2022全日本ロード第7戦 岡山 決勝レース

2022/09/19

中須賀克行、最終戦を待たずにチャンピオン決定!開幕10連勝!2位:作本輝介、3位:濱原颯道

中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が独走優勝、今季開幕から10連勝で前人未到の最高峰クラス11回目のチャンピオンに輝いた!昨年からカウントすると20連勝を達成。強い!2位に作本輝介(Astemo Honda Dream SI Racing)、3位に濱原颯道(Honda Dream RT桜井ホンダ)。

中須賀はここまで全戦全勝で225ポイント。ランキング2位の岡本裕生(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)152ポイント(73ポイント差)、3位の渡辺一樹(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)143ポイント(82ポイント差)。今大会は岡本が前戦オートポリスの怪我の影響で欠場、渡辺もEWC最終戦ボルドール24時間耐久レース出場のため欠場。

最終戦鈴鹿はボーナスポイント3が加算される3レース、つまり全部勝つと84ポイント獲得となる。岡本が鈴鹿で3勝を挙げると236ポイント。現在225ポイントの中須賀はこの岡山で11ポイント(5位)を獲ればチャンピオンを獲得する。かと言って中須賀が5位狙いで良いなんてレースをするわけがない。今大会も全力で勝ちに行った。

台風14号の接近でレーススケジュールが変更、JSB1000クラスは24周から20周に減算、予定より1時間早い13:10にスタートした。ホールショットは中須賀が奪う。4番グリッドの作本輝介(Astemo Honda Dream SI Racing)が2番手、榎戸育寛(SDG Honda Racing)3番手、濱原が4番手で1コーナーに進入する。MCシケイン進入で7番グリッドの加賀山就臣(YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN)が5番手に上がる。レッドマンコーナー進入で濱原が榎戸のインを刺して3番手に浮上。「榎戸選手には負けたくなかったので序盤から仕掛けていった」

オープニングラップは中須賀が制し、以下、作本、濱原、榎戸、加賀山、亀井、岩田、秋吉耕佑(Murayama.Honda Dream.RT)、清成龍一(TOHO Racing)関口太郎(SANMEI Team TARO PLUSONE)の上位10台。

中須賀は2周目には早くも1分31秒台に入れ、4周目に1分31秒211のファステストラップをマークして後続を引き離しにかかる。このペースについていけたのは作本と榎戸。だが榎戸は序盤にペースが上がらず濱原にかわされ抜き返したものの作本との差が開いてしまった。

作本は中須賀から0.2〜0.3秒遅れのペースで食らいつく。「1分31秒台前半で走れば引き離せると思ったのですが作本選手がハイペースでついてきたので集中して走りました」と中須賀に言わしめるほど良いペースでラップを刻み4周目にはコンマ9秒遅れでつけていた。だが、31秒台でラップできたのは8周まで。9周目以降は32秒台にペースダウンしてしまう。これで中須賀との差が徐々に開いていく。

前戦オートポリスでも予選2番グリッド、今回岡山でも2番手と速さを見せる榎戸。12周目以降32秒台にペースが下がったが15周目に31秒台に戻すと連発。32秒台の作本との差が徐々に縮まりラスト2周で1.1秒差にまで詰めてくる。

迎えたファイナルラップ。トップを独走する中須賀。決勝スタートから一度も前を渡すことなく2番手以下に8秒7の大差をつけてポールtoウィン!今季10勝目。そして前人未到の11度目の最高峰クラスチャンピオンを決めた。「5位以内に入ればチャンピオンでしょ」という声を聞いて悲しくなったそうだが、「ひとつひとつの積み重ねがチャンピオン。勝ちに拘る中須賀」のレースに対する向き合い方を改めて見せてくれた。

作本と榎戸との差が0.495秒差にまで迫ったファイナルラップ。作本の背後にピタリと付けて勝機を伺う榎戸。レッドマンコーナーの飛び込みでインを突くが痛恨の転倒。作本に軍配が上がる。「あのまま行けば3位表彰台でした。結果的にはそっちの方が良かったのかなとは思います。でもあの時はこのまま終わりたくない、という思いが強かったです。どっちが正解だったのか、まだわかりません」と榎戸。チャンピオンシップがかかっていない、しかもまだ24歳の若手ライダー。アグレッシブに攻める姿勢は間違っていないと思いたい。

水曜日に鎖骨にプレートを入れる手術をして中1日で参戦してきた亀井。「決勝の24周は保ちません」と金曜日に言っていたが5位で走り終えた。後半ペースが下がったのは骨折箇所の痛みかと思ったが「左肩は問題ありませんでした。今までになかったブレーキトラブルが出てきてしましました」「ブレーキのタッチがコーナーごとに遠くなったり、近くなったりと一定せず、34秒にまで下がった時にはスロットルホルダーに当たってしまって。それからは慎重にならざるを得ませんでした」だが、この岡山で新たなネタ(セッティング)をいくつも見つけられたと言う。「鈴鹿は期待してください!」心強いコメントをもらった。

渡辺一樹の代役として約1年ぶりにレースを走った加賀山。冗談で「3周しか保たない」と言っていたが予選では7番手、決勝はシングルフィニッシュ。凄いことだと思う。「10周目くらいから“このまま行くとブラックアウト(意識を失う)”しそうになった」と言うくらいキツかったそうである。「フィジカル面を含め、ライダーとしてのスイッチを切ってしまったことがライディングに直結した」

それくらい今のJSBマシンを走らせるのは体力・知力・精神力が必要。「こんな状態で走れるJSBライダー全員をリスペクトする」世界の第一線で闘ってきた加賀山のこのコメントは重みがある。

優勝:中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)記者会見コメント

「チャンピオンを意識せずにこの岡山でどうやって勝つか、と言うことに集中できたのが勝因の一つです。バイクをミスなく完璧な状態に仕上げてくれたチーム・スタッフに感謝しています。このウィークで一番蒸し暑いコンディションで金曜・土曜と履いてきたタイヤでしたが20周の決勝レースでは厳しかったです。序盤に31秒台前半で走れば一気に差を広げられると思っていたのですが作本選手が踏ん張って良いアベレージタイムを刻んでいたので自分も一段階ギアを上げました。そのことにより昨年のアベレージタイムよりも速いタイムで走れてレベルの高いレースだったと思います。

チャンピオン争いをしている岡本選手と渡辺選手がいないので気持ち的に集中しづらかったのですが、チームスタッフが一生剣っめいマシン整備をしている姿や、ファンの方々からの声援を受けて勝つことだけに集中することができました。」

2位:作本輝介(Astemo Honda Dream SI Racing)記者会見コメント

「スタートは上手く決まって2番手に浮上できました。そこから中須賀選手はペースを上げて行くだろうなとは思っていたのでできる限り食い着いていこうとしました。なんとか1分31秒台をキープしたかったのですが中盤以降からタイヤが厳しくなってきたこともありペースが下がってしまいました。終盤には榎戸選手にも突かれてしまい、その辺りは自分の力不足だと思っています。

2位表彰台は最高位ですが、岡本選手、渡辺選手がいない中での2位ですので自分の成長を感じられませんが、最終戦鈴鹿では中須賀選手に喰らいつけるように頑張りたいと思います。」

3位:濱原颯道(Honda Dream RT桜井ホンダ)記者会見コメント

「このレースで抜け出すとしたら中須賀選手と作本選手だと思っていましたので、二人についていこうと榎戸選手をダブルヘアピンで抜いたのですが、ストレートであっさりと抜き返されてしまいまいた。先週のテストで転倒したこともありやや弱気になっていたと思いますが無理をしないとついていけないペースでした。今シーズンの中で一番順位が下がるかなと懸念していた岡山で、内容的には全く満足していませんが取りこぼしなく 3位に入れたのは良かったかなと思います。

最終戦は日浦大治朗選手が参戦するので彼に3連敗だけはしないように勝ってシーズンを締めくりたいです。最大のライバルはチームメイトです(笑)」

全日本ロードレース第7戦 岡山 決勝レース上位10位は以下の通り。
1:#1 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2:#27作本 輝介 AstemoHondaDreamSIRacing
3:#2 濱原 颯道 Honda Dream RT SAKURAI HONDA
4:#8 岩田 悟 Team ATJ
5:#6 亀井 雄大 Honda Suzuka Racing Team
6:#7秋吉 耕佑 Murayama.Honda Dream.RT
7:#2 清成龍一 TOHO Racing
8:#11関口 太郎 SANMEI Team TARO PLUSONE
9:#4 加賀山就臣 YOSHIMURA SUZUKI RIDEWIN
10:#12 児玉勇太 Team Kodama

Photo & text:Toshiyuki KOMAI