来た!中須賀克行がトップタイム! 水野涼、野左根航汰と0.077秒差のハイレベルな超接戦

2026/10/23

2026年全日本ロードレース選手権最終戦、鈴鹿サーキットでの走行2日目。金曜日はART合同走行が2本行われ、JSB1000クラスは驚くほどハイレベルなタイムアタック合戦となった。

その頂点に立ったのは中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)だった。今シーズン未勝利。数々の偉業を成し遂げてきた絶対王者が、最後の鈴鹿で再びその速さを見せつけた。

2番手は水野涼(SDG DUCATI Team KAGAYAMA)。中須賀との差はわずか0.027秒。そして3番手の野左根航汰(Astemo Pro Honda SI Racing)は水野から0.050秒差。トップ3台が0.077秒以内にひしめく大接戦となった。4番手にはF.C.C. TSR Honda Franceのジョン・マクフィー、5番手に浦本修充(AutoRace Ube Racing Team)、6番手に長島哲太(DUNLOP Racing Team with YAHAGI)、7番手に高橋巧(Honda HRC Test team)。トップ8台が2分4秒台に入るという、最終戦にふさわしい激戦模様だ。

今回、ブリヂストンは予選用タイヤを投入した。明日の予選は雨予報、使用する機会もないだろうと午後の走行で各ライダーが次々とタイムアタックに挑み、まるで予選さながらの展開となった。

そんな中、久しぶりにトップタイムで2日目を締めくくった中須賀は、穏やかな表情を見せた。

「昨日からタイヤの攻撃性を少しでも改善できないかと時間を使って、なんとかいけるだろうというセットが見つかりました。最後は予選用タイヤでアタックしましたけど、久しぶりにトップタイムで終われたのは気持ちがいいですね」

中須賀が重視していたのは一発の速さだけではない。リアタイヤの摩耗を抑えながらレースペースを維持すること。全面コース改修した鈴鹿サーキットはグリップ力が向上した反面、タイヤへの攻撃性が増してタイヤの表面が荒れることが多くなった。その両立を中須賀はマシンセッティングによって改善の糸口を見つけた。

「ドライでの感触は非常にいい。いい状態で終われたと思います」

今季、苦しい戦いを続けてきた中須賀が、最後の鈴鹿で見せた確かな手応え。その走りに期待せずにはいられない。

一方、わずか0.027秒差で2番手となった水野涼は、開口一番こう言った。

「めちゃくちゃ悔しいです。中須賀さんに負けたので」

昨日は強敵の参戦を心から喜んでいた水野だが、今日は純粋に負けたことを悔しがった。

「みんな同じ予選用タイヤでアタックしたので、シンプルに負けたのが悔しいです。セクター4でミスしてしまって。。たらればですがベストをつなげれば3秒台に入れたと思うんです。1周をまとめられなかったのは自分の反省です」

ただしそれとレースとでは話が違う。決勝に向けてのマシンの仕上がりについては順調だという。「昨日から車体のセットアップを大きく見直し、午前中にはフィーリングが大幅に改善しました。午後はタイヤの摩耗を考慮してリアを硬めのタイヤに変えて、アベレージも刻めました」と手応えを得た。

「決勝に向けて不安は全然ないです。できればドライでレースがしたい。このすごいメンバーの中で勝ちたいので」

チャンピオン獲得まであと2ポイント。だが、水野の視線はタイトル獲得の先にある。この強力なライバルたちを相手に勝ってシーズンを締めくくりたいという思いだ。

3番手に入った野左根航汰は、意外にも厳しい表情だった。

「正直、全然良くないです」
もてぎから大きく変更されたマシンで鈴鹿を走るのは今回が初めて。鈴鹿8耐でのセッティングを参考にしたものの、思うような走りができず、試行錯誤を続けているという。

「最後は中須賀さんの後ろについてタイムを出せましたけど、自力で再現できるかというと、まだ微妙です。まだまだ不安要素はたくさんあります」トップから0.077秒差の3番手。それでも満足できない。タイムシートには表れない苦悩があった。

対照的に、5番手の浦本修充は決勝に向けて着実に準備を進めていた。昨日は予選を想定したアタックで速さを見せたが、今日はレース用タイヤでのロングランに専念。約17周使用したタイヤで、17周目に2分4秒8を記録したという。

「レースを想定したタイヤとセッティングで、いいアベレージが刻めました。不安要素が消えた状態で明日を迎えられそうです」

一発のタイムでは5番手でも、決勝での戦闘力は未知数だ。世界で戦ってきた浦本が、強力なライバルとなることは間違いない。

「2分4秒台で走るとものすごく疲れます。体力の消耗も激しく、みんな決勝レースは4秒台ではなく5秒台で走って欲しいです」とコメント。イヤ、それは周りのライダーが浦本に対して思っていることだと思うのだが。。

一方、鈴鹿8耐5連勝中の高橋巧は7番手。レース用タイヤで走行を重ねたが、マシンはまで詰めきれていないようだ。

「全然リズムが取れないですね」鈴鹿8耐仕様をベースとしたマシンをスプリントに合わせ込む難しさに加え、タイヤの摩耗も課題となっている。14周ほどのロングランでは2分5秒台中盤から後半のペースを刻んだが、本人の評価は厳しい。

「このままだと厳しい勝負になると思います。やはり時間が足りないですね。さらに詰める時間が欲しいです」鈴鹿8耐で圧倒的な強さを見せる高橋でさえ、簡単には攻略できない。それほど今回の最終戦はレベルが高い。

明日はいよいよ公式予選とレース1。天候は雨の予報となっており、金曜日までの勢力図が大きく変わる可能性もある。

一発の速さを見せた中須賀、王座目前でも勝利にこだわる水野、苦悩しながらも速さを見せる野左根、決勝に向けて着実に仕上げてきた浦本。それぞれが異なる状況で迎える最終決戦はどんな展開になるのか。果たして、誰がこの豪華メンバーによる戦いを制するのか。鈴鹿の週末が、いよいよ熱を帯びてきた。

全日本ロードレース第8戦 全日本ロードレース選手権シリーズ 第7戦 第58回 MFJグランプリ スーパーバイクレース in 鈴鹿 特別スポーツ走行 TOP10は以下の通り

1:#1 中須賀 克行 2’04.016 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2:#88 水野 涼 2’04.043 SDG DUCATI Team KAGAYAMA
3:#4 野左根 航汰 2’04.093 Astemo Pro Honda SI Racing
4:#35 MCPHEE John 2’04.480 F.C.C. TSR Honda France
5:#3 浦本 修充 2’04.616  AutoRace Ube Racing Team
6:#30 長島 哲太 2’04.753 DUNLOP Racing Team with YAHAGI
7:#30 高橋 巧 2’04.897 Honda HRC Test team
8:#14 渥美 心 2’04.928 Yoshimura SERT Motul
9:#92 國井勇輝 2’05.131 SDG Team HARC-PRO. Honda
10:#85 津田 拓也 2’05.142 Team SUZUKI CN CHALLENGE

Photo & text:Toshiyuki KOMAI