2016鈴鹿8時間耐久ロードレース 決勝

2016/08/04

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2016年の鈴鹿8時間耐久ロードレース決勝レースはYAMAHA FACTORY RACING TEAMが他を寄せ付けない圧倒的な強さで2連覇達成!ヤマハの連覇は1987年-1988年以来28年ぶりです。さらにMCシケインが新設された現行のコースレイアウトになってから最多周回数の218周をマークしました。

AI2Q3716 レースウィーク初日「今年の8耐は涼しいね」なんて声がパドックでは行き交っていましたが、日を追う毎に気温が上がり、決勝日は朝から真夏の太陽がジリジリと照りつける暑さとなり、路面温度は58度を超えました。

午前11:30、8時間後の栄光のゴールを目指して70台のマシンが一斉にスタート!

AI2Q3765 絶妙なスタートダッシュを決めた#17 清成龍一(Team KAGAYAMA)がホールショットを奪います。続いて#12 津田拓也(ヨシムラ スズキ シェルアドバンス)、#21 中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)、#104 山口辰也(TOHO Racing)、#5 ドミニク・エガーター(F.C.C. TSR Honda)の順に第1コーナーに進入します。

デグナーひとつめで#5 ドミニクが#104 山口をパス、続くヘアピンで膨らんだ#21中須賀のインをついて3番手に浮上します。さらに最終シケインの飛び込みで#12 津田を刺して2番手に浮上します。

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オープニングラップは、トップ#17清成、#5ドミニク、#12 津田、#21中須賀、#7 ブロック・パークス(YART YAMAHA – OFFICIAL EWC TEAM)、#104 山口、#87 柳川明(Team GREEN)、#11 グレゴリー・ルブラン(TEAM SRC KAWASAKI)、#634 高橋巧(MuSASHi RT HARC-PRO.)、#22 ディマス・E・プラタマ(SatuHATI. Honda Team Asia)の上位10位です。

#21 中須賀は2周目の最終シケインで#12 津田のインに飛び込み3番手に浮上、さらに翌周の同じ最終シケインで#5 ドミニクのインに飛び込み2番手に浮上します。#21 中須賀は早くも3周目に8秒台の2’08”835に入れて#17 清成の背後からプレッシャーをかけます。先頭グループは#17、#21、#5、#12の4台でほぼ等間隔で走行を続けます。その後方では、#634 高橋が5周目の130Rで#87 柳川をとらえて5番手に浮上します。

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 6周目のMCシケイン、3番手を走行していた#5 ドミニクがスリップダウン転倒、すぐにマシンを起こしてコース復帰しますがマシン修復のため緊急ピットイン。#5ドミニクが抜けた先頭グループ、#21 中須賀が#17 清成の背後にピタリと付ける一方、#12 津田は徐々に遅れ始めその差が開き、その後方4番手の#634 高橋がその差を縮め、13周目に#634 高橋が前に出ます。10周を過ぎたあたりからバックマーカーが出始め、各車攻めながらもバックマーカー処理をしなくてはならない状況となります。

AI2Q4210 トップ#17 清成、2番手#21 中須賀に、#634 高橋が追いつき三つ巴の先頭集団になりつつあった17周目、#17 清成のペースが上がらないとみた#21 中須賀がついに動き出します。最終シケインでインに飛び込みトップに立つと、それまでの2分11秒台から一気に9秒台前半、8秒台にペースを上げて後続との差を広げていきます。

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 26周目#17 Team KAGAYAMA、#634 MuSASHi RT HARC-PRO.、#12 ヨシムラ スズキ シェルアドバンスが同時にピットイン、ここで波乱が生じます。#634 と#12は10数秒でピット作業を終え、#634 マイケル・ファン・デルマーク、#12 ジョシュア・ブルックスにライダーチェンジ。しかし、#17 Team KAGAYAMAはリアジャッキが入らずタイヤ交換に時間がかかり、ピット作業に1分30秒も要して加賀山就臣にライダーチェンジ、順位を6番手まで落としてしまいます。トップを走る#21中須賀は27周目にピットイン、ポル・エスパロガロにチェンジ、#87 柳川も27周目にピットイン、渡辺一樹にライダーチェンジをします。

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第1スティントを終えた時点でトップ#21 ポル、2番手#634 マイケル、3番手#12 ジョシュア、4番手#87 柳川、5番手#104 ジーノ・レイのトップ5。しかし#104 ジーノが37周目に転倒、緊急ピットインを余儀なくされ、ラタポン・ウィライローにライダーチェンジして再スタートします。代わって5番手には#17 加賀山が上がってきます。

AI2Q9114 しかし52周目、ここでまたTeam KAGAYAMAにトラブルが襲いかかります。フロントタイヤがスローパンクチャー、S字からぺちゃんこに潰れたタイヤのまま東ショートカットを通ってピットイン、タイヤ交換を行い清成にライダーチェンジ、コース復帰したときには28位まで順位を落としてしまいます。

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上位陣は54周目、55周目にルーティンのピットイン、第2スティントを終え、トップ#21はポル・エスパロガロ、2番手#634はニッキー・ヘイデン、3番手#12は芳賀紀行に、4番手#87はレオン・ハスラムにライダーチェンジ。#21 ポルは2分9秒前半から中盤のタイムで周回、2位に約1分30秒もの差をつけて独走を続けます。
この第3スティントでも波乱が生じます。2位を走行していた#634 ニッキーのマシンが74周目のMCシケイン立ち上がりでストップ、なんとかピットまでマシンを戻しますがその後リタイアとなりMuSASHi RT HARC-PRO.のリベンジはなりませんでした。

AI2Q3980 81周目#12 ヨシムラが、82周目に#21 YAMAHA FACTORY RACING TEAMがルーティンのピットイン、津田拓也、中須賀克行にライダーチェンジします。#21  中須賀はこのスティントでもハイペース、105周目にはファステストラップ2分8秒411をたたき出して完全に一人旅となります。
100周目のヘアピン、#12 津田が#87 柳川のインを刺して2番手に上がると2分10秒中盤で走行、対する#87 柳川は2分11秒台中盤、その差は開いていきます。

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レースの折り返しとなる4時間経過後の順位はトップ#21 YAMAHA FACTORY RACING TEAM、2番手# 12ヨシムラ スズキ シェルアドバンス、3番手#87 Team GREEN、4番手#7 YART YAMAHA – OFFICIAL EWC TEAM、5番手#32 MotoMap SUPPLY、6番手#01 エヴァRT初号機 TRICK STAR、7番手#22 SatuHATI. Honda Team Asia、8番手#111 HODA ENDURANCE RACING、9番手#11 TEAM SRC KAWASAKI、10番手#090 au & テルル・Kohara RT、の上位10チームです。この時点でトップと同一周回は上位3チームだけ、というハイペースなレース展開です。

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その後上位陣に大きな変更はなく周回を重ねます。#21 YAMAHA FACTORY RACING TEAMはミスなく、トラブルも無く、速いラップタイムで周回できる3人が揃ったこのチームは18周目にトップに立ってからは一度もトップの座を譲ることなく、現行のコースレイアウトになってから最多周回数記録となる218周を走破、2位に2分17秒883の大差をつけるぶっちぎりの優勝で2連覇を飾ります。

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2番手争いで名勝負が生まれました!138周目アウトラップの#12 芳賀に135周目にライダーチェンジした#87 レオンが迫ります。しかし#12 芳賀も一歩も引かずここからテールtoノーズの白熱したバトルが始まります。コース上の至るところにいるバックマーカーの間を縫いながらのバトルとなります。140周目のスプーンカーブ、アウトから横並びに迫る#87 レオンは裏ストレートで#12 芳賀のスリップストリームに入ると130Rで前に出ます。しかし、バックマーカーにイン側のラインをふさがれた#87 レオン、とっさにアウト側にラインを変えた#12 芳賀が再び抜き返して最終コーナーを下ってきます。
141周目のシケインで#12 芳賀のインに飛び込んで前に出た#87レオン、しかし芳賀はその先の第1コーナーで#87 レオンを抜き返す!が、しかし、#87 レオンは第2コーナーを横に並んで立ち上がり、そのままS字進入で#12 芳賀をかわします。この息をつかせぬこのバトルに場内からは拍手喝采。今大会のベストバトルのひとつだと思います。
そのままTeam GREENが2位チェッカー!カワサキワークスとして16年振りの表彰台、ヨシムラ スズキ シェルアドバンスが3位、2年振りの表彰台となります。

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2度のトラブルで一時は28位まで順位を下げてしまった#17 Team KAGAYAMA。しかし決して諦めない彼らの走りは徐々に順位を上げてきます。緊急ピットインした51周目から20周後には18位、160周目にはトップ10内に食い込んできます。189周目、最終スティントを走る#17 加賀山にライダーチェンジ。ライトオンボードが掲示された夜間走行で203周目に2分10秒716と10秒台でラップ、そしてゴールまで10分を切った210周目、前を行く#01エルワン・ニゴンをかわして6 位浮上!入賞を果たします。

AI2Q2211 昨年は6回のセーフティカーが入る決勝レースでしたが、今年は転倒車輌こそ多かったものの一度もセーフティカーが入らず、心配されたゲリラ豪雨もなく、ドライコンディションで純粋に8時間の走行を争うレースとなり、218周の最多周回数が生まれました。鈴鹿8耐のゴールの瞬間に来年のスタートが切られる、と言われますが、来年は鈴鹿8耐40回目の節目の大会。感動のレースを期待したいです。

2016鈴鹿8時間耐久ロードレース 第39回大会 決勝レース上位10位の結果は以下の通りです。

優勝:#21 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 218周(中須賀 克行/ポル・エスパルガロ/アレックス・ロウズ)
2:#87 Team GREEN 218周(柳川明/渡辺一樹/レオン・ハスラム)
3:#12 ヨシムラ スズキ シェルアドバンス 217周(津田拓也/ジョシュア・ブルックス/芳賀紀行)
4:#7 YART YAMAHA – OFFICIAL EWC TEAM 214周(ブロック・パークス/野左根航汰/藤田拓哉)
5:#32 MotoMap SUPPLY 214周 (ジョシュ・ウォータース/青木宣篤/今野由寛)
6:#17 Team KAGAYAMA 213周(加賀山就臣/浦本修充/清成龍一)
7:#01 エヴァRT初号機 TRICK STAR 213周(出口修/井筒仁康/エルワン・ニゴン)
8:#22 SatuHATI. Honda Team Asia 212周(ザクワン・ザイディ/ディマス・エッキー・プラタマ)
9:#18 ミストレーサ with ATS 212周 (中津原尚宏/小林龍太/関口太郎)
10:#090 au&テルル・KoharaRT 212周 (ダミアン・カドリン/大久保光/秋吉耕佑)

photo & text : koma

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