2022全日本ロード第8戦 鈴鹿 決勝レース1

2022/11/05

レース1。20周の長丁場を中須賀克行が制する。2位:渡辺一樹、3位に清成龍一が入った!

20周のレース1、中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が自身とレースをマネジメントしてポール・トゥ・ウィン。今季11連勝目を挙げる。2位に渡辺一樹(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)3位には大怪我から復帰した清成龍一(TOHO Racing)が表彰台を獲得した。

最終戦は史上初の3レース制。土曜日にレース1(20周)、日曜日にレース2(12周)とレース3(15周)が行われる。グリッド選定方式も変則的で、公式予選のベストタイムがレース3のグリッドとなる。セカンドタイムがレース1のグリッド、そしてレース2は決勝レース1のベストタイム順にグリッドが決まる。

アタックラップ1周目に中須賀がいきなり2分4秒805のスーパーラップを叩き出す。これには場内も騒然。渡辺一樹も2分5秒台に入れてくるが「予選では5秒台を狙います」と言っていた亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)が2分5秒912をマークして2番手に入る。タイヤを履き替えた中須賀がダメ押しの2分4秒487をマークしてダブルポールポジションを獲得した。渡辺一樹が2分5秒608にタイムアップ、レース1、レース3共にセカンドグリッドを獲得した。亀井もレース1、レース3共に3番グリッド、フロントローからのスタートとなる。

決勝レース1は14時10分にスタート。ホールショットは濱原颯道(Honda Dream RT桜井ホンダ)が奪う。そして8番グリッドの岩田悟(Team ATJ)もロケットスタートを決めて2番手で1コーナーに進入する。3番手岡本裕生(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)、4番手渡辺、5番手中須賀の順でS字を立ち上がる。

バックストレートで濱原のスリップを抜けて岩田がトップに立つとそのままオープニングラップを制する。2番手に濱原、3番手に渡辺、4番手中須賀、岡本は5番手にポジションダウン。6番手清成、7番手亀井、8番手作本輝介(Astemo Honda Dream SI Racing)、9番手秋吉耕佑(Murayama.Honda Dream.RT)、10番手榎戸育寛(SDG Honda Racing)の上位10台。

濱原は2周目のスプーンでイン側の縁石に乗り上げてしまい渡辺と中須賀にかわされて4番手。岩田は2周に渡りトップを引っ張るが、3周目のホームストレートで渡辺がトップを奪う。さらにバックストレートで中須賀にかわされて3番手。

「風が強くて後ろで走るよりは前に出たほうがリスクが少ないと思った」と言う渡辺がトップでレースを引っ張る。「20周の長丁場でタイヤを含めたマネジメントが必要だったので序盤で走るペースを決めていた」という中須賀は後ろにつく。渡辺が前に出たから後ろについたが、仮に自分がトップに立ったとしてもそのペースは守るつもりでいた。

渡辺は2分7秒前半のタイムで12周に渡りトップを走行する。中須賀はコンマ1秒ほど後ろからピタリとつけてプレッシャーを与える。しかし次第に渡辺のマシンのバランスが崩れてきた。「新しいセットアップにしてからロングをやってなかったのでこの現象は初めてでした」

レースが動いたのは15周目。1コーナー侵入で膨らんだ渡辺のインから中須賀がトップを奪う。しかしS字の侵入で再び渡辺が抜き返す。その先のシケインでも膨らんだ渡辺のインを刺す。シケイン立ち上がりからMCシケイン進入で再び渡辺が抜き返すデッドヒートを展開。だがMCシケインでオーバーランした渡辺を中須賀が抜き返すとここで勝負があった。16周目のタイム差は一気に1秒2まで開いてしまう。トップに出た中須賀は2分6秒前半にラップタイムを上げ17周目に2分6秒215のファステストラップをマーク、そのままトップチェッカー!ここまで負け無しの11連勝を飾る。2位に渡辺、悔しさを滲ませる。

今シーズン開幕前のテストで転倒して大きな怪我を負い治療とリハビリを続けてきた清成。全日本ロードは9月のオートポリスから復活。具合はだいぶ良くなって来ているもののまだ完全ではない。予選7番グリッドからスタート。岡本、濱原、亀井たちとの序盤の混戦を抜け出し単独3番手を走行していた。ラップタイムペースも2分 7秒前半から6秒後半と中須賀、渡辺と変わらないペース。中盤に2.6秒あった差が次第に縮まり、19周目に渡辺が最終シケインで止まりきれずグラベルに出たためその差が一気に0.213秒にまで縮まりテール・トゥ・ノーズのバトルを展開するが僅かに追いつかず。だが久しぶりに清成が表彰台に戻ってきた。

優勝:中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)記者会見

「20周の長丁場なのでタイヤのマネジメントを考えながら、序盤はタイヤを温存させて後半に仕掛ける形を考えていました。サインボードでOKサインが出たので仕掛けましたが抜くのに苦労しました。前に出てからは自分のアベレージをしっかり刻み込むことだけに集中しました。終盤にタイヤをしっかりと使い切ると言う組み立てで勝つことができたのでとても良かったです。」

2位:渡辺一樹(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)記者会見

「風がすごく強くて人の後ろについてる状態の方がちょっと怖さを感じたので前に出ました。20周と長いので自分のペースでタイヤを温存しながら走りました。もう少しタイムを上げられるかなと思っていたのですが、レース後半にバイクのバランスが崩れてきてその隙を突かれて前に出られてしまいました。明日はペースも上がると思うのですがマシンを改善して負けないように臨みたいです」

3位:清成龍一(Astemo Honda Dream SI Racing)記者会見

「20週は長くて体力的にキツかったです。タイヤに厳しいレースになるのはわかっていたので、フリー走行と予選を使ってチームが良いバイクを作ってくれました。感謝しかありません。自分はまだ本調子ではないのですが明日は今日より短いレースなので良い結果が出せるように頑張ります。」

全日本ロードレース最終戦 鈴鹿 決勝レース1上位10位は以下の通り。

優勝:中須賀克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2:渡辺一樹 YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN
3:清成龍一 Astemo Honda Dream SI Racing
4:亀井雄大 Honda Suzuka Racing Team
5:岡本裕生 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
6:作本輝介 Astemo Honda Dream SI Racing
7:榎戸育寛 SDG Honda Racing
8:岩田悟 Team ATJ
9:濱原颯道 Honda Dream RT桜井ホンダ
10:秋吉耕佑 Murayama.Honda Dream.RT

Photo & text:Toshiyuki KOMAI