全日本ロードレース第3戦SUGO 決勝レース2

2023/05/22

役者が一枚上手だった中須賀克行が優勝!

全日本ロードレース第3戦スーパーバイクレースin SUGO決勝レース2。

昨年から続く中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)の連勝を止めた岡本裕生(YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2)が2連勝に挑んだが、中須賀の方が役者が一枚上手だった。優勝、中須賀、2位岡本、3位に清成龍一(Astemo Honda Dream SI Racing)が入った。

昨日までのぐずついた天候から一転、晴天の決勝日の13:55、22周の決勝レース2がスタートした。

ホールショットは中須賀が奪う。岡本、5番グリッドの清成、新庄雅浩(Team TATARA aprilia)の順に1コーナーに進入する。オープニングラップは中須賀が制する。岡本、清成、亀井雄大(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)、新庄、津田拓也(AutoRace Ube Racing Team)、水野涼(Astemo Honda Dream SI Racing)、秋吉耕佑(MurayamaUnso.Honda Dream.K.W)作本輝介(Astemo Honda Dream SI Racing)、Zaqhwan Zaidi(Honda Asia-Drean Racing SHOWA)の上位10台。

2周目の馬の背で秋吉耕佑が転倒、戦列を離れる。3周目の1コーナーで水野が津田のインに飛び込むが及ばす。馬の背で再び水野がインを突くがその先のSPインコーナーでは津田が前、再び水野を押さえる。しかしストレートスピードが速い水野が4周目の1コーナーで津田をパスする。水野と津田がやり合っている間に作本が背後に迫ってくる。6周目の1コーナーで作本が水野をパスすると水野と共に前をいく亀井を追い、3台がワンパックとなる。7周目の馬の背でついに亀井を捉えて作本が4番手浮上。この頃には単独3番手を走行していた清成に追いつき4台が3番手グループのパックとなる。この4台はレース中盤から後半にかけて抜きつ抜かれつの激しい3番手争いを展開する。

トップの中須賀と岡本は1分26秒台で周回、レース中盤には3番手以降に10秒以上の大差をつける。前半は後ろについて後半でパスしてスパートをかけるパターンが多い中須賀だが「裕生がSUGOが得意で、アベレージタイムを持っているので、裕生に勝つにはどうしたら良いのかを考えました。最初から自分が前に出て毎回フルブレーキングをして22周走り切るしかないと言う結論に至りました」と中須賀。

岡本もレース1の映像を観ながら中須賀の攻略ポイントを研究した。しかし「前の日とは違う走り方をしてきました。自分が行こうと思ったラインはことごとく塞がれました」。ブレーキングはさらに深くなり、コーナーのブロックラインがキツくなった。

そんな中で15周目の1コーナー、アウトに降った中須賀のインから岡本が1コーナーに進入、接触しそうになる程の接近戦でパスした。クロスラインからの中須賀の立ち上がりをアウトからブロック、このレースで初めて岡本がトップに立つ。

しかし中須賀は4コーナー先のS字立ち上がりでリアタイヤを振りながら物凄い加速で駆け上がり、続くハイポイントコーナーでパス、トップに返り咲く。「中須賀さんはギアを1速落として加速してきました。ハイポイントはパッシングポイントではないのですが、やはり引き出しの多さに脱帽です」と岡本。

岡本は抜かれた後も中須賀に食らいつくが21周目の3コーナーでハイサイドを起こしそうになり、これで勝負あり。二人の差はどんどん開いていく。そのまま中須賀がトップチェッカー。中須賀の引き出しの深さを見せつたレース2であった。

レース終盤に激しくなった3番手争いは清成が制した。4位:亀井、5位:作本、6位:水野の結果であった。

中須賀の連勝記録は年を跨いで27回も続いた。周囲からの期待が重圧となっていたことは事実だ。そのプレッシャーから解放されたと同時に悔しさがこみ上げてきた

「勝負の世界だから連勝記録はいつかは破られる。わかっていたけど“負けるってこんなに悔しいんだ”と久しぶりに感じました。負けっぱなしでいるわけにはいかない。だから絶対に今日のレース2は勝ちたかった。キツかったけど常にフルブレーキングするしか勝つ方法はないと覚悟を決めました。」

この勝利に対する貪欲さこそが中須賀克行の強さの源だ。

「昨日よりも勝ちへの執着は強かったのですが完敗です。まさかあそこまで走り方を変えてくるとは思いませんでした。ですが今日のレースは今までの中で一番勉強になりました。」

転んでもただでは起きない中須賀の強さが光ったレース2であった。

優勝:中須賀克行記者会見コメント

「昨日の岡本くんの走りを見て、アベレージが速いので自分が前に出て、自分のペースで、なおかつ抑えるという作戦でした。路面温度が上がったせいで、フロントも結構厳しかったのですが最後までプッシュすることができました。

連勝記録を破ったのが岡本くんでよかったなと思います。その成長を感じさせてくれるレースでした。連勝は絶対させないという強い気持ちを持って走りました。前半戦を勝ちで終えられてよかったです。」

2位:岡本裕生記者会見コメント

「今日も100%の力を出し切りましたが完敗でした。改めてやっぱり中須賀さんはすごいなと感じました。中須賀さんの連勝を止めるなら絶対に自分だという思いがありました。昨日勝った後に改めて27連勝がとてつもない数字だと思いました。1回勝つだけでこんなに難しいのにそれを27回続けた。メンタルもテクニックも強くないとそんな記録は出ないと思います。今日はすごく勉強になりました。」

3位:清成龍一記者会見コメント

「開幕戦、鈴鹿とすごくつらかったです。ここまでいろいろ試行錯誤をして、時間もたくさん使ってくれて、最後まで信じてくれたチームに感謝しています。こんな成績しか出せなかったのに、応援してくれたたくさんのファンに感謝しています。次は必ず実力で、いい結果出したいと思います。いつもだったら3位でもめちゃめちゃ嬉しいんですけど今回は実質5位だと思っているので素直に喜べない自分んもいます。」

全日本ロードレース第3戦スーパーバイクレースin SUGO 決勝レース2 上位10位の結果は以下の通り

優勝:中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:岡本 裕生 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2
3位:清成龍一 TOHO Racing
4位:亀井雄大 YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN
5位:作本 輝介 Astemo Honda Dream SI Racing
6位:水野 涼 Astemo Honda Dream SI Racing
7位:津田 拓也 AutoRace Ube Racing Team
8位:名越 哲平 SDG Honda Racing
9位:Andi Farid lzdihar  Honda Asia-Drean Racing SHOWA
10位:Zaqhwan Zaidi  Honda Asia-Drean Racing SHOWA

Photo & text:Toshiyuki KOMAI