野左根航汰 世界への挑戦!WSBKフル参戦決定インタビュー

2020/10/22

野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM))が来季ワールドスーパーバイク選手権(WSBK)にフル参戦することが発表された。チームは「GRT Yamaha WorldSBK Junior Team」。今シーズン開幕6連勝と飛ぶ鳥を落とす勢いの野左根にWSBK参戦についてインタビューする機会を得た。

WSBK参戦が決まった時の気持ちは?

「今年の9月のアタマに最初の打診がありました。自分はワールドスーパーバイク選手権に行くことが目標だったので率直に嬉しかったです。世界のトップライダー達と一緒に走れるのが楽しみであると同時に自分がどれだけ通用するのか、という不安もあります。」

WSBKを目標にした理由は?

「一昨年くらいから行きたいと言う気持ちが芽生えました。MotoGPは夢ではありますがWSBKは自分の目標でした。」

「自分が今闘っている全日本ロードレース(JSB)と同じような環境にあるのがWSBKだと思います。現実的にJSBから一番道が近くて、全日本ロードレースのパフォーマンスを発揮できるのがWSBKだと思っていました。MotoGPはマシンも違いますし、違うスキルも求められます。WSBKでチカラをつけたらMotoGPに行きたいと言う夢はあります。」

「去年までは中須賀選手に負けていることが多かったですが、今年はしっかりと闘えているかな、と思います。今年に入ってから世界(WSBK)に行きたい、とヤマハに対して希望を出していました。」

初めて走るコースが多いですが

「ほとんどが初めて走るコースです。不安はありますが誰もが通る道なのでしっかりと走りたいです。事前の研究やイメージトレーニングなどできることは全部やって現地に行きたいと思います。」

WSBKはピレリタイヤですね。

「履いてみないとわかりませんがそこはあまり意識していません。4年前とは自分も成長していますし、ピレリタイヤも当時と同じではないと思いますし。」

WSBKでチャンピオン獲得までの流れを考えていますか?

「そこまでは考えていません。先の先まで考えるのが得意ではない、ということもありますが、先ずは目の前にある目標に対して100%のチカラを発揮してクリアしたいと思います。もちろん最終的にはその姿が理想ですが、先ずは全日本ロードレースでチャンピオンを獲ることが目標です。」

「ギャレット・ガーロフ選手が起用1年目で表彰台を獲得しています。「GRT Yamaha WorldSBK Junior Team」のチーム力の高さを証明していると思います。自分に求められるのはやはりギャレット・ガーロフ選手と同様のリザルトだと思うので、同じような結果が出せるようにしっかりと走りたいと思います。」

4年前にEWCに参戦しました。その時と今とでは挑む気持ちに違いはありますか?

「世界に出る、と言う面では同じですので全身全霊で臨むという気持ちに変わりはありません。但、レースの性格が違います。EWCはチームで闘います。どちらかというと自分がマシンに合わせるイメージですが、WSBKは個人の闘い。マシンのセッティングの方向性も決定も全て自分で行います。自分が主軸となってマシン開発を行っていくので言葉(英語)は重要だと思います。現在、一生懸命英語を勉強しています。」

WSBK参戦が決まった今、中須賀選手に対する想いは?

「世界に行くなら中須賀選手を倒してから、という条件を自分に課していました。ケジメでもあります。ですがわかっていたとは言えすごく難しいです。前戦オートポリスの件も自分の実力不足から起きたことは明白です。

「WSBK参戦が決まった時も自分のことのように喜んでくれましたし、参戦決定に至る過程の中でも間に入って助けてくれました。それだけにオートポリスの結果は申し訳ない気持ちでいっぱいでした。」

「自分のことのように親身になってくれたので自分にできる事で恩返ししたいです。中須賀選手を目標にしたからこそ今の自分があるので感謝の言葉しかありません」

2015年、ヤマハの若手育成チーム:YAMALUBE RACING TEAMから参戦。2年を経てワークスチーム:YAMAHA FACTORY RACING TEAMへ昇格。そこには言わずとしれた絶対王者の中須賀克行がいた。「越えるべき大きな山」その存在はあまりにも大きい。中須賀は常に「俺を越えていけ。もちろんそう簡単には越えさせないけどな」と言っていた。後輩を鼓舞しながら自らも成長する。そうやって二人で共にレベルを上げてきた。

今年、中須賀を越えることができそうだ。昨年までは中須賀の転倒やケガによる不調などの時に勝ってきた。本当の勝利では無いことは野左根自身がわかっていた。だからこそ「今年はしっかりと闘えている」というコメントに自信がうかがえる。全日本ロードレースで鍛え上げたフィジカル、メンタル、テクニック、全てを駆使して世界で思い切り闘って欲しい。決して簡単な道ではないが、自らの努力でここまで進化したのだ。必ず道は開けると確信している。頑張って欲しい。

Photo & text : Toshiyuki KOMAI