いよいよ2026年全日本ロードレースの最終戦を迎えた。水野涼(SDG DUCATI Team KAGAYAMA)がチャンピオンを決めるか。そして中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)の現役最後のレース。本人は「そのことに触れてくれるな」とシーズン当初から言ってきたがこのレースだけは言わせてもらう。誰も超えられない偉大な記録を数々樹立してきた中須賀の最後の走りだ。しっかりと目に焼き付けておきたい。
そして最終戦は役者が揃った。鈴鹿8耐5連覇中のホンダワークス高橋巧(Honda HRC test team)、EWCフル参戦チームから浦本修充(AutoRace Ube Racing Team)、渥美心(Yoshimura SERT Motul)、ジョン・マカフィ(F.C.C. TSR Honda France)も参戦。今シーズンを締めくくるにふさわしい豪華な顔ぶれがとなった。
このレースウィークは木曜日の特別スポーツ走行から始まった。午前中は赤旗中断が相次ぎ、十分な走行時間を確保できないライダーもいたが、午後には各車がペースアップした。
なかでも強烈な存在感を示したのが浦本修充だ。1分04秒1という驚異的なタイムを記録。しかも使用するBMWは昨年の最終戦鈴鹿で走ったマシンそのまま(2024年型のマシン)だという。
EWC最終戦は悔しいリタイアとなったので「ここでBMWが如何に速いかを見せつけるためにブチかましますよ!」と鼻息も荒い。
「今年は内容が悪くなかったのに結果につながらず、悔しい思いがありました。このレースこそ結果につなげたいです」世界で戦ってきた浦本が、その実力を見せつけた。
一方HRCの高橋巧は鈴鹿8耐以来約4カ月ぶりの走行。鈴鹿8耐仕様をベースとしたマシンでスプリントレースに挑むには「セッティングを詰める時間が足りません」という。「HRCとしてスプリントレースに臨むのは2019年以来7年ぶりです。スプリント仕様になって軽くなっているからセットも変わってきます。そのアジャストの時間が足りません。それでも思っていた以上にタイムは出たな、という感じです」と手応えを口にした。
今季未勝利の中須賀克行。2本目で2番手につける好調な滑り出しを見せた。昨年は最終戦初日の転倒で負傷しただけに、まずは無事に走行を終えることを念頭に、マシンとタイヤの比較を進めた。絶対王者は最後の一戦で意地を見せられるか。
そして、タイトル獲得を目前にした水野涼は、意外なほど明るい表情を見せていた。浦本や高橋、中須賀など高い山々に囲まれながらも
「めっちゃ楽しいです。ライバルが増えるのはすごく嬉しい」
強敵が揃ったことを誰よりも歓迎する水野。タイトルを守りにいくのではなく、この豪華メンバーを相手に勝ちにいくという。
「今回はシンプルに勝ちにいきたいです。今シーズン初めてそう思いました。今回の鈴鹿での優勝はものすごく価値があると思うので」
チャンピオン獲得のプレッシャーは微塵もない。初日にトップタイムをマークできなくても楽しめている。昨年までの水野だったら苛立ちを隠せず落ち着かなかっただろう。今シーズンの水野は本当に俯瞰できる強さを身につけた。
王座獲得を目前にした男、復活を期す絶対王者、悲願の初優勝を遂げた男、そして世界から帰ってきた強者たち。
それぞれの思いが交錯する鈴鹿。2026年の最終決戦は、これ以上ない舞台が整った。
全日本ロードレース選手権シリーズ 第7戦 第58回 MFJグランプリ スーパーバイクレース in 鈴鹿 特別スポーツ走行 TOP10は以下の通り
1:#3 浦本 修充 2’04.188 AutoRace Ube Racing Team
2:#1 中須賀 克行 2’05.002 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
3:#30 高橋 巧 2’05.015 Honda HRC Test team
4:#4 野左根 航汰 2’05.116 Astemo Pro Honda SI Racing
5:#92 國井勇輝 2’05.477 SDG Team HARC-PRO. Honda
6:#88 水野 涼 2’05.49906 SDG DUCATI Team KAGAYAMA
7:#35 MCPHEE John 2’05.722 F.C.C. TSR Honda France
8:#6 岩田 悟 2’05.968 Team ATJ
9:#95 西村硝 2’06.023 S-SPORTS SUZUKI
10:#85 津田 拓也 2’06.219 Team SUZUKI CN CHALLENGE
Photo & text:Toshiyuki KOMAI
























