2019全日本ロードレース開幕戦もてぎ 決勝レース2

2019/04/08

中須賀克行ダブルウィン! 2位に高橋巧。但し、23周終了後の差はたった0.1秒。ハイレベルな一騎打ち!3位に野左根航汰。

中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が高橋巧(Team HRC)との一騎打ちを制して開幕2連勝を挙げる!しかし、ゴール後のタイム差はわずか0.113秒。如何にハイレベルな接近戦であったかがうかがわれる。中須賀が圧勝していた昨年とは違いTeam HRCと高橋巧は確実に進化している。チームメイトの野左根航汰は連続3位 表彰台。今回もヤマハとホンダのワークスが表彰台を占めた。

全日本ロードレース開幕戦「SUPERBIKE RACE in MOTEGI」の決勝レース2が開催された。23周の決勝レース2スタート!ホールショットは高橋巧が奪う。そして、スタートダッシュに定評がある加賀山就臣(ヨシムラスズキMOTULレーシング)が予選6番手からロケットスタート、2番手で1コーナーに進入する。3番手に中須賀。3コーナー入口で中須賀が加賀山をパス、2番手に浮上。オープニングラップは高橋、中須賀、加賀山、野左根、渡辺一樹(ヨシムラスズキMOTULレーシング)、秋吉耕佑(au・テルルMotoUP RT)、水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)、渡辺一馬(Kawasaki Team GREEN)、Zaqhwan Zaidi (Honda Asia-Dream Racing with SHOWA)、岩戸亮介(Kawasaki Team GREEN)の上位10台。

2周目の1コーナー進入で野佐根が加賀山をパス、3番手に浮上する。しかしこの時には先頭の高橋と中須賀は約2秒前方におり、単独走行を強いられる。

加賀山と渡辺一樹のヨシムラの2台を先頭に秋吉、渡辺一馬、水野がひとつのパックとなる。3周目の3コーナーで渡辺一樹が加賀山をパス、さらに4周目には渡辺一馬も秋吉と加賀山をかわして5番手に浮上すると前を行く渡辺一樹に迫り、5周目のS字コーナーで渡辺一樹をパスしてこの集団の先頭に立つ。

加賀山と秋吉、水野の3台が接近戦を展開。5周目のダウンヒルストレートで加賀山が秋吉のスリップから抜け出しイン側から秋吉をパスする。6周目の4コーナー立ち上がりで秋吉と加賀山のスリップを使って水野が一気に前に出ると水野、秋吉、加賀山の順位で落ち着く。

トップ高橋と中須賀はハイスピードの一騎打ちを展開していた。「(高橋が)前に出たら速いアベレージで走るだろう」と懸念していた中須賀は4周目に1分47秒台に入れると47秒台を連発、6周目には1分47秒818のファステストラップをたたき出す。高橋も5周目に47秒台に入れる1分47秒868、6周目も47秒台。高橋と中須賀は異次元の速さで接近戦を繰り広げる。

そしてついに中須賀は8周目のS字コーナーで高橋を捕らえてトップに立つ。予想通り高橋がレース1の序盤よりも速いタイムでラップしていたので後ろから走りを見極め、前に出るタイミングを量っていた。前に出た中須賀は再び47秒台に入れて高橋を引き離しにかかり9周目に0.758秒差にまで広げる。しかし高橋も食らいつく。むしろ中須賀よりも速いラップタイムで周回、19周目にはその差を0.265秒にまで詰める。

中須賀はラスト5周で意図的にブレーキングポイントを奥に取った。高橋のリズムを崩して差を広げるためである。しかし高橋もブレーキングを奥にしていることに気付いていた。中須賀が時々止まりきれない場面を観て「そこが唯一の勝負ポイント」だと考えていた。しかし相手は中須賀、追いつけたとしても抜くのは難しい。そして迎えたファイナルラップ、中須賀が3コーナーをオーバースピード進入するのをみた高橋だが、一緒について行ってしまった。最後のチャンスが90度コーナーとビクトリーコーナー。「インを突こうと思ったけど行ったら転倒する」と引かざるを得なかった。これで勝負はついた。中須賀がハイレベルな一騎打ちを制して開幕2連勝を飾る。高橋は悔しい2位。しかし、23周を闘ったあとの差はたった0.113秒。いかに接近戦だったかを物語っている。このレースでも中須賀と高橋のバトルに絡めず単独走行を強いられた野佐根が3位。

4位に渡辺一樹、5位:渡辺一馬、6位:水野涼、7位:加賀山、8位:秋吉、9位:Zaqhwan Zaidi、10位:岩戸、の上位10位であった。

「昨日のレースでは良いフィーリングでしたが、今朝のフリー走行ではけっこう攻めたのに1分48秒5とコンディションに合わせ切れていないのか、と少し不安を抱きながらのスタートとなりました。気持ちを切り替えてスタートに集中、昨日と同じようなレース展開を描いていたのですがスタートで出遅れてしまいました。高橋選手は案の定、昨日の序盤よりも速いラップタイムを刻んできたので“このペースではタイヤを温存させながら23周走り切るのは難しいな”と思い、仕掛けられるところで前に出ようと考えました。高橋選手の後ろで速いところ、遅いところ、のポイントを見極めていたのですが、高橋選手も凄く良いブレーキングをしていました。前に出てからはで自分のリズムを崩さずに刻むことに集中しました。最後の5周は、各コーナーでブレーキングポイントを深くしていきました。タイムも落ちなかったのでなんとか行けるかな、とは思いました。作戦通りに勝つことができてとても嬉しいです。
次戦鈴鹿も2レース制で厳しい闘いになるだろうと予想しています。さらに事前テストも無いので金曜日から集中していかないとバイクをまとめきれないかな、と思います。過去に実績があるので自信を持ってレースウィーク初日から飛ばしていけるようにしっかりと準備したいと思います。」と中須賀。

「昨日問題が出た場所はチームが解決してくれました。朝のフリー走行では1分48秒フラットを出せたので決勝レースでは47秒台を出せるかな、と思っていましたが、想定ほどタイムを伸ばすことができませんでした。抜かれてからはある程度一定の間隔を置いてペースを合わせようと離れたり、追いついたりを繰り返していたのですがやはりタイヤもキツくなってきました。ブレーキングを奥にしているのは気付いていました。後ろから時々止まり切れない場面をみていて、そこが唯一の勝負ポイントだと思っていました。しかし、最終ラップの3コーナーでオーバースピードで入っていくのがわかったのですが自分も一緒について行ってしまい、そこが反省点です。ビクトリーコーナーのインを突こうかと思いましたが、そうすると自分が転ぶなと思い、引かざるを得なかったです。勝負を仕掛けられませんでしたが昨日よりは僅差でゴールできたので次戦鈴鹿でしっかりと挽回したいと思います。今回苦手なもてぎで1秒くらい自己ベストを更新する好調さをみせたので、鈴鹿でもこの流れでレースをしてできれば中須賀選手の前でゴールしたいです。」と高橋巧。

「昨日の反省からリアのセッティングを少し変えたのですがそれが今朝のフリー走行では上手く機能していて良い感触を得ていました。決勝レースも走りだしてフィーリングが良かったのですが、やはり前の二人のペースが速かったです。スタートも悪くはなかったのですが序盤にペースを上げられず自分としては踏ん張ってみたのですがジリジリと離されてしまい厳しい展開となってしまいました。自分の中ではベストを尽くせたレースでしたが課題が残るレースだったと思います。鈴鹿はあまり得意ではないのですが、もてぎ同様、中須賀選手と高橋選手のレベルの高い闘いとなると思いますが、そこに自分も絡んで3人でレースをしたいです。」と野左根。

全日本ロードレース開幕戦「SUPERBIKE RACE in MOTEGI」の決勝レース2上位10位結果は以下の通り。

優勝:#1 中須賀克行YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2 位: #634 高橋巧 Team HRC
3位:#5 野左根航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
4位:#26 渡辺一樹 ヨシムラスズキMOTULレーシング
5位:#23 渡辺一馬 Kawasaki Team GREEN
6位:#634 水野涼 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
7位:#12 加賀山就臣 ヨシムラスズキMOTULレーシング
8位:#090 加賀山就臣 ヨシムラスズキMOTULレーシング
9位:#15 Zaqhwan Zaidi Honda Asia-Dream Racing with SHOWA
10位:#64 岩戸亮介 Kawasaki Team GREEN

photo & text : Toshiyuki KOMAI