中須賀克行今季初ポール!決勝レース1は水野涼。開幕から負けなしの4連勝!

2026/05/31

中須賀克行今季初ポール!決勝レース1は水野涼。開幕から負けなしの4連勝!

無欲の勝利か。水野涼(SDG DUCATI Team KAGAYAMA)が序盤のわちゃわちゃから上手く抜け出し、あとは自分のペースを刻んで優勝。今シーズン、ここまで負けなしの4連勝を飾る。

「レースだから勝てる時も勝てない時もある、無理して勝ちを狙うのではなく現実を受け入れながら戦うことでレース全体を冷静に見られるようになりました」と一歩引いて俯瞰で眺められるようになった水野に変な気負いはない。それが今シーズンの水野の強さになっている。

ディフェンディングチャンピオンの中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が今シーズン初のポールポジションを獲得。地元オートポリスで勝ちたかったが水野に一歩及ばなかった。3位には常連になってきた長島哲太(DUNLOP Racing Team with YAHAGI)が入った。

9:30から始まった公式予選。開始早々2周目に水野が1’47.846と、このウィークで初めての47秒台に入れてリーダーボードのトップに立つ。2番手に長島哲太1’48.266。やはり今シーズンの長島は速い、昨日よりも0.7秒も詰めてきた。中須賀は1’48.521で5番手につける。残り13分のところで岩田悟が4コーナーで転倒、マシン回収のために赤旗中断となる。再開後水野が珍しく第2ヘアピンでオーバーラン、その後思ったようにタイムを伸ばせずにいたところ、中須賀が1’47.723と約1秒タイムアップを果たし、ポールポジションを獲得した。

セカンドベストも中須賀。今シーズン初めてポールポジションからのスタートとなったが本人はポールだとは思っていなかったようだ。ピットに戻ってから知って驚いたと言う。

「自分自身も今週で一番良い状態で走ることができました。タイヤをうまく使いながら全力を振り絞った結果のポールポジションは嬉しく思っています。ただ、正直ここまでのタイムが出るとは予想しておらず、周りのライダーもさらにタイムを上げてくると思っていたので驚きもありました。とはいえ、予選と決勝はまったく別ですし、水野選手をはじめ上位勢は非常に良いペースで走っています。タイヤに厳しいレースになると思いますが最後まで粘り切った者が勝つレースになると思います」

野左根もタイムを伸ばし2番グリッドを獲得。水野は2周目のタイム更新ができず3番グリットからのスタート。4番グリッドは長島、5番グリッドに西村硝(S-SPORTS SUZUKI)が入った。

午後3時10分、路面温度50度を超えるコンディションの中で15周のレース1がスタート。ホールショットは國井勇輝(SDG Team HARC-PRO. Honda)が奪うが止まりきれずインから野左根航汰(Astemo Pro Honda SI Racing)、水野、長島、中須賀にかわされ5番手にドロップ。

第1ヘアピン立ち上がりで長島が水野をパス、2番手に上がるも第2ヘアピンで止まりきれず4番手に下がる。

野左根、水野、中須賀、長島の4台によるトップ争いが展開される中、アグレッシブな長島の動きが序盤のポイントとなる。

登りセクションの14コーナーでコンパクトなラインから中須賀が水野のインに飛び込み2番手に浮上、オープニングラップは野左根が制し、中須賀、水野、長島、國井、西村硝(S-SPORTS SUZUKI)、鈴木光来(Team ATJ)、津田拓也(Team SUZUKI CN CHALLENGE)、岩田悟(Team ATJ)、伊藤和輝(Honda Dream RT SAKURAI HONDA)の上位10台。

長島が攻める。3周目の1コーナー、野左根、水野のスリップから抜けて一気にトップに立つ。水野2番手、3番手野左根、4番手中須賀。水野も中須賀も50度を超える路面温度の中、できればレース後半まで保たせるタイヤマネジメントをしたかったが長島と野左根の勢いに巻き込まれどうしてもタイヤを使ってしまう。

「マネジメントしながら様子を伺っていたかったのですが、水野選手が抜け出た時に近くにいないと置いて行かれるので不本意ながら付いて行きました」と中須賀。それくらい水野は速い。

「台数が少なければ(中須賀と2台)マネジメントしながら走れていたと思いますが、4台に膨らみ、さらにどんなラインから入ってくるかわからないのはリスクが高いので行ける時に前に出ようと考えていました」と水野。

5周目、段違いのストレートの速さを誇るDUCATI水野に対し深いブレーキングで対抗する長島だが、流石に止まりきれず膨らんだところを水野がパッシング、トップに立つ。ここから水野がファステスト刻みながらペースを上げて長島との差を広げ始める。その後方ではファイナルコーナースタンド前の17コーナーで中須賀が野左根をパッシング、3番手に浮上する。

中須賀がヒタヒタと長島に近づく。長島も中須賀も1分48秒台後半でラップを続ける。だが長島のタイヤが次第に厳しくなっていく。10周目の17コーナー、コンパクトなラインで長島のインに飛び込んだ中須賀がパスして2番手に浮上、水野を追いかけに行く。

「8周目くらいからリアのグリップがなくなってきて、そうなるとフロントがキツくて何度も転倒しそうになりました。中須賀選手に”あぁーー、ごめんなさい“って思いながらも抜かせるわけには行かないので必死にブロックしました。

タイヤが厳しくなってきた時に何とかするのがライダーですし、そこに自分の価値があると思っています」

トップ水野は48秒後半から49秒フラットの速さで周回を重ね11周目には中須賀に2.23秒もの差をつける。

「チームからのサインで2秒差を知りました。タイヤが厳しくなる前にギャップを作っておくつもりだったので少しペースを緩めました。オートポリスの2秒差は他のサーキットに比べても大きなアドバンテージになります。」

「タイヤがフレッシュな序盤はライバル勢の加速が非常に良く、自分も同じようにプッシュしてタイヤを消耗してしまいました。ですがペースとタイヤライフのバランスを考えながら走っていたので何とかタイヤを温存しながら勝負どころを探っていました。長島選手を抜いた後に水野選手を追いかけましたが追い詰めることができませんでした」

「路面温度が上がったことでタイヤ本来のグリップ感が出て、低温時に発生しやすいアブレーションも抑えられた点はプラスだったと思います。最後までマネジメントできたと感じています。悔しさもありますが、水野選手が一枚上手だったということです」

中須賀のコメント通り、水野が自分でペースを作りながらレースをコントロールして優勝。開幕から4戦連続優勝を飾った。

「以前は常にベストタイムやトップを狙いにいく意識が強かったですが、今はレース全体を見ながら取るべきものを確実に取ることを重視しています。抜くべき時は一発で仕留める、無理をする必要がない時は我慢する。そうした判断ができるようになり、結果として安定した成績につながっていると感じています。欲を出しすぎず、現実を受け入れながら戦うことでレース全体を冷静に見られるようになりました」

まさに今シーズンの水野を象徴するコメントだ。力まず、一歩引いたところで冷静に分析してレースに臨む、前戦SUGOでの言葉を借りれば「大人への階段を登っているところ」なのだろう。

チームとの関係も一番良いと言っているように一体感も生まれており今のところ死角が見当たらない。

レース終盤、長島と野左根がSUGOに続いて三たびデッドヒートを展開する。13周目の登りセクションの14コーナーで野左根が長島のインをついて前に出る。だがその先のブリッジ下15コーナーで長島が抜き返すと、今度は16コーナーで野左根がクロスをかけて前に出る。

長島も黙っていない、17コーナーでクロスラインから野左根のインに飛び込み前に出る。3つのコーナーで4回抜き差しを繰り返すデッドヒート。どちらも絶対に引かない・負けない。それはファイナルラップまで続く。3コーナーでインを突く野左根、すぐさまクロスラインから長島が抜き返す。勝負所の第1ヘアピン、第2ヘアピンは長島が抑える。そのまま長島が抑えきり表彰台争いは長島に軍配が上がった。

「今日は結果以上に、自分たちの進化を実感できたレースでした。オートポリスはこれまで一番苦戦してきたコースだったので、ここで表彰台に立てたことは大きな意味がありますし、正直ホッとしている気持ちが強いです。チームやタイヤメーカーの皆さんが積み重ねてくれた開発の成果もあって、マシンは確実に良くなっていますし、シーズンを通して表彰台争いに絡める位置まで来られていると感じています」

全日本ロードレース第3戦SUPERBIKE in Kyushu  決勝レース1上位10位は以下の通り

1:#88 水野 涼 SDG DUCATI Team KAGAYAMA
2:#1 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
3:#45 長島 哲太 DUNLOP Racing Team with YAHAGI
4:#4 野左根 航汰 Astemo Pro Honda SI Racing
5:#5 伊藤 和輝 Team SAKURAI HONDA
6:#10 鈴木 光来 TeamATJ
7:#92 國井 勇輝 SDG Team HARC-PRO.Honda
8:#85 津田 拓也 Team SUZUKI CN CHALLENGE
9:#6 岩田 悟 Team ATJ
10:#50  児玉 勇太 MARUMAE Team KODAMA

Photo & text:Toshiyuki KOMAI