2022鈴鹿サーキットファン感謝デー二輪合同テスト:ヤマハ編

2022/03/08

鈴鹿サーキットファン感謝デー二輪合同テスト。ヤマハ編

今年開場60周年を迎える鈴鹿サーキット。毎年恒例のファン感謝デーが3月5日(土)、6日(日)に開催された。その翌日にファン感謝デーに参加したチーム・ライダーによる二輪合同テストが行われた。全日本ロードレース、鈴鹿8耐のカテゴリ混走で8チーム14人のライダーが走行した。

土曜日までは晴天で暖かかったが、日曜日は一転、時折雪がちらつく真冬の寒さ。テストの月曜日も朝方まで雨が降り路面はウエット。9:00〜10:00の走行はコースコンディションの確認で終わる。

13:45〜14:45の走行はドライ。しかし気温も路面温度も上がらず冷たい風が吹き付けるコンディションであった。トップタイムは中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)2分7秒321。昨年、前人未到の10度目のチャンピオンを獲得。当然今年も11度目を狙うが中須賀が見ているのは目の前の一勝。ひとつひとつの積み重ねの結果がチャンピオン。やるべきことは「しっかりと準備をする」。そのスタンスは変わらない。(中須賀克行、前人未到のV10達成 「特別なことをしてきたわけではない」

2年ぶりにヤマハファクトリーが2台体制になった。白羽の矢が立ったのは岡本裕生。ST600クラスチャンピオンを経て昨年末ST1000クラスにステップアップ。そして今年最高峰クラス、しかもファクトリーチームに抜擢された。今までのマシンとは全く別物、異次元という初走行は総合10番手。まだまだこれからというところだろう。

「今年のマシンは昨年から大きく変わったところはなく熟成を重ねています。制御系やマシンセッティングのアプローチ方法などを変えて詰めていいます。

昨年課題だったマップ系やテストコースで出てきた細々としたところの確認ができたことはよかったです。

テストコースで良かったものが本番のサーキットでも良い方向に向かったのでそういう意味では良いテストになりました。」

「今年は岡本くんが入ってきてまた2台体制になります。1人で走るより2人の方がデータ量も増えますし、自分にとっても良い刺激になります。今年は今まで以上に妥協が許されない厳しい状況になりますので気が引き締まります。若手の成長は全日本の課題でもありますので業界全体のレベルを上げる必要があります。それが自分の仕事でもあると思っています。もちろん負ける気は無いし、負けるとは思ってませんが、岡本くんには自分を超えていって欲しいと思います。まぁ、そう簡単には越えさせませんけど(笑)」

「昨年みたいに完全なシーズンになれば良いと思いますけど、そう簡単ではないと思っています。毎戦どんなコンディションでもその状況に合わせて闘えるようにしっかりと準備をして、面白いレースをしたいと思います。そしてファンの皆さんが喜んでいただけるレースを毎回見せていきたいと思います。」

「自分が思ったより全然難しいバイクで誰でも簡単に乗れるバイクじゃないな、と痛感しました。焦りはそんなにないですけど、早く慣れなきゃいけないなと思います。開幕までテスト少なく、その少ない限られたテストの中でしっかり慣れて、バトルできるぐらいまで仕上げていかないといけないので、1回1回のテストを大事にしたいと思います」

「テストコースで初めて乗った時は今日以上に寒くて風が強くてマシンに乗れず出鼻を挫かれましたが、今日乗った感じはこの間よりは良い感じだと思うのでこれからが楽しみです。」

「やはり中須賀選手は凄いです。今日、一度だけ1コーナー進入を後ろから見たのですが恐ろしかったです。でも(中須賀を)越えるのも自分の役目だと思っているので盗めるところは盗んでもっと自分を磨いていこうと思います。」

ここで中須賀が「誰でも(ファクトリーチームに)入れる訳でなはい。そういう意味では選ばれし者なんだから自分に自信を持って良い。自分の夢のためには俺を踏み台にすれば良い。あとは勝つために何をすれば良いのかしっかり考えて、しっかりと準備をする、それだけだよ」と後輩にアドバイス。

「このような素晴らしい環境に置いていただいたので、その期待を裏切らないように、キチンと考えてライダーとして一回りも二回りも成長できたらと思います。そして初年度から結果を出せるように精一杯努力をしたいと思います」

久しぶりの2台体制。ファクトリーチームはここだけ。中須賀自身、その恩恵は十分にわかっている。理解した上でさらに自分でやるべきことをしっかりと定めチーム全体で勝ちを狙い、年間王者を狙う。この好循環は今年も続くであろう。岡本は中須賀という最も頼りになる先輩から学ぶチャンスを得た。そう簡単に追い越せる山ではないが、全日本全体の底上げのためにも岡本のような若いライダーの成長と台頭が必要である。

Photo & text:Toshiyuki KOMAI