
過去、雨のレースで好結果を残している萩原選手、一方雨では不本意なレースが多い八代選手。雨となってしまった15周の決勝レース。渾身の走りで八代選手がトップを守りきり、開幕戦に続いて2度目の優勝を獲得。2位には宮城選手が約3.7秒差で入りモリワキの1・2フィニッシュ。3位には宮城選手から1.4秒遅れでヨシムラのクロスビー選手が入り、4位に喜多祥介選手、5位に萩原選手となった。この結果、国際A級では八代選手と萩原選手が56点、クラス優勝2回、クラス4位1回、ノーポイント1回と同率で並んだが、日本GPで優勝した八代選手が初代全日本選手権TTF1クラス・チャンピオンに輝いた。国際B級はモリワキの宮城選手が日下選手に8点差をつけてチャンピオンとなった。
TTF3クラスの予選、ポールポジションはチームカナヤの江崎選手が獲得。2番手にヨシムラの三浦選手、3番手にブルーヘルメットMSCの萩原選手、4番手にブルーヘルメットMSCの森光一馬選手がフロントローに並んだ。ヨシムラの池田選手が5番手、6番手には磐田レーシングファミリーの鈴木隆選手、そしてヨシムラからTTF3初出場となるクロスビー選手が7番手、8番手にモリワキの宮城選手と続いた。15周の決勝は三浦選手が独走優勝、クロスビー選手が2位とヨシムラの1・2フィニッシュ。3位に宮城選手、4位に江崎選手が入った。この結果、国際B級クラスのポイントトップは宮城選手129点、ランキング2位の大島選手109点となり、その差20点。最終戦で大島選手が優勝を飾り、宮城選手がノーポイントの場合は同点となるが、クラス優勝5回の宮城選手がクラス優勝1回の大島選手より上位入賞回数で上回っているのでランキング上位となる。最終戦を待たずにTTF3国際B級のタイトルも宮城選手のものとなった。

第11戦の筑波TTF3クラス。ポールポジションはBEET RACINGの大島正選手、2番手にTEAM HRCの山本陽一選手、3番手にTEAM CBXの河合秀雄選手、4番手にモリワキの宮城光選手。国際A級ポイントリーダーのチムカナヤ江崎正選手は2列目6番グリッド。国際A級のタイトル争いは江崎選手105点と河合選手90点の二人に絞られている。20周の決勝レースは、国際B級ライダーが表彰台独占。優勝は大島正選手、2位宮城光選手、3位RTハニービーの幡谷壮太選手だった。国際A級では平塚庄治選手が4位、河合秀雄選手が5位、江崎正選手が7位となり、国際A級TTF3初代チャンピオンはチームカナヤの江崎正選手が獲得した。
ざっと1984年のTTフォーミュラクラスのレースを振り返ったが、1983年にスーパーノービスと騒がれ、ノービス250ccとTTF3の全日本選手権ノービスのダブル・タイトルで国際B級に昇格した宮城光選手が、1984年はTTF3とTTF1の国際B級ダブル・タイトルを獲得。そして国際A級TTF1のチャンピオンとなった八代俊二選手。TTF1が開催されなかった筑波ではモリワキのTZ250に乗り国際A級250ccクラスにも出ていた。第2戦11位、第5戦5位、第8戦2位表彰台に立ち、3レースのみの参戦でランキング15位になっている。このチャンピオン二人を擁するモリワキレーシングが、1984年終わりの約1ケ月半、オーストラリアのスワン・シリーズと、続いて開催されるニュージーランドのゴールドカップ・シリーズに挑戦した。

 

次回から何回か、その時のことを思い出しながら書き始めようかなと思っている。

special thanks : Takashi Akamatsu (photo)