2023全日本ロード開幕戦もてぎ 決勝レース 2

2023/04/03

 決勝レース 2:リスク覚悟で勝負に出た中須賀克行がダブルウィン!

全日本ロードレース開幕戦もてぎ:決勝レース2が開催された。レース途中で雨が落ちてきたがそれを上手く活かした中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が圧巻の優勝。開幕2連勝を飾る。2位に岡本裕生(YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2)、3位に名越哲平(SDG Honda Racing)とレース1と同じ顔ぶれになった。

決勝レース前、雨の予報はなかったが上空は暗くなり冷たい風が吹いてきた。昨日より5周多い20周のレース2がスタート!ホールショットは岡本が奪う。アウトから水野涼(Astemo Honda Dream SI Racing)が被せてくるがそのイン側から中須賀が2人をかわしてトップで2コーナーを立ち上がる。しかし3コーナー進入で水野が刺し返してトップに立つも5コーナー進入で再び中須賀が奪い返す。

3コーナーでは津田拓也(AutoRace Ube Racing Team)と岩田悟(Team ATJ)が接触転倒、5コーナーでは亀井雄大(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)がオーバーラン転倒とオープニングラップから波乱が生じる。亀井は再スタートするも最後尾まで順位を落とす。

V字進入で水野が再びトップを奪い返しオープニングラップを制する。中須賀、作本、岡本、名越、秋吉耕佑(MurayamaUnso.Honda Dream.K.W)、関口太郎(SANMEI Team TARO PLUSONE)、杉山優輝(Honda Suzuka Racing Team)、新庄雅浩(Team TATARA aprilia)、伊藤和輝(Honda Dream RT桜井ホンダ)と続く。

ポールポジションの岡本はスタートで出遅れオープニングラップを4番手で通過していたが2周目のV字コーナーで作本をパス、3番手に浮上する。

トップグループは水野、中須賀、作本、岡本、名越の5台。先頭の水野のラップタイムは1分50秒フラット前後、中須賀の持ちタイムからすると速いタイムではない。20周の長丁場、後ろから様子を伺っている。この先頭グループに秋吉が追いつき6台のパックとなる。

6周目に入り1コーナー、5コーナーで雨を知らせるフラッグ(レッドクロス)が振られる。同時に1コーナーで外に膨らんだ水野のインから中須賀がトップに浮上する。3コーナー進入では作本が岡本をパスして3番手に復帰する。

中須賀は勝負に出る。リスクが高いがここで後続を引き離そうと一気に48秒台にまでペースを上げ、8周目に1’48.487のファステストラップを刻む。水野も負けじと48秒台まで上げるがコンマ8秒から1秒遅い。9周目に1.492秒差、10周目には2.515秒差にまで広がり中須賀の独走が再び始まる。

「今(雨だから走れないと)手を挙げても赤旗にはならないと思った。アスファルトが濡れる匂いもしなかったし雨はやがて止むと判断した」と中須賀。極限のバトルをしている中でアスファルトが濡れる匂いを感じていることに驚いた。

トップ中須賀は独走を続ける。2番手水野、3番手岡本、4番手名越、5番手作本。秋吉は48秒台へのペースアップについて行けず単独6番手走行。作本も2番手グループから遅れ始め、2位争いは水野、岡本、名越の3台に絞られた。13周目に再びレッドクロスが振られる。V字コーナーから90度コーナーまでのコース後半部分で雨が落ちてきた。ヘアピンで岡本が水野をかわして2番手に浮上する。17周目に50秒058までペースが落ちた岡本を水野がヘアピンで刺して再び2番手浮上。次世代を担う若手3人がレース終盤に見せ場を作る。

18周目の3コーナー、名越が岡本をパスするとその勢いのままS字で水野をもかわしてセカンドグループの先頭に立つ。19周目の3コーナーで岡本が水野のインを刺す、しかし4コーナー進入はクロスラインで水野が前、今度は岡本が5コーナーでインから水野をパス、激しいデッドヒートを演じる。その間に名越は差を広げる。

トップ中須賀は9秒もの差を広げてファイナルラップを迎える。注目の2番手争い。1コーナーから2コーナーにかけて岡本が再び2番手を奪取。名越、水野も食らいつくが岡本との差は縮まらない。最後の勝負どころの90度コーナー、水野がレイトブレーキから名越のインを突くが立ち上がりでクロスラインから名越が抜き返す、さらに水野は最終コーナーでも仕掛ける。しかし止まりきれずに外に膨らむ。これで勝負あり。2位に岡本、3位名越、4位水野、5位作本であった。

中須賀は降雨を逆手に利用して独走で今シーズン開幕2連勝、連勝記録を25に伸ばした。リスクは高いが雨の中で勝負に出た。但、闇雲に勝負したわけではなく雨の降り方を予想した上でペースを上げた。レース途中でイレギュラーが発生しても冷静に判断、状況に応じて走りを変える引き出しの多さは中須賀の大いなる武器だ。

全日本ロードレース開幕戦もてぎ 決勝レース2 上位10位の結果は以下の通り

優勝:#1 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:#3 岡本 裕生 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2
3位:#15名越 哲平 SDG Honda Racing
4位:#36 水野 涼 Astemo HondaDream SI Racing
5位:#4 作本 輝介 AstemoHondaDreamSIRacing
6位:#12 秋吉 耕佑 MurayamaUnso.Honda Dream.K.W
7位:#10 清成 龍一 TOHO Racing
8位:#9 関口 太郎 SANMEI Team TARO PLUSONE
9位:#38 伊藤 和輝 Honda Dream RT SAKURAI HONDA
10位:#11 柳川 明 KRP SANYOUKOUGYO RSITOH

Photo & text:Toshiyuki KOMAI