Mishina’s Eye Vol.15-1

1984_Australia-12-8_1229さてさて、スワンシリーズ最終戦の決勝。ここまで優勝2回、2位2回、3位1回のガードナー選手がマッケルニア選手をリードして1984年スワンシリーズのタイトルに最も近いところにいる。練習走行でガードナー選手は足回りのセッティングに手こずっていた。一方のマッケルニア選手は2’14”05というタイムを前年記録していて、このコースのレコードホルダー。彼もセッティングに苦労していたようだ。好調なのはTZ750のドーソン選手。オーランパークのレース2で転倒し両足骨折のジョンソン選手のRS500にキャンベル選手が乗って戦う。もちろんジョンソン選手は欠場。宮城選手もまだ鎖骨骨折が癒えておらず欠場。フィリス選手のマシンは400ccのアルミフレームにGSX750ccベースのエンジンのボアとストロークを変更して1000ccまでアップしたマシンで戦っている。そのフィリス選手と八代選手は同ポイントでランキング7位に並んでいる。

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サーファーズパラダイス・インターナショナルレースウェイは時計回りの1周3.2km。前回のオーランパークが2.6kmでラップタイムが1’16秒ほど。ここもラップタイムは1’15秒前後となり、かなりハイスピードコースだ。メインストレートは700m少々で真ん中あたりにスタート・フィニッシュラインがある。ダンロップブリッジを抜けると大きな半径の右1コーナー。そしてゆるやかなRの直線がありちょっとタイトな右2コーナーの先に短いストレートがある。初めての左コーナーが第3コーナー。また短い直線の先にゆるいヘアピン状の4コーナー。そしてその先が左、右と切り返すS字コーナーで最終右コーナーへ続いていく。右5つ、左2つの合計7というコーナー数。

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15周の決勝レース1、ポールポジションはポイントリーダーのガードナーで外側にいる。今回は出走10台と言うことで、なんと全車横1列のスタート。スタート前に2周のウォームアップランが行われ、再び横1列のグリッドへ。逆転でタイトルを狙っているマッケルニアはウォームアップでスタート練習を念入りに行っていた。マーシャルバイクはホンダCBX750XとカワサキGPZ900Ninjaの2台。フラッグが振り下ろされレーススタート。ガードナー、マッケルニア、八代がスタート失敗。好スタートは内側からドーソンあるいはフィリス。オープニングラップ、トップで通過はドーソン。2番手にフィリスだが猛スパートでスタートの遅れを取り戻したマッケルニアがピタリと背後につけている。

1984_Australia-12-6_11192周目に入るとガードナーも追い上げ4位争いをミドルミスと展開。そして3周目、マッケルニアがトップのドーソンに仕掛けていく。S字でたまらずトップのドーソンがコースアウトで大きく遅れ最後尾へ。ジョンソンのRS500に乗るキャンベルが1コーナーで激しく転倒し戦列を離れた。手首を骨折してしまったようだ。4周目にガードナーがフィリスを攻略して2番手に上がり、トップのマッケルニアに迫っていく。八代はイッドンと5位争いをしている。5周目、テール・トゥ・ノーズとなったトップ争い。離された3位フィリスの後方からミドルミスが追い上げてきている。

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まもなく3位争いになりそう。八代が少しイッドンを離して5位を走るが、6周目に再びイッドンがピタリと付けてきた。トップ争いはポイント差を考え無理をしない作戦に出たのかガードナーが少しマッケルニアとの間隔を持つ。7周目最終コーナーを先に立ち上がった八代のスリップからイッドンが抜け出し5位へあがる。8周目に入ると一度は最後尾に落ちたドーソンが激走を見せイッドンと八代の5位争いに加わってきた。そして9周目にはドーソンが二人を抜いて5位に浮上。後ろを振り返ったマッケルニアにガードナーが急接近しトップを伺うが、マッケルニアが何とか抑えた。10周目、3位のフィリスのテールにミドルミスがピタリと付ける。4サイクル1000ccのフィリスと2サイクル500ccのミドルミスの戦いも激しくなってくる。フィリスのペースが上がらない。11周目に入るとマッケルニアとガードナーの間隔が少し広がった。12周目、ミドルミスがフィリスを捉え3位へ。さらにペースの上がらないフィリスの真後ろにドーソンが迫った。相変わらずイッドンと八代はポジションを何度も入れ替えながら6位を争っている。14周目にはマッケルニアとガードナーの間にラップ遅れが1台入るが大きなロスタイムは無い。残りわずかとなり、ガードナーは無理をしてマッケルニアを追いかけない。そして最終ラップ。マッケルニアがこのシリーズ2勝目となるチェッカードフラッグを受けた。2位にガードナーでタイトルに大手をかけた。最終ラップにフィリスを仕留めたドーソンがミドルミスに迫るもわずか届かず、3位ミドルミス、4位ドーソン、5位フィリスとなった。そして6位争いは最終コーナーを先に出てきた八代だったが、それまでと同じようにストレートでイッドンに並ばれて7位となってしまった。

つづく

 

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