2018全日本ロードレース第2戦鈴鹿 決勝レース2

2018/04/24

これぞワークスバトル!中須賀克行と高橋巧の一騎打ち!制したのは中須賀、2位高橋、3位にカワサキ渡辺一馬!

ホンダワークスが復活してみんなが観たかったのはこう言うバトルではないだろうか。
中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)と高橋巧(Team HRC)の壮絶なガチバトル!制したのは中須賀、今シーズン開幕4戦連続ポール・トゥ・ウィン!昨年からの連勝記録を8に伸ばす。2位に高橋巧、3位は今シーズン早くも2度目の表彰台の渡辺一馬(Kawasaki Team GREEN)

全日本ロードレース第2戦「NGK SPARK PLUGS SUZUKA 2&4 RACE」の決勝レース2は気温23度、路面温度41度のコンディションでスタートした。

ホールショットは高橋巧が奪い、渡辺一馬、津田拓也(ヨシムラスズキMOTULレーシング)、中須賀、加賀山就臣(Team KAGAYAMA)の順に1コーナーに進入する。渡辺一馬が3コーナーでトップを奪うと逆バンクで高橋巧が奪い返す。中須賀はヘアピン手前の110Rで渡辺一馬を抜いて2番手に浮上する。オープニングラップから激しいトップ争いを見せる。

 「スタートから自分でペースを作って離せるだけ離して、付いてくる数台と勝負したかった」という高橋の作戦。

「リアタイヤにソフトを選択したので序盤にアドバンテージがあると思っていた。レース1ではタイヤを温存させたのでペースを作れなかった」という渡辺一馬。

「オープニングラップで渡辺選手にちょっとひっかかった隙に高橋選手との差が開き「ヤバイ」と思った。しかし、自分はアベレージタイムを持っているので落ち着いて追いかけた」とう中須賀。

オープニングラップは高橋巧、中須賀、渡辺一馬、津田、野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)、秋吉耕佑(au・テルルMotoUP RT)、加賀山、高橋裕紀(MORIWAKI MOTUL RACING)、渡辺一樹(ヨシムラスズキMOTULレーシング)、清成龍一(MORIWAKI MOTUL RACING)の上位10台。

「序盤から飛ばして数台に絞りたかった」という高橋の言葉通り、3周目にはファステストラップ2分6秒013をたたき出す。これに中須賀も反応、4周目に2分6秒126のベストタイムを出して高橋を追う。

2分6秒台前半で周回できたのはこの2台のみ。渡辺一馬も3周目に2分6秒543のベストラップを刻むが、前を行く2台には追いつけず、単独3番手走行となる。

その後方では津田、野左根、秋吉の4位争い。しかし2周目の130Rで野左根がオーバーラン、これで秋吉と津田の激しいバトルが始まる。8周目に秋吉が津田をかわして4番手に浮上する。野左根は渡辺一樹との6位争いを展開する。

14周にわたり、高橋巧と中須賀の接近戦は続いた。その差はコンマ数秒。しかも2分6秒台のハイレベルな超接近戦。”後ろから様子を伺い終盤に抜いてその差を広げる”という中須賀のいつものパターンかと思いきや、今回は様子が違った。

「2分6秒中盤から後半のペースで非常に速い。自分もしっかり集中しないと高橋選手についていけない。今年に入って速い場所、遅い場所が似てきた。抜きどころは少なく前に出ようとすればオーバーランしそうになった。高橋選手の後ろで必死に自分自身と格闘しながら、タイヤと相談しながら走った」との中須賀のコメントに厳しいレース展開が伺われる。

レースが動いたのは15周目。2コーナーで中須賀がパス、しかしその先の3コーナーで高橋巧はコンパクトなラインから中須賀のインを刺す、クロスラインで立ち上がるがS字は高橋巧が押さえる。「まさか3コーナーで高橋選手が刺してくるとは思ってなかった」と驚く中須賀。「2コーナーは中須賀選手の方が速いのはわかっていた。ここ(3コーナー)で抜けなかったら離されるだけだと思って無理やり抜き返した」と高橋巧。マシンにも自分にも自信があったからだろう。

バトルはそれだけは終わらない。中須賀はヘアピン手前の110Rで高橋巧をパス、テール・トゥ・ノーズでスプーンを立ち上がるとバックストレートで今度は高橋巧が抜き返す。「裏ストレートは間違いなく自分の方が速いとわかっていた」と高橋巧。シケインのブレーキング勝負も高橋巧が押さえる。

ワークス同士の意地のバトルに会場内が沸き立つ。16周目のスプーンカーブ、高橋巧のインに飛び込んだ中須賀はトップでコントロールラインを超える。驚くべきは残り2周でさらにペースを上げたことだ。終盤は2分7秒台前半のバトルであったが、トップに立ってから再び6秒台に入れた。それには高橋もついて行けず中須賀がトップチェッカー!これで開幕から4戦連続ポール・トゥ・ウィン。高橋は悔しい2位。3位には渡辺一馬が入った。

「加速でタイヤを使わないと付いていくのに必死だった。前に出てからもタイヤを温存できていなかったと実感。サインボードも見る余裕はなかった。後ろからピタリとついてきていると思ったので必死で前だけを見てペースを上げて最後の最後までプッシュした。ゴールして(高橋との)差が2秒も空いていて驚いた」「苦しめられたレースだったけど良いバトルができた」と中須賀。ここ数年聞いたことがなかった「ヤバかった」と言う言葉にこのレースの厳しさを感じられる。

「序盤に飛ばして台数を絞る作戦は上手くいった。終盤のバトルを最終ラップまで続けたかったが一歩も二歩も力及ばず負けてしまった。だけど、昨年までは最後まで争えず勝負もできていなかったが、少しずつ前進していると思う」と高橋巧。その言葉の通り、今年は中須賀に真っ向勝負を挑み、冷静かつアグレッシブに攻めている。

「先ずは表彰台に登れるマシンを用意してくれたチームとカワサキに感謝したい。昨日は温存してペースを上げきれず表彰台を逃したので今日は後のことは考えず全力で1周目から行った。しかし中須賀選手と高橋巧選手がそれよりも速いペースで走行、そこに付いて行けなかったことが反省点。現状で自分の全力を出し切ったレースだと思う。勝てなかった悔しさはあるけれど確実に進化していると思う。トップの背中をキャッチできるように努力したい」と渡辺。カワサキのエースとして2年目。開幕4戦中、2度の表彰台獲得は渡辺の進化を見せている。

全日本ロードレース第2戦「NGK SPARK PLUGS SUZUKA 2&4 RACE」の決勝レース2上位10位結果は以下の通り。

優勝:#21 中須賀克行YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2 : #1 高橋巧Team HRC
3:#11 渡辺一馬Kawasaki Team GREEN
4:#12 津田拓也ヨシムラスズキMOTULレーシング
5:#26 渡辺一樹ヨシムラスズキMOTULレーシング
6:#75 前田恵助YAMALUBE RACING TEAM
7:#090 秋吉耕佑au・テルルMotoUP RT
8:#26 高橋裕紀MORIWAKI MOTUL RACING
9:#26 加賀山就臣Team KAGAYAMA
10:#23 清成龍一MORIWAKI MOTUL RACING

photo & text : Toshiyuki KOMAI