2023全日本ロード第8戦鈴鹿  決勝レース2

2023/10/16

水野涼強い!最終戦2連勝を飾る。2位に岡本裕生 待望の初表彰台亀井雄大

今シーズン最後のレースが鈴鹿サーキットで開催された。昨夜来の雨は朝には上がったが朝フリーはハーフウェットの難しいコンディション。

昨日の転倒で右足に怪我を負った中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)と岡本裕生(YAMAHA FACTORY RACING TEAM2)も確認のために走行。しかし中須賀は右足の怪我の具合が想像以上に悪く、やむなく決勝レース欠場となった。

中須賀のリタイア届けによりグリッドがひとつずつ繰り上がりポールの位置に岡本がついた。

決勝レースが行われる14時にはすっかり天気は回復。中須賀不在と言う近年見たことのないスターティンググリッドで17周の決勝レースがスタート。

岡本が好スタートを切るが水野がイン側からホールショットを奪う。S字で岡本が水野をかわしてトップ浮上。3番手名越哲平(SDG Honda Racing)、4番手作本輝介(Astemo Honda Dream SI Racing)、5番手 岩田悟(Team ATJ)と続く。

130Rで名越が水野をパスするとその勢いのままシケインで岡本を刺してトップに浮上、オープニングラップを制する。ここで清成龍一(TOHO Racing)と秋吉耕佑(MurayamaUnso.Honda Dream.K.W)が1コーナーで激しく転倒。セーフティーカー(SC)が投入される。

SC投入時の順位はトップ名越、水野、岡本、渥美心(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)、亀井雄大(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)のトップ5。SCは5周目まで走行、6周目からリスタートが切られる。ここで一気に前に出たのが水野。1コーナーでトップを奪う。

「SCの間はタイヤが冷えてしまいます。特に自分の選んだタイヤは硬めなので熱の入り方が遅い。だからSCの間はタイヤに熱を入れることに注意しながら走りました」

岡本も水野と同じタイヤを装着、SC明け直後はやや慎重に入ったか、水野、名越との差が開き、背後から渥美、亀井が迫ってくる。しかし8周目の1コーナーで名越をパスして2番手に浮上、名越はオーバーラン、4番手にポジションダウンしてしまう。

ホンダからヨシムラに電撃移籍した亀井、周囲からの期待が高まる中でマシンとの相性に苦しんだ今シーズン。前戦岡山でようやくセットが決まってきた。ここ鈴鹿でも予選で2分5秒台の自己ベストをマークして上向きで来ている。今大会急遽渥美心が参戦、心中穏やかでなかったが意地を見せる。7周目の最終シケインで渥美をパス、さらに名越のオーバーランで3番手にまで順位を上げる。

11周目の130R、岡本が水野をかわしてトップに浮上。スパートをかけるが水野は離されない。残り3周ではテール・トゥ・ノーズで後ろからプレッシャーをかける。残り2周、西コースで雨が落ち始めた。一瞬緊張が走ったが本降りにはならずそのままレースは続行。そして迎えたファイナルラップ。ピタリとつけた水野がヘアピンで前に出る、しかしクロスラインで岡本が抜き返す。

最後の勝負どころのシケイン。アウト側にラインを変えた水野、そのイン側に岡本。しかし岡本がオーバーラン。グラベルから水野の前でコース復帰してチェッカー。ゴール後の判定でMFJ国内競技規則「当該ライダーが有利となるショートカット」が適用され1ポジション降格の裁定。これにより水野の最終戦2連勝が確定した。

「インから入ろうと思ったのですが締められて入る隙間がなくなったのでアウトに振ってクロスしようと切り替えました。岡本選手がすごくイン側に寄っていたので“これは止まりきれないだろう”と思って強めに減速しました。そしたらブレーキを伸ばされて、自分も伸ばし返したのですがさらにもう一回伸ばされて“あぁ、これで彼は止まりきれないな”と思って普通にクロスラインから立ち上がりました。岡本選手のコースアウトは想定外でした」と水野。

ブレーキングの間のほんのコンマ何秒の間に相手の動きを見て自分のブレーキングをコントロールする。一般人の筆者には理解できないことだった。「そう言う時ってスローモーションで見えるんですよね」と涼しい顔で語った。

一方の岡本。「自分のライン確保するために行きました。あそこで少しでも引いていたら水野選手にアウトから被せられてしまったのでブレーキングを遅らせました。そしたら行き過ぎてしまいオーバーランしてしまいました。自分の戦略ミスでもあるし前に出た時点で引き離せなかったことが一番の敗因です」

身体について聞いてみると「影響が無いとは言えません。マシンが暴れたときに踏みつけて抑えつけられませんでした。特にレース後半はキツかったです。また鈴鹿で初めてのセーフティーカーが入るなどいつもとはちょっと違ったレース展開でした。」

「この悔しさは来シーズンまで引きずると思います。欠場した中須賀さんのためにもてっぺんに登りたかったです」

熾烈な表彰台争い。12周目の130Rで名越が亀井をパス。亀井も食らいつく。そして16周目のシケイン、インに飛び込んだ亀井が3番手浮上。そのまま名越を抑えきり3位表彰台獲得!長かったトンネルから最終戦にして抜け出せた。

「レース1はスタートで全てを台無しに。レース2でもスタートで失敗。ですがここで引き下がるわけにはいかず、古くさい言い方かもしれませんが根性と意地で前を追いました。その支えとなったのが辛抱強く自分を信じてくれたチーム、そして情けない成績でも応援してくれたファンの存在です。」

優勝:水野涼(Astemo Honda Dream SI Racing)

「昨日よりも難しいコンディションでした。気温は上がりましたが日陰になってからは路面温度が下がって、グリップ感が薄かったです。SCも入り1度冷えたタイヤのウォームアップはすごく難しかったです。タイヤライフのマネジメントよりもタイヤの熱入れが難しいレースでした。その時に前に出てレースを引っ張っていけたのは大きかったです。昨日の優勝ももちろん嬉しいですけど、今日の優勝はバトルして勝てたので本当に嬉しいです。」

今シーズン水野は強くなった。自信を持ってレースに臨んでいる。この週末もブレーキングには自信があった。

「ブレーキングの駆け引きでも勝てた気がします。このウィーク、どこでも抜ける自信はありました。昨日のレースでトップ2台と最後までバトルできたことで自信を持ってレース2に臨めたことも大きいです」

今シーズンのレースは全て終った。中須賀克行が前人未到の12度目のチャンピオンを決めた。その山を追い越すべく岡本裕生、水野涼、名越哲平たち若手ライダーも台頭してきた。

来シーズンも中須賀克行が君臨することが予想される。どれだけの若手ライダーが食らいついていけるか。その実力差は確実に縮まってきている。来シーズンの熱いバトルに期待したい。

全日本ロードレース第8戦鈴鹿 決勝レース2 上位10位の結果は以下の通り

優勝:水野 涼 Astemo Honda Dream SI Racing
2位:岡本 裕生 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 2
3位:亀井 雄大 YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN
4位:名越 哲平 SDG Honda Racing
5位:伊藤 和輝 Honda Dream RT桜井ホンダ
6位:渥美 心 YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN
7位:岩田 悟 Team ATJ
8位:津田 拓也 AutoRace Ube Racing Team
9位:作本 輝介 Astemo Honda Dream SI Racing
10位:関口 太郎 SANMEI Team TARO PLUSONE

Photo & text:Toshiyuki KOMAI