Snapshot⑫-素肌にレーシングスーツ:藤原克昭-

2020/06/04

新型コロナウィルスの影響で2020年の開幕を迎えられない全日本ロードレース選手権。感染し亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に、感染された方々の早期回復と皆様の健康をお祈り申し上げます。

Racing Heroesでは過去に撮影した写真の中から独断と偏見でセレクト、その時のエピソードと共にランダムに掲載していきます。

褐色の肌と鋼のボディ、その肉体に直接レーシングスーツを羽織る。藤原克昭のトレードマークだ。

そのいでたちでパドックにいるものだからいつも目立つ。そして藤原の周りには常に人が集まる。レース関係者はもちろん、プレス、ファンの人たち、友だち。。藤原は“人”を大切にする。人との繋がりを大事にする。信頼関係があって初めてレースが成立する。だからチームメイトを、チームスタッフを信頼し大切にする。

藤原ほどのエンターティナーはいないだろう。日の丸をマントに表彰台に立つ。コースサイドにカメラマンを見つけるとピースサインを送る。スターティンググリッドでハンドルバーに足をかける、などとにかく派手だ(笑)。

「俺って天才!」「次のレースも勝っちゃうよ!」は藤原の常套句。しかし、結果を出さなければ単なる大口叩きである。だから勝つために人一倍の努力をする。徹底的に自らを追い込む。でもそんな努力をしているところを他人には見せない。一見するとちゃらんぽらんのようだが実は速い。ファンサービスも、レースも、全てにおいてプロフェッショナル。それが藤原の美学。

藤原は現在Kawasaki Motors Enterprises (Thailand) Co., Ltd.のマーケティン部長として『Kawasaki』ブランドに対する共感や信頼醸成を通じて顧客にとっての価値を高めていくブランディングを担当している。もちろん『Kawasaki Thailand Racing team』の責任者としてレース活動も行う。マーケティング業務はもちろん会社員も初めて。コロナ禍の中タイで経済について、マーケティングについて黙々と勉強している。『人が驚くようなこと、喜ぶようなことを仕掛けたい』と言う。レースで培った分析による緻密な戦略立案、とっさの判断力、そして派手なパフォーマンス。それらは今後の藤原の業務に大いに役立つはずである。

Photo & text : Toshiyuki KOMAI