2019全日本ロードレース最終戦鈴鹿 決勝レース1

2019/11/06

こんなことがあるのか…レース1、高橋巧まさかの転倒。優勝、中須賀克行。レース1終了時点でポイントランキングが逆転。

レース1で波乱が起きた。高橋巧(Team HRC)がまさかの転倒、16位フィニッシュ。中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が優勝。ポイントランキングは中須賀が9ポイントリードしてレース2を迎えることになった。

高橋巧222 ポイント、中須賀克行210ポイント。11ポイント差で迎えた最終戦。14周のレース1は午前11時15分にスタート。ホールショットを野左根航汰(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が奪い2番手に高橋巧がつける。二人はオーバースピード気味でアウトに膨らみそのイン側を中須賀が突く。2コーナーで中須賀に気付いた高橋がマシンを起こしたところへ進入ラインで入ってきた野佐根と接触。高橋は大きくオーバーラン、野佐根も順位を落とす。さらにその先のデグナーひとつめ。なんと高橋が転倒!すぐさまマシンを起こしてコースへ復帰するも最後尾まで順位を落とす。

野佐根と高橋のアクシデントで2番手に浮上したのが渡辺一樹(ヨシムラスズキMOTULレーシング)。その後ろに水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)、渡辺一馬(Kawasaki Team GREEN)、加賀山就臣(ヨシムラスズキMOTULレーシング)と続いて西コースへ向かう。オープニングラップを制したのは中須賀。早くも2位以下に1.639秒の差をつける。

シケインで渡辺一樹をかわした水野が2番手、3番手に渡辺一樹、4番手に渡辺一馬、5番手に加賀山、以下、前田恵助(YAMALUBE RACING TEAM)、秋吉耕佑(au・テルルMotoUP RT)、岩戸亮介(Kawasaki Team GREEN)高橋裕紀(KYB MORIWAKI RACING)、Zaqhwan Zaidi(Honda Asia-Dream Racing SHOWA)の上位10台。野佐根は15番手で通過する。

渡辺一馬は2周目のシケインで渡辺一樹をかわすと、3周目のS字入口で水野をかわして2番手に浮上する。

3周目のシケインで秋吉が加賀山と渡辺一樹2台のヨシムラを一気にパスして4番手浮上する。

水野は5周目の1コーナーで渡辺一馬をかわして再び2番手に浮上、しかし渡辺一馬も黙っていない。8周目のダンロップコーナーで水野をパスして2番手を奪い返す。水野と渡辺一馬の2番手争いの背後からベテラン秋吉がヒタヒタと近づいてきて3台による2番手争いを展開する。

オープニングラップを15番手で通過した野佐根が2分6秒前半のタイムで猛追する。8周目に2分5秒台に入れると9周目にはついに渡辺一樹を捕らえて5番手に浮上。渡辺一馬、水野、秋吉の2位集団に追いつく。130Rで水野が渡辺一馬をパス、さらに秋吉がレイトブレーキングで渡辺一馬をかわして、水野、秋吉、渡辺一馬、野佐根、の順に10周目のコントロールラインを通過する。その先の1コーナーで野佐根が渡辺一馬をパス、野佐根の勢いは止まらずダンロップコーナーで秋吉をかわすとついに水野に追いついた。

今シーズン後半、トップ争いに絡んでレースを面白くした立役者の野佐根と水野のハイピードバトルが展開する。11周目、野佐根は2分5秒830のベストラップを刻むとS字でピタリと水野の背後につける。逆バンク入口で水野のインに鼻先を突っ込むとそのままイン側からパス、2番手に浮上する。

オープニングラップでトップに立った中須賀、序盤は2分5秒台を連発、3周目に2分5秒395のファステストラップをマークすると独走態勢を築きトップチェッカー!今季6勝目を挙げる。

その中須賀だが、サインボードで高橋の転倒を知るとリズムが狂った。「これでチャンピオン争いを逆転できるかもと思ったら急に緊張した。」と言う。

高橋巧は最後尾から16位まで順位を上げて8ポイントを獲得する。転倒直後はずっと腹立たしくイライラしながら走っていた。「でも今年最後のレースだし少しでもポイントを取って自分のできることを最大限やろう」と気持ちを切り替えて走った。

これで中須賀239ポイント、高橋230ポイント。11ポイントビハインドだった中須賀が逆に9ポイントリードして運命のレース2に臨む。

激しい2位争いは野佐根が制して2位、水野3位、4位に渡辺一馬、5位秋吉、6位渡辺一樹、7位加賀山、8位前田、9位Zaqhwan、10位亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)の上位10位であった。

 

中須賀克行記者会見コメント

「スタートは上手く切れたのですが右から野佐根選手がもの凄い勢いで出てきたので引きました。しかし野佐根選手と高橋選手が外側に膨らんでいったのでイン側から抜けていきました。前に出てからは自分のペースを刻むことに集中して走り切ることができました。そのおかげで後続との差を少し広げることができたと思います。先ずは大事な1勝を挙げられて良かったです。高橋選手の転倒はサインボードで見て知りました。あとは電光掲示板の表示を見て走りました。(高橋選手の転倒を)知ってからは緊張しました。これで逆転できるかもと思った瞬間にリズムが狂い始めて自分の走りができませんでした。ここでしっかり勝つことができたのでレース2では思い切り走りたいと思います。」

野左根航汰記者会見コメント

「1周目は順位をかなり落としてしまいました。2コーナーで高橋選手と接触してしまいましたが自分はレーシングアクシデントだと思っています。高橋選手と一緒に1コーナーに入っていって自分はオーバーラン気味でしたがちょっと前で1コーナーを通過しました。自分は斜め後ろから当たってきた、という印象でした。高橋選手が視界に入ってきたときには既に高橋選手の身体は既に起きていました。何が起きたか分からなかったと言うのが正直な感想です。

そこからは無我夢中で前を追い上げました。さすがに今回は表彰台は無理だろうと思っていましたがここまで追い上げることができて良かったです。バイクのダメージはサイレンサーステーが折れてマフラーも落ちそうになっていて何とか走り切れて良かったです。」

水野涼記者会見コメント

「レースウィークに入ってから調子が悪く、決勝レースは運も味方して3位表彰台に昇ることができました。残り3周は野佐根選手と一緒に走っていて最終ラップは自分が後ろでした。最終コーナーで抜こうと思ったのですが黄旗区間でしたので抜けませんでした。ですがこれもレースですしその位置を走っていた自分は悪いので、レース1のデータを基にレース2ではもっと良い走りをしたいと思います。」

photo & text : Toshiyuki KOMAI