誰が水野涼を止めるのか?開幕5連勝!
水野涼(SDG DUCATI Team KAGAYAMA)の連勝が止まらない。開幕戦もてぎ、第2戦SUGO、そして第3戦オートポリスと5回のレース全て優勝している。奇しくも今日は水野の28回目の誕生日。最高の誕生日プレゼントになったことだろう。
「今年の水野は速い」誰に聞いてもこの答えが返ってくる。誰が水野を止めるのか。
そしてもう一人の主役は中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)だろう。一時は4番手まで下がり、表彰台は無理か?と思われたがファイナルラップの最終コーナーで長島哲太(DUNLOP Racing Team with YAHAGI)をパスして2位表彰台に上がった。満身創痍。世界で闘ってきた長島も脱帽。クリーンファイトであった。
台風の接近が心配されたがオートポリスは3日間とも晴れ!絶好のレース観戦日和で大勢のお客様が来場した。気温26度、路面温度53度のコンディションの午後2時35分、昨日より3周多い18周のレース2がスタート!
ホールショットは長島が奪う。そのイン側から野左根航汰(Astemo Pro Honda SI Racing)がトップで2コーナーを立ち上がり、水野、中須賀と続く。3コーナーで長島が野左根をパスしてトップを奪い返す。第1ヘアピンの先8コーナーでは野左根が長島のイン側から、中須賀はアウト側から水野に襲いかかり順位を上げる。しかし第2ヘアピンで今度は長島が水野のイン側から野左根をパスしてトップを奪い返す。
長島、野左根、中須賀、水野の4台による前日のレース1を彷彿させる激しい順位争いに西村硝(S-SPORTS SUZUKI)が食い込んでくる。第2ヘアピン進入で水野を交わして4番手に浮上。オープニングラップから激しい順位争いが展開され、長島、野左根、中須賀、西村、水野、鈴木光来(Team ATJ)、國井勇輝(SDG Team HARC-PRO. Honda)、岩田悟(Team ATJ)、伊藤和樹(Honda Dream RT SAKURAI HONDA)、津田拓也(Team SUZUKI CN CHALLENGE)の順にオープニングラップを通過する。
水野は5番手まで順位を落とすが2周目のホームストレートで西村を抜き去り4番手に浮上する。3周目のジェットコースターストレートで中須賀をパス、さらに4周目のホームストレートでは野左根をかわして2番手に浮上する。そして5周目のホームストレートで長島をパスしてトップに浮上するとギアを一段上げた。
それまで1分49秒台中盤で回っていたが6周目に1’48.608のファステストをマーク。なんと約1秒もペースを上げた。その後も48秒台を連発。こうなってくると水野の独壇場。2番手長島との差を次第に広げていく。
「オープニングラップでギアがニュートラルに入ってしまい、一気に5番手まで順位を落としてしまいました。但、中須賀選手が先頭にいなかったことので焦ることはありませんでした。中須賀選手がトップに立っていたら違った展開をしたかもしれません。良いペースで走られてしまうので。ここは無理をしてリスクを負うよりも、落ち着いて状況を見ながら一台ずつ確実に抜いていこうと考えていました」
レース折り返しの9周目でも49秒フラットで走行する水野。2番手長島との差を3秒近くまで広げて独走を続けてそのままトップチェッカー!今シーズン負けなしの5勝目を挙げる。
「今日はタイヤマネジメントもうまくいきました。レース後半まで十分にグリップを残せていましたし、ギャップを確認しながらレースを進めることができました。終盤には3秒以上の差があったので、転倒リスクを抑えるために少しペースをコントロールしていました。」
「今回の2連勝は、連勝記録を伸ばせたこと以上に、自分たちが強くなったと実感できるレースでした。特に昨年苦労したオートポリスで勝てたことは非常に大きいです。チームのみんなが積み重ねてきた努力が結果につながったと感じていますし、後半戦に向けて非常に良い流れを作ることができました」
今の水野には付け入る隙がない。速いマシンに広い視野の俯瞰でレースを見られる水野は最強のパッケージとなっている。水野を止められるのは誰だろうか。
水野を追う長島と野左根。この2人のバトルは今日も続く。隙あらば鼻先をインに突っ込む野左根、巧なブロックラインで防ぐ長島。テール・トゥ・ノーズの展開はレース中盤から終盤まで続く。14周目のホームストレート、長島のスリップから抜けた野左根が1コーナーを制する。第2ヘアピンでラインを変えて思い切りインから切り込んできた長島だが止まりきれず、だがジェットコースターの下りで接触ギリギリのラインから野左根を刺して2番手に復帰。バチバチのバトルを見せる。
一方の中須賀はペースを上げられず苦しんでいた。前の3人が48秒台から49秒前半でラップしている時に49秒終盤、水野が前に出た時のためにすぐ後ろについていたかったのだがそれができない。
「4番手になった時は“表彰台は無理かも”と心が折れそうでした。昨日とは路面コンディションの違いもありましたがそれはみんな同じ条件です。その中で自分だけがうまくグリップを使い切れず、特に加速で前のライダーたちについていけませんでした」
だが残り5周、一時1.5秒近く差が開いていたが13周目には野左根のすぐ背後にまで迫ってきた。ラップタイムペースも長島、野左根とほぼ同じ。
「序盤は離されたくない一心でアクセルを開けていましたが逆にロスしてしまうような状態でした。だったら滑るタイヤをうまく利用して走れないかと考えました。滑ることを前提に乗り方を修正したらその状況に自分自身が慣れてきてコンマ2〜3秒ずつタイムを上げていくことができました」
走り方を考えて変える、しかも決勝レース中に。とんでもないことをしているなと思ったら「それがライダーの対応力やね。状況に合わせられたライダーが勝つ、ってよく言うでしょ」
だが中須賀それだけでは終わらない。16周目の最終コーナー、野左根のインに飛び込みビタビタのインベタラインでパッシング、表彰台圏内3番手に浮上する。17周目の最終コーナー、わずかに膨らんだ長島のミスを見逃すはずもなくパッシング、これで2番手まで上がってきた。
だが長島も黙っていない。ホームストレートでスリップから抜けた長島、中須賀と並んで1コーナーに進入、お互いに引かない深いブレーキングで長島が前に出る。第2ヘアピンでも抑えた長島。勝負は最終コーナー。
「自分は思い切りインを閉めました。ですが“ここで入る?”と言う、本当にライン1本分のところから入ってきました。」と百戦錬磨の長島が脱帽するほどの精緻なラインで入っていった中須賀が2位表彰台を獲得した。長島も悔しいが清々しさがあると言う。「中須賀さんとのバトルは本当にクリーンでした。国内トップカテゴリーに相応しいバトルができたこと、そしてこんな闘い方があるんだ、と勉強になりました」
中須賀の地元オートポリス。今シーズンで引退する中須賀を応援するファンが大勢駆けつけた。あの激闘を制して2位表彰台の中須賀の名前がコールされると「中須賀!」「ありがとう!」「お疲れ様!」の掛け声が鳴り止まない。深々と頭を下げる中須賀。ファンと二輪レースに対する礼儀。なかなか頭を上げない。中須賀は泣いていた。
これで前半戦が終了。鈴鹿8耐を挟んで8月のもてぎから後半戦が始まる。水野の連勝を止めるのは中須賀か、長島か、野左根か、それとも他のライダーか。最高峰クラスに相応しいバトルが見られる今シーズン、ぜひ現場に足を運んでご自身の目に焼き付けてほしい。
全日本ロードレース第3戦SUPERBIKE in Kyushu 決勝レース2上位10位は以下の通り
1:#88 水野 涼 SDG DUCATI Team KAGAYAMA
2:#1 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
3:#45 長島 哲太 DUNLOP Racing Team with YAHAGI
4:#4 野左根 航汰 Astemo Pro Honda SI Racing
5: #92 國井 勇輝 SDG Team HARC-PRO.Honda
6: #95 西村 硝 S-SPORTS SUZUKI
7: #10 鈴木 光来 TeamATJ
8: #6 岩田 悟 Team ATJ
9: #85 津田 拓也 Team SUZUKI CN CHALLENGE
10: #5 伊藤 和輝 Team SAKURAI HONDA
Photo & text:Toshiyuki KOMAI































