2019全日本ロードレース第2戦鈴鹿 公式予選・決勝レース1

2019/04/21

高橋巧、驚愕のコースレコード&レース1優勝。2位にヨシムラの渡辺一樹、3位に野左根航汰

速い、そして強さが加わった高橋巧(Team HRC)。去年まで4秒台で信じられないタイム、と大騒ぎしていたのに、高橋はまさに前人未到のもの凄いタイムをたたき出した。2分3秒874!しかも連続で3秒台に入れてレース1、レース2のダブルポールポジション獲得。中須賀賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)は予選2番手、予選3番手にヨシムラの渡辺一樹(ヨシムラスズキMOTULレーシング)。

高橋はそのままレース1も制してポール・トゥ・ウィン!2位に渡辺一樹、ヨシムラに久々の表彰台をもたらした。3位に野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)。中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)はまさかの転倒リタイヤ。

高橋巧の速さはホンモノだ。このウィークに入ってから既にコースレコードを超える2分4秒391を出していたが、公式予選がスタートしてすぐに4秒4をマーク、そして翌周、誰もが目を疑う数字が飛び込んでくる。2分3秒874!かつて誰も経験したことのない3秒台。しかもその翌周にも3秒963と連続3秒台。その後は2分4秒台で周回を重ね、4秒台の決勝レース走行を想定した走りをみせていた。Aグループトップで予選を終えていた中須賀が2分4秒880。中須賀より約1秒速いタイムでポールポジションを獲得した。

予選2番手は中須賀。そして予選3番手にヨシムラが食い込んできた。渡辺一樹が予選終了間際に2分6秒631のベストタイムから一気に4秒台に入れる2分4秒980。予選4番手に渡辺一馬(Kawasaki Team GREEN)2分5秒184。予選5番手に野左根の2分5秒647。

レース1の予選上位5位

ポールポジション:高橋巧(Team HRC)2分3秒874
2:中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)2分4秒880
3:渡辺一樹(ヨシムラスズキMOTULレーシング) 2分4秒980
4:渡辺一馬(Kawasaki Team GREEN)2分5秒184
5:野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)2分5秒647

レース2のグリッドは各ライダーのセカンドラップタイムで決定される。上位5台は以下の通り。

ポールポジション:高橋巧(Team HRC)2分3秒963
2:中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)2分4秒953
3:渡辺一馬(Kawasaki Team GREEN)2分5秒200
4:野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)2分5秒694
5:水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)2分6秒313

 

午後2時45分、14周による決勝レース1がスタート!
ホールショットは高橋が奪う。中須賀は若干出遅れ、渡辺一馬が良いスタートを切る。1コーナーを高橋、渡辺一馬、中須賀、の順で進入するが2コーナーで中須賀が渡辺一馬をパス、2番手に浮上する。早くも高橋と中須賀がアタマひとつ抜け出して3位以下に差をつけ始める。そして130Rで中須賀が仕掛けて高橋をパス、トップで最終コーナーを駆け下りてくる。オープニングラップは、中須賀、高橋巧、渡辺一樹、渡辺一馬、野左根、水野、秋吉耕佑(au・テルルMotoUP RT)、加賀山就臣(ヨシムラスズキMOTULレーシング)、岩戸亮介(Kawasaki Team GREEN)、高橋裕紀(KYB MORIWAKI RACING)の上位10台。

2周目のS字入口、高橋が中須賀のインを突いてトップを奪い返す。2周終了時点でトップ2台は3位以下に1.832秒の差をつけていた。そして3周目のデグナーカーブで衝撃的な映像が飛び込んでくる。なんと中須賀が転倒。まさかのノーポイントレースとなってしまう。

中須賀の転倒には気付かなかったという高橋は手綱を緩めることなくプッシュし続ける。奇しくも中須賀が転倒した3周目はファステストラップ2分4秒387をたたき出した周だった。

高橋巧の独走となった後方で渡辺一馬、渡辺一樹、野左根の3台による2番手争いが熾烈を極める。西ストレートで直線の速さを活かした渡辺一馬が先頭に立てば、1コーナーで野左根がインをついて抜き返す、しかしその先の2コーナーでインを突いた渡辺一馬がさらに抜き返す、など各コーナーで順位が入れ替わり、最終シケインには3ワイドで進入するシーンも見られた。このバトルは最終ラップまで10ラップ以上続けられる。

激しい2番手争いの後方でも水野、秋吉、加賀山の3台による5番手争いが展開される。しかし水野がマシントラブルから遅れ始め、秋吉が単独5番手走行となる。水野を捉えた加賀山の背後に岩戸が迫り3台のパックとなる。加賀山は水野を捉えて前の秋吉を追うが既に5秒以上の差が開いていた。

高橋は完全に一人旅。2位に16秒698の大差をつけて今シーズン初優勝!しかもポール・トゥ・ウィン。開幕戦もてぎからわずか2週間でキッチリと仕上げてきたHRCと高橋巧の底力を感じたレースであった。

そして2番手争いに衝撃のラストが待ち受けていた。ファイナルラップの最終シケイン、渡辺一馬、野左根の順に進入、するとなんと、2台とも転倒を喫してしまう。「明らかにオーバースピードだった」とい野左根、最終ラップのシケインで刺そうと考えていた。両者とも接触したわけではなくそれぞれが転倒。そしていち早くマシンを起こしてチェッカーを受けたのが野左根。

野左根と渡辺一馬の2番手争いを後方から様子を見ていた渡辺一樹。「予選よりも路面温度が上がっていてタイヤを温存させないと最後に仕掛けられない」と冷静にみていた。渡辺一馬と野左根の転倒にも巻き込まれず2位でチェッカーを受けた。ヨシムラに移籍してから喉から手が出るほど欲しかった表彰台を初めて獲得した。

3位に野左根、4位に秋吉、渡辺一馬もマシンを起こして再スタート、5位でフィニッシュ。6位に加賀山、7位岩戸、8位Zaqhwan Zaidi(Honda Asia-Dream Racing with SHOWA)9位Zaqhwan Zaidi(Honda Asia-Dream Racing with SHOWA)、10位:前田恵助(YAMALUBE RACING TEAM)の上位10位であった。

高橋巧記者会見コメント

「優勝できて良かったです。予選の時からコンディションが随分変わってしまい、転ばないように、リスクを追わずに速く走らなくてはならなかったことが辛かったです。序盤から後ろとの差を広げてそこからレースをコントロールできたのが良かったです。今日は思っていたほどアベレージを上げられなかったので今日のデータを見直して明日はもっと速いペースで今日みたいなレースをしたいと思います。

中須賀選手が転倒したことは知りませんでした。誰が2位を走っているのかもわからないままがむしゃらに走っていました。1周目、2周目を走った後で“今日は結構ヤバイかも”と思いました。最初に逃げるしかない、と思って中須賀選手の前に無理矢理出て離せるだけ離そうと思いました。中須賀選手に勝負して勝てていないし、開幕戦では負けているので優勝できたのは嬉しいのですが、明日またここに戻ってこれるように頑張ります」

渡辺一樹記者会見コメント

「ここに来るまで本当に長かったです。去年も表彰台まであと一歩というタイミングは何回かあったのですが、チームがマシンの課題に対する様々な改良をしてくれましたし、自分のライディングもマシンに合わせて変えていくことができました。本当は前半に中須賀選手、高橋選手について行って1回くらい飛び込めないかな、と考えていたのですがそこには届かず課題はまだまだあるな、と感じました。明日のレース2はディスタンスも長いのでそこに向けてバイクを良くしていきたいと思います。

今回の2位はラッキーな部分もあるので明日は実力でこの順位を獲れるように頑張ります。理想はもう一つ上(優勝)を狙いたいのですがそう簡単に届くものではないので一歩ずつ積み上げていきたいと思います。」。

野左根航汰記者会見コメント

「人生であんなに早くバイクを起こしたのは初めてです。中須賀選手が目の前で転んで、高橋選手には追いつける状況では無かったので自分も厳しい状況でした。

渡辺一樹選手に抜かれたり、渡辺一馬選手に抜かれたりしながら自分が2位を走っている時は後ろがどうなっているのかよく解っていませんでした。自分は後半区間が遅かったので終盤に勝負するときには厳しいなと思っていたところ、一馬選手に仕掛けられてしまい、最終シケインの飛び込みしかないな、と思っていました。

一馬選手も自分もかなり突っ込んだら二人して止まり切れず二人同時に転倒してしまいました。自分がゴールしたとき何位なのかわからずピットに戻ってきたときに3位だとわかりました。ラッキーな部分もありますが悔しいです。今日は良いバトルができたと思うのですが、トップの高橋選手とはだいぶ離れているのでそこをキチンと考えてレース2に臨みたいと思います」

全日本ロードレース第2戦「SUZUKA 2&4 RACE」の決勝レース1上位10位は以下の通り。

優勝:#13 高橋 巧 Team HRC
2位:#26 渡辺一樹 ヨシムラスズキMOTULレーシング
3位:#4 野左根航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
4位:#090 秋吉耕佑au・テルルMotoUP RT
5位:#11 渡辺一馬 Kawasaki Team GREEN
6位:#12 加賀山就臣 ヨシムラスズキMOTULレーシング
7位:#634 水野涼 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
8位:#64 岩戸亮介 Kawasaki Team GREEN
9位:#15 Zaqhwan Zaidi Honda Asia-Dream Racing with SHOWA
10位:#75 前田恵助 YAMALUBE RACING TEAM

Photo & text : Toshiyuki KOMAI