2020全日本ロードレース開幕戦SUGO 決勝レース1

2020/08/09

サバイバルレースを制した野左根航汰。2位に清成龍一、3位に濱原颯道、異色の顔ぶれ。

全日本ロードレース開幕戦は上位陣が次々と転倒する波乱のレースとなった。そのサバイバルレースを制したのは野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM))。公式予選でもポールポジションを獲得しているのでポール・トゥ・ウィン!2位に清成龍一(Keihin Honda Dream SI Racing)、3位に濱原颯道(Honda Dream RT 桜井ホンダ)

今大会は2レース制。公式予選のベストタイムがレース1のグリッド、セカンドタイムがレース2のグリッドとなる。午前中に行われた雨の中の公式予選。野左根が1分36秒032でポールポジション獲得。中須賀が1分36秒409で2番手、3番グリッドには前田恵助(YAMALUBE RACING TEAM)1分37秒207でヤマハがフロントロー独占。

レース2のポールポジションも野左根、ダブルポールを決めた。2番グリッドは中須賀、そして3番グリッドに清成龍一。ホンダ勢トップとしてヤマハに割り込んできた。4番グリッドは前田。

午後3時、レース1決勝スタート。野佐根がアウトからインに切れ込みホールショットを決めると4番グリッドの清成も絶妙なスタートで2番手で1コーナーに進入する。しかし、2コーナー立ち上がりで中須賀が清成をパスすると4コーナーで野佐根のインを付いてトップを奪う。その先のハイポイントコーナーでは野佐根が再びトップを奪い返す。中須賀はコーナーごとに野佐根のインをうかがうバチバチのバトルをオープニングラップから繰り広げる。

2周目、中須賀が1コーナーで野佐根のインを突くと、2コーナーをクロスラインで立ち上がろうとした野佐根の目の前でなんと中須賀がハイサイド!そのままリタイアとなってしまう。

トップは野佐根、2番手に清成、3番手に水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)、4番手に前田、5番手に渡辺一樹(ヨシムラスズキMOTULレーシング)の上位5台。

急遽スポット参戦が決まった渡辺一樹、金曜日はセットが合わず沈んだが予選では5番グリッドまで上昇。決勝でも4番手を走行していたが、10周目の最終シケイン入口で転倒、戦線を離脱してしまう。

渡辺一樹に続いて5番手走行と続けていた前田、渡辺一樹転倒の後、4番手を走行していたが、13周目のハイポイントコーナーで転倒、リタイアとなってしまう。

新型CBR1000RR-R同士の清成と水野、9周目に水野が清成をパスして2番手に浮上するが14周目の1コーナーで転倒を喫してしまう。幸いにもダメージが少なく4番手で復帰する。

これで2番手となった清成。そして3番手に濱原が上がってくる。雨はスタート時より弱くなり路面も水量が減ってくるとタイヤに厳しくなる。濱原は自分のペースを維持する堅実な走りで徐々に順位を上げ、自身初の3位表彰台を獲得した。

トップを快走する野佐根。ファステストラップは1分36秒304。他の上位陣が37秒、38秒台のラップタイムに対して36秒台の走行を続けることで2番手以下に大差をつけることとなり、ポール・トゥ・ウィンを決めた。

2位には清成。今年新たに設立したチームでいきなり2位表彰台。このウィークに入ってからも常に上位におり、幸先の良いスタートが切れた。

フルウェットから乾き始めた微妙な路面コンディションに足元をすくわれ、19台中完走14台の波乱となったレース1。中でも絶対王者:中須賀の転倒リタイアは衝撃が大きく今シーズンのチャンピオンシップに大きな影響を与えそうである。

明日の決勝レース2はドライ予想。このウィークに入ってドライで走っていないのでどこまでドライのセットを出せるかが勝負どころとなるだろう。

全日本ロードレース開幕戦SUGOレース1の上位10位は以下の通り

優勝:#3 野左根 航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:#17 清成 龍一 Keihin Honda Dream SI Racing
3位:#72 濱原 颯道 Honda Dream RT 桜井ホンダ
4位:#634 水野 涼 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
5位:#36 岩田 悟 Team ATJ
6位:#87 柳川 明 will raise racing RS-ITOH
7位:#25 亀井 雄大 Honda Suzuka Racing Team
8位:#44 関口 太郎 SANMEI Team TARO PLUSONE
9位:#28 児玉 勇太 Team Kodama
10位:#19 中冨 伸一 HiTMAN RC甲子園ヤマハ

<優勝:野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)>

「率直に嬉しいです。中須賀選手とは1周目に主導権争いをしてました。1周の間に3〜4回抜きつ抜かれつのバトルがありました。お互い思っていることは同じで序盤に前に出て自分のペースで引っ張る展開を考えていました。同じようなタイムですと最後に抜こうと思っても抜けません。かなりのタイム差があれば可能ですが自分と中須賀選手のタイム差は僅差なので序盤に前に出ておかないと抜けないと思ったので、なんとしても前に出たかったです。ウェットコンディションではドライとは違い後ろから走るのは難しく、先行した方が有利にレースを展開できます。

雨がもっと降ると思ったのですがあまり降らずこの微妙な路面でした。ちょっとラインを外すとグリップが全然違いました。タイヤにも厳しいコンディションでした。

明日は晴れ予報ですが、ドライで全然走れていないので朝フリーでしっかり走りたいです。事前テストのドライでもトップタイムを刻めているので自信はあります。の接触で」

 

 

<2位:清成龍一(Keihin Honda Dream SI Racing)>

「優勝ではないけど凄く嬉しいですし、ほっとしています。今日はスタートが決まったら絶対に行こう、と思っていました。1コーナーで中須賀さんまで抜けるかな、と思ったのですが抜けず、このまま付いていったら自分にスイッチが入って転倒のリスクが増えるな、と思って押さえていこう、と思いました。でも序盤くらいはトップ争いをしたかったと思います。自分も含めて先ずはデータを取ることが大切ですので先ずは完走できてデータ収集できて良かったです。トップとの差はまだまだあるので今日の課題を解決して早く追いつきたいと思います。

新型マシンなのでデータが少なく、海外からの情報もありません。自分の乗り方もあると思いますがセットアップが難しいバイクだと思います。自分の理想にはまだまだ遠いですが、今日の表彰台は乗りやすくなってきたからだと思うので、セットアップの方向性は悪くないと思います。チームは自分を信頼してくれて事前テストから自分のやりたいようにやらせてもらえることに感謝しています。」

<3位:濱原颯道(Honda Dream RT 桜井ホンダ)>

「今まで表彰台に乗れそうで乗れなかったレースが多かったです。午前中の予選では最後に転倒してしまいました。そこで乾いてくる路面は危険だとわかりました。この表彰台はケガの功名だと思います。

決勝前に雨雲レーダーをみていて、レース途中から雨量が増えると予想してフロントタイヤにソフトを選択しました。ですが雨量は増えずタイヤ選択が外れたので無理をしない走りにしました。でもペースは落としすぎないように注意しました。1位と2位のタイム差を知って、これは追いつけない、とわかったので恥ずかしい走りかもしれませんが表彰台に乗りたかったので現状キープの走りにしました。

ドライでのタイム差はかなりありますのでまたこの位置に来られるか、と言えば難しいかもしれませんが、再び表彰台に乗りたいので頑張りたいと思います。」

Photo & text : Toshiyuki KOMAI