全日本ロードレース第2戦鈴鹿 公式予選&決勝レース1

2021/04/24

圧巻のポールポジション:中須賀克行!波乱のレース1は優勝:中須賀、2位:清成、3位:加賀山!

レースウィーク3日目。JSB1000クラスは公式予選と決勝レース1が開催された。ポールポジションは中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が獲得。午後に行われた決勝レースは中須賀が優勝、ポール・トゥ・ウィンを飾る。2位に清成龍一(Astemo Honda Dream SI Racing)、3位に加賀山就臣(Team KAGAYAMA)

木曜日に激しく転倒したヨシムラの渡辺一樹は、金曜日は様子を見ていたがドクターストップにより残念ながらレースをキャンセルすることとなってしまった。

今大会は2レース制。公式予選のベストタイムがレース1のグリッド、セカンドタイムがレース2のグリッドとなる。鈴鹿8耐出場権利を獲得するためのトライアウトも兼ねている今大会はエントリー台数が67台。走行はA、Bの2つのグループに分かれて行われる。朝8時45分からAグループ、9時25分からBグループと通常の予選に比べるとかなり早い時間帯から30分間の公式予選が行われた。

Aグループのトップは清成龍一。2分6秒418まで詰めてきた。2番手は岩田悟(Team ATJ)、3番手は亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)ここまでが2分6秒台。

Bグループは開始早々中須賀が2分5秒台に入れる。前日“予選では2分6秒中盤に入れる”と言っていた濱原颯道(Honda Dream RT 桜井ホンダ)が宣言通り2分6秒510をマークしてリーダーボードの2番手に立つ。加賀山就臣(Team KAGAYAMA)も6秒台に入れる。中須賀はその後決勝レースを想定した走行を続けた2分6秒台を連発、最後に2分5秒222をたたき出して圧巻のポールポジションを獲得する。

予選2番グリッドは清成、3番グリッド濱原、4番グリッド岩田、5番グリッド加賀山、6番グリッド亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)、7番グリッド日浦大治朗(Honda Dream RT 桜井ホンダ)、8番グリッド名越哲平(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)、9番グリッド秋吉耕佑(MURAYAMA.TJC.RT)、10番グリッド児玉勇太(Team KODAMA)の上位10台であった。

午後2時5分、14周による決勝レース1がスタート。ホールショットは清成が奪う。岩田、中須賀、と続いて2コーナーを立ち上がり、この3台がアタマひとつ抜けだし、濱原、加賀山、亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)の4番手以下に差をつける。オープニングラップは清成が制し、岩田、中須賀、濱原、加賀山、亀井、日浦、秋吉、生形秀之(S-PULSE DREAM RACING・ITEC)、名越の上位10台。

2周目の1コーナーで中須賀が岩田をかわして2番手浮上、4番手の濱原が岩田に追いつきトップグループは4台となる。そして濱原は130Rで岩田をかわして3番手に浮上、表彰台県内に浮上した。

3周目のデグナーでマシン5台による多重クラッシュが発生。セーフティカー(SC)が導入される。その間にレーシングタイヤは冷えてしまう。この間にいかにタイヤに熱を入れるか、がリスタート後の勝負を左右する。SCは5周に渡り先導し、8周目に入るところでリスタートが切られた。

リスタートした1コーナーで岩田の背後から加賀山がパス、3番手に浮上する。5周に渡るSCでタイヤが冷えたライダーが多い中、加賀山は「全く問題無かった」という。SCの間にしっかりとタイヤに熱を入れていた。この辺りは長年のレース経験値がものを言う。

SCが明け、リスタートと同時に濱原がピットロードを駈け降りてきた。SC走行中にマシンに問題が発生したためピットに戻って修復した。予選からここまで良い走りを見せ表彰台圏内にいたのだがここで大きく順位を落としてしまった。
さらにリスタート時に名越が最終コーナーで転倒を喫してしまう。

中須賀はリスタート後の清成の速さに驚いた。2017年の鈴鹿2&4レースでSC明けの最終コーナーで転倒を喫している。そのことが真っ先に脳裏に過ぎったと言う中須賀は最初の一周は自分に言い聞かせながらしっかりとタイヤに熱を入れ、追撃態勢を取る。

自分にアドバンテージのある持ちタイムを持っていた中須賀はSCが入ってなければ、序盤にトップに立って差を広げて勝つパターンを想定していた。SCによりその機を逸したがリスタート後2周で清成をパス、トップを奪う。トップに立った中須賀はその差を広げ、なんと12周目にファステストラップの2分6秒058をたたき出す。そのままトップチェッカー!ポール・トゥ・ウィンで開幕3連勝を飾る。2位に清成。

レース終盤、加賀山と岩田がつばぜり合いを演じた。加賀山にかわされた岩田であったが10周目に1秒あった差を13周目には0.197秒差にまで縮め、ファイナルラップにテール・トゥ・ノーズの接近戦を展開。固唾を飲んで見守っていた場内から悲鳴が上がる。130Rで岩田が転倒を喫したのだ。

「スタートも決まって良いポジションにいたので落ち着いて最後までレース運びを展開したかったのですが、SCの最中にタイヤに熱を入れきれずリスタート後に加賀山選手に抜かれてしまいました。最終ラップで仕掛けられると思ったのですが行き過ぎてしまいました、これは自分のミスです。」と悔しそうな岩田。レース2に期待したい。
3位入賞の加賀山は表彰台登壇最年長記録を更新した。

4位に亀井、5位に日浦、6位に秋吉、7位に生形、8位に國峰 啄磨(TOHO Racing)、9位に児玉勇太(Team KODAMA)10位に関口太郎(SANMEI Team TARO PLUSONE)の上位10台であった。

優勝:中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)

「予選では新品タイヤで走り、四輪のラバーが乗った路面に合わせた走り方ができてきてフィーリングは良かったです。本当はもう少しタイムを詰めたかったけどアドバンテージのある持ちタイムができたので良かったです。決勝レースは14周と短い上にまさかセーフティカーが入るとは想定外でした。SCの周回が想定よりも多くタイヤが冷えてしましました。以前、ここ鈴鹿でSC明けに転倒したことを思い出したので、SC中とSC明け一周目はとにかくタイヤに熱を入れることに集中しました。リスタート後は周回数が少なかったので早めに前に出たいと思っていました。それが上手くいってその後も自分もリズムで走ることができました。心配された路面もSUPER FORMULAの後の方がコンディションが良く、路面に食い付くとマシンも上手く機能するので今日はレースをコントロールできたかな、と思います」

2位:清成龍一(Astemo Honda Dream SI Racing)

「予選タイムの2分6秒4は一発を狙ったわけではなく、これくらいのアベレージタイムで走らなくては、ということを想定して走りました。しかし赤旗が出たりマイナートラブルが出たのでこれは厳しいな、と思いました。決勝レースに向けてセットを変えて序盤にフィーリングが良いようだったらそのまま行こうと考えていましたが厳しい闘いになりました。明日の決勝レース2に向けてセットをもう一度変えます。朝フリーで感触を見て中須賀選手にもう少し肉薄できるように頑張りたいと思います。」

 

<加賀山就臣記者会見>

「前戦もてぎからフロント廻りのチャタリングの症状が酷くて対策に苦慮していました。それ以外のフィーリングは悪くなかったので本当はもっと勝負したかったけど予選は5番手でした。決勝レースでは得意のスタートを決められず序盤のペースを上手く上げられませんでした。トップグループから2秒近く離されてしまったところでセーフティカー(SC)が入りました。SC明けの再スタートが勝負になるとはわかっていたのでSC中はタイヤに熱を入れました。SC明けに勝負をしかけて順位を上げることができました。その辺りは長年のレース経験が活きていると思います。レースをしている以上優勝することが目標ですが、中須賀選手、清成選手に混じって表彰台に登れたことは非常に嬉しく思います。」

全日本ロードレース第2戦鈴鹿 決勝レース1の上位10台は以下の通り。

優勝:#7中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:#2清成 龍一 Astemo Honda Dream SI Racing
3位:#10加賀山 就臣 Team KAGAYAMA
4位:#11亀井 雄大 Honda Suzuka Racing Team
5位:#41日浦 大治朗 Honda Dream RT 桜井ホンダ
6位:#18秋吉 耕佑 MURAYAMA.TJC.RT
7位:#20 生形秀之 S-PULSE DREAM RACING・ITEC
8位:#47 國峰 啄磨 TOHORacing
9位:#13児玉 勇太Team KODAMA
10位:#9関口 太郎 SANMEI Team TARO PLUSONE

Photo & text : Toshiyuki  KOMAI