2020全日本ロードレース第4戦もてぎ 決勝レース2

2020/10/20

野左根航汰、圧勝で6勝目を挙げる。2位に中須賀克行、3位に水野涼。

野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM))が尊敬する先輩・中須賀克行との真っ向勝負で競り勝ち今季6勝目を挙げる。中須賀は2位。3位に水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)

前日の冷たい雨が嘘のように爽やかな好天となった決勝日。朝フリー走行時に濃霧が発生したため全体スケジュールが遅れ決勝レースは3周減算の21周で争われた。

ホールショットは野左根が奪う。清成龍一(Keihin Honda Dream SI Racing)、中須賀、加賀山就臣(Team KAGAYAMA)の順に1コーナーに進入する。2コーナー立ち上がりで中須賀が清成をパス、2番手浮上、その先の3コーナー進入で加賀山が3番手浮上する。予選6番グリッドの渡辺一馬(Keihin Honda Dream SI Racing)が3コーナー進入でイン側のラインから清成をパスして4番手で通過する。

前日のレース1でマシンが炎上した水野はTカーで参戦。朝フリーはマシントラブルで走れず、ぶっつけ本番で臨んだ。7番手の位置を走行していたがヘアピン進入で思い切りレイトブレーキング、濱原颯道(Honda Dream RT 桜井ホンダ)と渡辺をかわして一気に5番手に浮上する。

オープニングラップは野左根が制する。以下、中須賀、加賀山、清成、水野、渡辺一馬、濱原、岩田悟(Team ATJ)、亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)、秋吉耕佑(au・kosuke racing)の上位10台。

オープニングラップから野左根、中須賀のヤマハファクトリー2台が速いペースで3番手以下を引き離す。野左根は2周目に早くも1分48秒台に入れると48秒台を連発。5周目に1分48秒433のファステストラップをたたき出す。6周目には2位中須賀との差を5秒359まで広げ、単独トップ走行となる。

中須賀の背後に清成が迫る。中須賀よりもコンマ3〜5秒速いラップタイムで周回。6周目に48秒台に入れると8周目に1分48秒791のベストタイムをマーク。6周目に1秒577あった差は10周目に0秒439、14周目には0秒190に縮まりピタリと背後につける。

清成がすぐ背後に来ているのはエンジン音でわかったと言う中須賀。ブレーキングをより深く、奥まで遅らせて清成の攻めをかわす。そのバトルは15周以上続き精神的に効いたと言う。清成も追いつくけど抜けないという状態が続き二人の神経戦が続いた。

渡辺と濱原が激しい5番手争いを展開する。レース序盤から中盤にかけては渡辺のラップタイムが速かったが、中盤以降、濱原の方がラップタイムを上回り、徐々にその差が迫ってくる。16周目にはその差は0.1秒とテール・トゥ・ノーズのバトルを展開する。

野左根は1分48秒台という驚異的なラップタイムで独走。2位中須賀に11秒もの大差をつけて圧勝。「本当は1分47秒台でラップしたかった」と驚くコメント。これで6戦連続のポール・トゥ・ウィン。中須賀は越えるべき大きな山としてその背中をずっと追ってきた。赤旗やウェットなどでなかなか真っ向勝負ができなかったが今回は完全勝利。嬉しさを滲ます。中須賀も弟のように可愛がっている後輩の成長に目を細くする。

2位には、清成との神経戦を制した中須賀。3位に清成。4位に水野、激しい5位争いは渡辺が抑えきった。

※レース終了後に清成のマシンに車両違反が確認され大会審査委員会から失格の裁定が下され失格となった。それに伴い順位がひとつずつ繰り上がり、3位表彰台は水野となった。

<優勝:野左根航汰記者会見>

「やっと中須賀選手にしっかり勝てた、と言う気持ちでいっぱいです。本当は1分47秒台で走行したかったのですが思ったよりペースを上げられませんでした。それでも少しずつ離れていったのは、みんなも同様に厳しいのだと思ってペースを落とさないように工夫しながらしっかりと走りました。最後はラップタイムペースが下がってしまいましたがしっかりと21周走り切れました。

もてぎは自分にとって走行機会も多くて好きなサーキットのひとつですが、今日のように勝てるとは思っていませんでした。むしろ昨日の雨のレースの方がもっと逃げられると思っていました。中須賀選手が予選よりも速いペースでついてきて、ヘアピンで後ろを振り返ったのも焦りからでした。昨日はプレッシャーを感じたまま終わったレースだったのですが、今日はチェッカーまでしっかりと走り切れたので良かったです。」

<2位:中須賀克行記者会見>

「野佐根選手が自分を目標にして闘ってきて、自分に勝てた喜びを素直に表現してくれたのはとても嬉しく思います。自分もさらにプレッシャーを与えられ続けるようにしたいです。自分もまだまだ成長できると思っています。野佐根選手がこうやって成長している以上、自分も負けられないな、と言う気持ちを強く持ちました。最終戦2レース、楽して勝たせることなどしないです。来年スーパーバイク参戦が決まりモチベーションが高い状態に応えてしっかりと良いレースをしたいと思います。今年自分はまだ1勝もしていないので最終戦鈴鹿では勝てるようにしっかりと準備したいと思います。」

<3位:水野涼記者会見>

「昨日のレース1でメインカーが燃えたのでTカーで走りましたがトラブルが起きてチェッカーを受けられず、原因はわかりませんでした。今朝のフリー走行でも直っておらず走れませんでした。決勝レースはトラブルは出ませんでしたがその時のポジションを守ることしかできませんでした。メインカーで詰めてきたセットをTカーに転用してもバイクの個体差が出てしまうので同じにはなりません。ぶっつけ本番だったのでスタートが勝負だと思ったのでプッシュしたのですが追いつくことができませんでした。結局レースでは何もできずに4位のポジションをずっと走っていただけでしたが、その位置を走っていたから3位表彰台を獲得できたと思っています。このウィークはトラブルやアクシデントに見舞われて良くない流れでしたがその中で3位表彰台を獲得できたのはポジティブに考えています。新型CBRは鈴鹿にマッチしていると思うので今まで以上にヤマハに迫れるように頑張りたいと思います。」

全日本ロードレース第4戦もてぎレース2の上位10位は以下の通り

優勝:#3 野左根 航汰 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:#1 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
3位:#634 水野 涼 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
4位:#33渡辺 一馬 Keihin Honda Dream SI Racing
5位:72 濱原 颯道 Honda Dream RT 桜井ホンダ
6位:#71 加賀山 就臣 Team KAGAYAMA
7位:#75前田 恵助 YAMALUBE RACING TEAM
8位:#36 岩田 悟 Team ATJ
9位:#25亀井 雄大 Honda Suzuka Racing Team
10位:#13 津田 一磨 BabyFace POWERED by YOSHIMURA

Photo & text : Toshiyuki KOMAI