2019全日本ロードレース第6戦岡山 決勝レース

2019/09/02

若手が台頭!野左根航汰が独走で優勝!2位に水野涼、3位に中須賀克行。

雨のレースを野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が独走で優勝。しかも同じチームの先輩である中須賀克行を押さえての勝利。いつかはやってみたかったと言うバーンアウトで喜びを表現していた。普段は物静かな野佐根が派手なパフォーマンスをするのは意外であったがよっぽど嬉しかったのだろう。
2位は野佐根をプッシュし続けたが及ばず悔しい水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)、中須賀克行は3位、手負いのの高橋巧は(Team HRC)は4位。野佐根、水野、ここにきて若手ライダーが一気に頭角を現してきた。

土曜日の爽やかな快晴が嘘のようにどんよりとした雲に覆われた決勝日。朝のフリー走行からパラパラと雨が落ち始める。JSB1000クラス決勝時は本降りの雨。このウィークに入って初めてのフルウェット路面で24周の決勝レーススタート。

ホールショットは水野が奪う。野佐根、中須賀、高橋、加賀山就臣(ヨシムラスズキMOTULレーシング)の順に1コーナーへ進入する。ウィリアムコーナーでわずかに膨らんだ水野のインから野佐根がトップを奪う。バックストレートで加賀山に並んだ渡辺一樹がヘアピンで捕らえて5番手に浮上、ヨシムラの2台が並んで走行する。

オープニングラップは、野佐根、水野、中須賀、高橋、加賀山、渡辺一樹、秋吉耕佑(au・テルルMotoUP RT)、津田拓也(TK SUZUKI BLUE MAX)岩戸亮介(Kawasaki Team GREEN)、渡辺一馬(Kawasaki Team GREEN)の上位10台。

野佐根はスタートから飛ばしてオープニングラップで2番手の水野に1秒の差をつける。「後ろから水野選手が迫ってきているのは気付いていたのでプッシュしました」との言葉通り、3周目にいち早く1分39秒台にいれるとすかさず5周目に38秒台に入れてスパートをかける。

しかし水野も負けてはいない。鈴鹿8耐から手に入れたワークスマシンで初めてのフルウェット。ぶっつけ本番の状態ながら野佐根がファステストを出せば翌周に水野が塗り替える。ファステストラップの応酬で野佐根の背後につける「どこまで野佐根選手について行けるか、自分の粘りが試されるレースだった」と言う。

野佐根は10周目に1分37秒362のファステストラップを出すとその後も37秒台を連発。これには水野もついて行けず野佐根が2017年以来の優勝を飾る。水野は今回も悔しい2位。

この二人、年齢も近いこともありお互いに「絶対に負けたくない相手」だと言う。「前回水野選手に負けたのが悔しくて、岡山でその借りを返せて嬉しいです」と野佐根。水野も「野佐根選手に負けたのは他の誰に負けることよりも悔しい」とコメント。普段は一緒に出かけたり食事をするほど仲が良いが、レースとなると蹴落としたい相手となる。それくらいのアグレッシブさがないと次世代を担うライダーにはなれない。

ドライではコースレコードを更新する速さを魅せた中須賀だが「今回は野佐根選手と水野選手のペースについて行けなかった」と言う。後ろに高橋がいることを確認すると3位キープに気持ちを切り替えてチェッカーを受ける。悔しいには違いないが「自分に勝ってこんなに喜んでいる航汰をみて嬉しく思いますし、自分がそれだけ高い目標でいられるんだな、と改めて思いました。」と目を細める。野佐根や水野のような若手ライダーがレースをかき回すのは大歓迎、と前戦もてぎの記者会見でもコメントしていた。

高橋もラップタイムペースを上げることができず、単独4位でフィニッシュする。腓骨骨折は走りには影響ない、と言うがパドックを歩く姿はまだびっこを引いていて痛々しい。
「今回、中須賀選手が優勝していたらチャンピオンシップ上厳しくなると思っていました」とコメント。中須賀が追いつくポイント差を最小限に留めたことに安堵していた。
高橋は岡山が終わったらすぐにワールドスーパーバイク(WSBK)ポルトガルにレオン・キャミアの代役として参戦する。「ケガを理由に情けない走りはしたくない」と意気込む。鈴鹿8耐以来の清成と過ごす一緒の時間を楽しんで来て欲しい。
(高橋巧と清成の鈴鹿8耐はこちらの記事

 ダンロップタイヤに変わり、ブリヂストンタイヤとは正反対の乗り方にアジャストすることができず今シーズン苦しい戦いを強いられてきた津田だが、今シーズン最高位の5位でチェッカを受けた。

序盤5番手6番手を走っていたヨシムラスズキMOTULレーシングの加賀山と渡辺一樹。加賀山はブリヂストンタイヤで雨のレースは初めてに近く、セッティングデータを持ち合わせていなかった。ラップタイムを上げられず6位でフィニッシュする。
渡辺は序盤からマシントラブルが出て一時はピットインも考えたというほど深刻な状態だったが10位でフィニッシュ。

7位:秋吉、8位:岩戸、9位:渡辺一馬、10位:渡辺一樹の上位10台であった。

野左根航汰記者会見コメント
「去年の岡山も予選は雨でタイムも良かったのでウェットコンディションには自信がありました。ドライでもこのテストからタイムは出ていたのでドライでレースをしたかったのですが優勝できて嬉しいです。後ろから水野選手が追いついてきたので自分もペースを上げました。追いつかれないように必死で逃げていました。

中須賀選手の前でゴール出来たのは初めてでした。初優勝のときより嬉しいです。ドライコンディションで勝てたらもっと良かったのですが。水野選手には前戦もてぎで競っているときに自分は転倒して非常に悔しかったので今回勝てたのがすごく嬉しいです。

バーンアウトをやってみたかったです。人生で初めてやりました。実は転んだらどうしよう、と思っていたのですが転ばずに良かったです(笑)」

水野涼記者会見コメント
「テストから通して初めてのウェットセッションでした。自分は今のバイクになってからウェットで走るのが初めてだったのでセットアップがきちんと取れていませんでした。ぶっつけ本番の状態で探りながらの走行でした。1コーナーに飛び込んでみましたが野佐根選手に抜かれてしまいました。野佐根選手にどこまで粘ってついて行けるかを考えながら走ってみました。2位と言う結果は悔しいですがラップタイムペースは良かったし、去年の岡山の雨の予選では一ケタにも入れなかったことを考えると進化したのかなと思います。但、トップと4秒差というのは大きな差ですので今後のウェットレースでは今日の課題を解決して臨みたいと思います。

前戦もてぎは悔しさ半分、初表彰台の嬉しさ半分でしたが、今回は悔しさしかありません。野佐根選手と年齢も近く同じカテゴリを走っているライダーとして絶対に負けたくない相手です。そのライダーに負けたのは他のライダーに負けた以上に悔しいです。次こそは優勝を狙います。」

中須賀克行記者会見コメント
「雨のサイティングラップでは野佐根選手の後ろを走りましたがその走りをみて「あぁ、今回は航汰が勝つな」と思いました。その良い走りを決勝レースでも集中して走り切った野左根選手におめでとう、と言いたいです。
今日は野佐根選手、水野選手のペースが自分よりも明らかに速かったです。今日の自分はあれが限界でした。その結果が3位です。もちろん悔しいですが以前に前を追って自滅したこともありますのでチャンピオンシップのことを考えて今日は3位キープに気持ちを切り替えました。コースレコードも更新できましたし本当はドライでレースしたかったのですがレースはレースです。もっと詰めなくてはいけないという課題も見えましたので次に繋がるレースになったと思います。

巧選手の動きは見ながら走っていました。チャンピオンシップのことを考えると今日はキチンと仕事ができたのかな、と思います。」

全日本ロードレース第6戦「SUPER BIKE RACE in OKAYAMA」の決勝レース上位10位結果は以下の通り。

優勝:#4 野左根航汰YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位: #634 水野涼MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
3位:#1 中須賀克行YAMAHA FACTORY RACING TEAM
4位:#13 高橋巧 Team HRC
5位:#71 津田拓也 TK SUZUKI BLUE MAX
6位:#12 加賀山就臣 ヨシムラスズキMOTULレーシング
7位:#090 秋吉耕佑 au・テルルMotoUP RT
8位:#64 岩戸亮介 Kawasaki Team GREEN
9位:#23 渡辺一馬 Kawasaki Team GREEN
10位:#26 渡辺一樹 ヨシムラスズキMOTULレーシング

photo & text : Toshiyuki KOMAI