Honda HRC#30 ヨハン・ザルコの速さはどこまでなのか。土曜日に行われたTOP10トライアルでポールシッターレコードを更新する02:04.290でポールポジションを獲得した。チームメイトの高橋巧は「ポールポジションには興味がない」と言っているが現役MotoGPライダーは一発の速さにもこだわりたいのだろう。
土曜日は午前中にエキシビジョンレースが開催され、鈴鹿8耐のタイムスケジュールは14:15のフリー走行から。午前中は鈴鹿サーキット主催のイベントやサポートメーカーのトークショーに出演するなど忙しく過ごすライダーが多い。ブリヂストンブースには6チームが登壇した。AutoRace Ube Racing TeamDUCATI 、Kawasaki Webike Trickstar、YOSHIMURA SERT Motul、SDG Team KAGAYAMA、YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Team、F.C.C. TSR Honda France。メーカーの垣根を超えてこれだけのチームが登壇するのはブリヂストンならではであろう。
14:15からのフリー走行で公式予選で激しく転倒したYAMAHA RACING TEAM#21 ジャック・ミラーがその時点でAutoRace Ube Racing Team#76浦本修充がマークしていたレコード2:04.796を超える2:04.720をマークして会場内を沸かせる。
トップ10トライアルは鈴鹿8耐だけに適用されるグリッド決定方法。計時予選上位10位のチームから2人のライダーが1周のタイムアタックを行い、速いライダーのタイムでポールポジションから10番グリッドまでを決める。たった1周のタイムアタックで前日の計時予選順位が入れ替わることも多い。
前半10人(公式予選6位〜10位)のチームの順位は
トップ:SDG Team HARC-PRO. Honda#73國井勇輝 02:05.477
2番手:BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM #37マイケル・ファンデル・マーク 02:05.508、
3番手:SDG DUCATI Team KAGAYAMA #3 レオン・ハスラム 02:06.323
4番手:TeamATJ with docomo Business #40 岩田悟 02:06.331
5番手:Astemo Pro Honda SI Racing #17 山中流星 02:06.581
いよいよ残り10人(公式予選1位〜5位)によるたった一周のタイムアタック。YAMALUBE YART YAMAHA EWC Official Team#7 カレル・ハニカ、YOSHIMURA SERT Motul#1渥美心とアタックするものの、#73國井のタイムを越えることができず暫定トップは#73 SDG Team HARC-PRO. Honda。
ここでフリー走行でレコード更新した#21ジャック・ミラーがタイムアタック、注目される。期待通りセクター1(S1)ではマイナス0.152の区間最速、続く S2ではマイナス0.552とさらにタイムを縮める。そして S3では何とマイナス-0.992!約1秒も削る速さで“これは2分3秒台か?!”と思われた矢先の最終コーナーでなんと転倒。。フロントから切れ込んでしまった。場内からは悲鳴が上がる。
5人目の走行の#30高橋巧がきっちり5秒台に入れる02:05.223でこの時点でトップに立つ。
先ほど転倒を喫した#21ジャック・ミラーのマシンに乗ったアンドレア・ロカテッリが雪辱を果たすような走りで02:04.316!なんとジャックのタイムをコンマ4秒も上回りトップに浮上する。
続いてその速さが注目される#76 浦本修充のアタック。しかし若干のミスがありS2、S3でコンマ4秒遅れ。02:05.001と4秒台に入れることができず悔しがる。
そして最後にコースインした#30ヨハン・ザルコ。最初の入りS1でマイナス-0.074、場内がざわつく。続くS2ではわずかに遅れて+0,023、西コースのS3 では再び削ってマイナス-0.150秒。そして誰もが固唾を飲んで見守ったコントロールライン通過、そのタイムはなんと!02:04.290!#21アンドレア・ロカテッリを0.026秒上回り見事ポールポジション獲得!「ヤマハ(アンドレア・ロカテッリ)が速くて目標タイムが4秒3。クリアしたかったけど4秒5を目指した走ったよ。そしたら目標を大きく上回る4秒2。嬉しいよ。でも大事なのは8時間の決勝レース。巧と二人で最高の結果を残せるように頑張ります」
高橋巧も「2人になってしまったことはどうしようもないので二人でできる最大限のことをやって4連覇を目指します。強靭な体力を持つヨハンに期待しています」と嬉しそうなコメントであった。
今年も安定した速さを見せるホンダワークスHonda HRC。しかし、高橋とヨハン・ザルコの2名体制で望むのは体力的にかなり厳しい。そこがどう出るのか。レースウィークに入って底力を見せてきたヤマハワークスYAMAHA RACING TEAM。そして今年は一発のタイムも速いYOSHIMURA SERT Motul。さらにここまでずっと速さを見せてきたAutoRace Ube Racing Team。この辺りが優勝候補ではないだろうか。見どころ満載の決勝レースは明日11:30にスタートする。
危険な暑さと湿度がサーキットを襲い過酷な鈴鹿8耐となりそうだ。
トップ10トライアルの結果は以下の通り
ポールポジション:#30 Honda HRC 02:04.290
2:#21 YAMAHA RACING TEAM 02:04.316
3:#76 AutoRace Ube Racing Team 02:05.001
4:#73 SDG Team HARC-PRO. Honda 02:05.477
5:#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM 02:05. 508
6:#7 YART – YAMAHA 02:05.729
7:#1 YOSHIMURA SERT MOTUL 02:06.247
8:#3 SDG-DUCATI Team KAGAYAMA 02:06.323
9:#40 TeamATJ with docomo Business 02:06.331
10:#17 Astemo Pro Honda SI Racing 02:06.581
text:Toshiyuki KOMAI
photo by :水谷たかひと