2020全日本ロードレース開幕戦SUGO 決勝レース2

2020/08/13

野左根航汰がダブルウィン!2位に水野涼、3位に渡辺一樹。

酷暑のレース2。野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM))がダブルウィン! 2位にレース1で悔し涙した水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)、3位に渡辺一樹(ヨシムラスズキMOTULレーシング)

決勝レーススタート直前にコース上の液体漏れによりスタートディレイ、1周減算の24周でレーススタートした。

尚、前日のレース1で右肩に負傷を負った中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)と鎖骨骨折を負った加賀山就臣(Team KAGAYAMA)は欠場となった。

抜群のスタートを決めた清成龍一(Keihin Honda Dream SI Racing)がホールショットを決める。野左根、渡辺一樹、前田恵介(YAMALUBE RACING TEAM)、渡辺一馬(Keihin Honda Dream SI Racing)水野、濱原颯道(Honda Dream RT 桜井ホンダ)の順に1コーナーに進入する。

オープニングラップは清成が制する。野左根、渡辺一樹までの上位3台は早くも後続との差を広げ始める。2周目の馬の背コーナー、清成のインを突いた野佐根が接触、失速した清成は3番手にポジションダウン。

やがて3台で形成していた先頭グループに水野が追いついてくる。渡辺一馬は単独5番手走行。

その後方で前田、濱原、亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)、柳川明(will raise racing RS-ITOH)の4台による6番手争いが展開される。

6周目に濱原が前田をかわして6位集団の先頭に立つ。前田はマシントラブルからペースを上げることができず徐々に順位を下げていく。

野佐根のペースが速い。3周目に1分27秒台に入れると5周目に1分27秒836のファステストラップをマーク。その後も27秒台を連発して独走態勢を築く。その後方では渡辺一樹、清成、水野が約1秒の等間隔で単独走行を続けていたが、清成が渡辺一樹を猛追、徐々にその差を縮めて12周目のシケインではすぐ背後まで迫る。その間に水野も近づき2番手争いが3台のパックとなる。

13周目のSPアウト立ち上がりから110R進入で清成が渡辺一樹のインに飛び込む。シケイン進入でも清成が前。しかし立ち上がりで渡辺一樹が清成をかわすと2番手でホームストレートを通過する。ずっと背後についていた水野は1コーナー進入で清成のインから3番手に浮上する。清成は4番手にポジションダウン。

清成をかわした水野はその勢いのまま14周目のホームストレートで渡辺一樹の背後に付くと1コーナー進入で渡辺一樹のインからかわして2番手に浮上する。

5番手走行の渡辺一馬に追いついた6番手グループ。濱原は渡辺一馬をかわして5番手浮上。亀井が渡辺一馬の背後に迫ると16周目の馬の背でパス、6番手に浮上する。

一人旅を続ける野佐根。終始1分28秒台前半でラップを重ね、2位に10秒044の大差をつけて2連勝を飾った。2位には水野。レース1のゴール後にピットに戻ると悔し涙を流した。感情をあまり人に見せない水野、ライバルの野佐根が優勝、同年代の濱原が3位、相当悔しかったのだろう。その悔しさが更なる成長に繋がる。3位にスポット参戦の渡辺一樹。今回はマシン開発の一環として参戦だが、その速さは証明できた。

全日本ロードレース開幕戦SUGOレース2の上位10位は以下の通り

優勝:#3 野左根 航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:#634水野 涼 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
3位:#5 渡辺 一樹 ヨシムラスズキMOTULレーシング
4位:#17清成 龍一 Keihin Honda Dream SI Racing
5位:#25亀井 雄大 Honda Suzuka Racing Team
6位:#72濱原 颯道 Honda Dream RT 桜井ホンダ
7位:#33渡辺 一馬 Keihin Honda Dream SI Racing
8位:#87柳川 明 will raise racing RS-ITOH
9位:#36岩田 悟 Team ATJ
10位:#44関口 太郎 SANMEI Team TARO PLUSONE

<優勝:野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)>

このウィークで初めてのドライでカラダもついていけなくてキツかったです。レース終盤に少しペースが落ちましたが終始1分28秒フラットの安定したタイムでラップできたことは良かったです。自分はリアに柔らかめのタイヤをチョイスしました。終盤キツかったですが、序盤から中盤にかけてプッシュできたのが良かったです。

昨日のレース1では、自分も中須賀選手も先行した方が主導権を握ることがわかっていたのであの1コーナーは引けませんでした。そこで中須賀選手が転倒して自分が勝てたのは運が少し味方してくれたかな、と思います。実は今朝のウォーミングアップでハイポイントコーナーで転倒しました。ですがその転倒のおかげで走り方をアジャストできたので転倒も無駄にはしていないと思います。

今年、自分のオリジナルでマシンの方向性を大きく変えてみました。二次旋回でよく曲がるようなセッティングです。今年のセパンで試したセットが昨年よりも13秒も速くなったので日本の鈴鹿とSUGOでテストしてもキチンと機能してくれたので方向性は間違っていないと思っています。」

<2位:水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)>

「昨日のレース1では2位走行中に転倒してしまったので今日は先ず完走してデータをしっかりと取ることを考えました。今年新型となったCBRのドライでのデータ取りができずベースセットもなかなか決まりませんでした。事前テストから雨が多く、このウィークでもドライになったのは今朝になってからで上手く合わせることができずトップとの差が開いてしまったのが悔しいです。2位と言う順位に満足はしていませんが、次戦岡山はでは表彰台の真ん中に立ちたいと思います。

テストからウィークに入る間に四輪のドリフト走行があったみたいで、路面コンディションが違って感じました。むしろ雨量が多い方がグリップ感を感じられましたが、レース1では雨量が少なくそこで足元をすくわれた感じがします。昨年はファクトリーマシン、今年は新型のキット車。セットアップのアタマがファクトリーマシンベースでいたのですがそれは違うなと思い、今日の朝フリーから別のセットで臨みました。ここにきてやっとベースセットの方向性が見えてきたという感じです」

<3位:渡辺一樹(ヨシムラスズキMOTULレーシング)>

「今回のスポット参戦はマシン開発の一環としての参加でした。そう言う意味ではいろいろと制約が多いレースでした。鈴鹿とSUGOの事前テストで良いエンジンが見つかりました。但し、まだライフ面などの実績が取れていないので今回は使用しませんでした。良いパフォーマンスを発揮するのでそのエンジンで行きたい、とチームに申し入れしていたのですが今回は従来のエンジンで行く事になりました。エビデンスのない新しいパーツを実戦での投入するのはリスキーであることはわかります。

今回のマシンは去年の最終戦鈴鹿のマシンです。鈴鹿からここSUGOに持ってきても大きな問題が出ずにしっかりと対応できているということは、将来的に“どこのサーキットでもしっかり走れる”セットアップを造れている、と自分の中で手応えを感じています。但、そこから勝つための “詰めしろ“という部分では昨日のレースも今日のレースも詰め切れませんでした。今日のレースで昨日のミスを挽回できたかどうかわかりませんが、及第点をもらえるのではないかな、と思っています。」

Photo & text : Toshiyuki KOMAI