2021全日本ロードレース第5戦鈴鹿 決勝レース2

2021/07/18

中須賀克行が10回目のシリーズチャンピオンを勝って決めた!2位に清成龍一、3位に日浦大治朗

中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が今季7勝目を挙げる。同時に前人未到の最高峰クラス10回目のシリーズチャンピオンを獲得した。この勝利は中須賀自身にとって最高峰クラス60勝目であった。2位に清成龍一(Astemo Honda Dream SI Racing)、3位に日浦大治朗(Honda Dream RT 桜井ホンダ)

朝から晴天だったがお昼過ぎくらいから黒い雲が広がり始め、雨が落ちてくるかもしれない状況の中で16周の決勝レース2がスタート!ホールショットは加賀山が奪う。中須賀、日浦、予選7番手だった清成と続いて1コーナーに進入する。S字進入で清成が日浦をパス、3番手に浮上。さらにバックストレートでスリップを使い中須賀をもパスして2番手に浮上する。

オープニングラップは加賀山が制するが、ホームストレートで清成がトップを奪うと中須賀も加賀山をかわして2番手に浮上、加賀山は3番手。以下、日浦、濱原颯道(Honda Dream RT 桜井ホンダ)、名越哲平(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)、岩田悟(Team ATJ)、大久保光(EVA RT初号機 Webike TRICKSTAR)、山口辰也(TOHO Racing)、柳川明(will raise racing RS-ITOH)の上位10台

3周目のシケイン、日浦が加賀山と接触ギリギリのところでインからポジョションアップ、さらにホームストレートで名越が加賀山をパスして4番手に浮上する。清成、中須賀、日浦、名越がワンパックでトップグループを形成、加賀山、濱原が単独で5番手、6番手を走行する。

昨日のレース1でJSB1000クラス初表彰台を獲得した名越は日浦をパスして3番手を走行する。そして名越が仕掛けた。9周目の130R、清成が立ち上がりで僅かに遅れた隙をみてアウト側にラインを取る。シケインにイン側から中須賀、清成、名越の3ワイドで進入、名越はレイトブレーキングでパッシングを図るが清成のラインと交錯して外側に弾かれる。その間に中須賀が清成をかわしてトップに浮上。大きく外に出た名越のインから日浦が3番手に浮上する。

「序盤にペースが上がらない」のが課題だった名越。この鈴鹿で上手く機能させられるようになってきたがレース2ではスタートで出遅れた分を取り戻そうと攻めて行った結果タイヤを使ってしまい後半ペースを上げられなくなってしまった。

雨が降ってきて赤旗が出ることを想定したチームは中須賀に「レース成立の規定周回数は10周、その前に赤旗が出れば仕切り直し、その後であればレース成立。10周の時点でトップに立っているように」との指示を受けていた。チームからGOサインが出るまでは清成の後ろでタイヤを温存させて周回、しかし先頭グループの台数が多いので数を絞ろうと考えていたところに名越のアタックがあり「このペースでは追いつかれるリスクがある」と判断してチームからのサインが出る前にトップに出る判断をした。

昨日のレース1ではスタートで出遅れた日浦だが今日は上手くスタートを決めて先頭グループを形成する。9周目のシケインで名越をかわして3番手に浮上すると、10周目のシケインで清成をパスして2番手に浮上する。

フリー走行や予選で順位が振るわなくても決勝レースになると先頭争いに絡んでくる清成。そこはライダーの地力の高さだと思うのだがそんなことはない、といつも言う。むしろ乗れていないのはライダーの責任、と自らを律するコメントが多い。レース1ではセットを外して順位を上げられなかった。その結果を踏まえてレース2に向けて大きくセットを変えた。そのマシンを巧に操り先頭争いを展開、一度は日浦にかわされたが12周目のスプーン立ち上がりで僅かにマシンが暴れた隙を見逃さずバックストレートで抜き返して2番手を奪取する。

9周目にトップに立った中須賀、その後はタイヤマネジメントを心がけながらのペースアップにもかかわらず後続との差を広げ始め12周目には3.414秒にまで広げて独走態勢を築いてトップチェッカー!今季7勝目、それはJSB1000クラス60勝目であった。WGP参戦60周年の節目に60勝目を挙げて10回目のチャンピオンを獲得。絵に描いたような快挙だが決して簡単な事ではない。並大抵の努力では1回でもチャンピオン獲るのは無理なのにそれを10回も獲った。まさに偉業としか言えないだろう。この中須賀でもファイナルラップは緊張して走りのリズムが取れなかったそうである。

清成と日浦の2番手争いは終盤にペースが上がらなくなった日浦が下がり清成に軍配。2位表彰台を獲得、日浦は2日連続の3位表彰台であった。

優勝:中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)記者会見

「昨日と同じく路面温度も高く、レース1より2周長いのでタイヤマネジメントが大切でした。天候が不安だったのでチームと赤旗が出た場合の想定をしていました。規定周回数は10周。その前に赤旗が出たら2ヒート制になるのでそれまでは後ろで様子を見ようと思っていました。ですが、9周目に名越選手が仕掛けてきたのでこのペースではリスクが高いと思ってチームからのGOサインが出る前だけど前に出ました。それからはタイヤマネジメントしながら自分のペースに集中して走りました。最後の一周は緊張でリズムが取れませんでした。「何回チャンピオンを獲ってもこの瞬間は緊張するんだな」ということを考えながら走っていました。

ヤマハの世界グランプリ参戦60周年の記念の年に記念のカラーリングマシンに乗って10回目のチャンピオンを決められたことをファンの皆さんの前で見せられたことを非常に嬉しく、また誇りに思います。ここまで全日本を引っ張ってきた自負はあります。ここで終わりではなく自分は今でも進化していると思っています。これからも良いレースをみなさんの前でご覧に入れたいと思います」

2位:清成龍一(Astemo Honda Dream SI Racing)記者会見

「ウィークに入ってから新しいセットの方向性を試していたのですがフィーリングがあまり良くなかったです。レース1はセットの方向性もありますが自分自身が合わせられずに乗り切れませんでした。レース2に向けて過去のデータを見ながら元に戻しました。元に戻すというのももの凄く大変な作業でチームは昨夜徹夜でした。でもそのおかげでフィーリングは良くなり攻めて走ることができました。チームやスポンサー企業のみなさまには本当に感謝しています。あとは乗り手であるライダーの責任なのですが今日も良い走りを見せられなかったと反省しています。2位表彰台は嬉しいですが走りに納得はしていません。次戦は自分も納得できるような走りでみなさんにお返ししたいと思います」

2位:日浦大治朗(Honda Dream RT 桜井ホンダ)記者会見

「今日は昨日のレース1とは違いスタートが上手く決まって序盤から先頭グループで走れたのでとても勉強になりました。トップ集団の中でも走って行けるセッティングを出してくれたチームとメカニックに感謝しています。最後までなんとかトップに付いていきたかったのですが路面コンディションと暑さで思っていた以上に体力を奪われてしまい終盤にペースを上げることができませでした。もうひとつ順位を上げることが出来なかったことは残念ですが、2回連続で表彰台に立てたことは嬉しく思いますし自信に繋がりました。」

全日本ロードレース第5戦鈴鹿 レース1上位10台は以下の通り

優勝:中須賀克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:清成龍一 Astemo Honda Dream SI Racing
3位:日浦大治朗 Honda Dream RT 桜井ホンダ
4位:名越哲平 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
5位:濱原颯道 Honda Dream RT 桜井ホンダ
6位:加賀山就臣 Team KAGAYAMA
7位:岩田悟 Team ATJ
8位:柳川明 will raise racing RS-ITOH
9位:秋吉耕佑 MURAYAMA.TJC.RT
10位:大久保光 EVA RT初号機 Webike TRICKSTAR

Photo & text : Toshiyuki  KOMAI