2021全日本ロードレース第6戦岡山 決勝レース

2021/09/08

チャンピオンを決めた中須賀克行が今季8勝目を飾る。 2位:清成龍一、3位:名越哲平。

前戦鈴鹿で前人未到の最高峰クラス10回目のシリーズチャンピオンを獲得した中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が自らの描いたレース展開で今季8勝目を挙げた。2位に清成龍一(Astemo Honda Dream SI Racing)、3位に今季2度目の表彰台となる名越哲平(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)

二輪専用シケインができてから初めての決勝レースを迎えた日曜日、このウィークで初めての青空がのぞいた。残暑厳しいコンディションの中、午後2時、24周の決勝レースがスタート。ホールショットは前戦鈴鹿の転倒で右足首骨折のケガを負った亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)が奪う。しかし清成がイン側のラインからパッシングしてトップを奪う。二輪専用シケインに清成、亀井、中須賀の順に進入。アトウッドコーナーで中須賀が亀井をパスして2番手に浮上する。

オープニングラップは清成が制する。以下、中須賀、亀井、加賀山就臣(Team KAGAYAMA)、名越、岩田悟(Team ATJ)、濱原颯道(Honda Dream RT 桜井ホンダ)、名越哲平(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)、山口辰也(TOHO Racing)、秋吉耕佑(MURAYAMA.TJC.RT)、中富伸一(Waveinn-R)の上位10台。

トップ清成、2番手中須賀の2台は早くも2周目に1分31秒台に入れて、3番手の亀井に2秒6もの差をつける。やはりこの2人の一騎打ちとなった。

序盤の出遅れが課題であった名越は先頭グループに追いつくべく加賀山を2周目の第1ヘアピンでパス、4番手に浮上する。さらに3番手を走る亀井をプッシュ。3周目のアトウッドコーナーで僅かにはらんだ亀井のインから立ち上がり、バックストレートで亀井をパス、3番手にポジションを上げる。

『スタートからトップに立って引っ張る』ことを考えていた中須賀。しかし、清成に先行され後ろから様子を伺っていた。当然ながら中須賀が速いところ、清成が速いところが違う。『1周が短くタイトなコーナーが多い岡山では無理に合わせるとタイヤを消耗させてしまう。そこで早めに前に出て自分のリズムで走ることに作戦を変えた』7周目の第1コーナーで清成をパス、トップに浮上すると10周目に1分31秒492のファステストラップをたたき出す。

名越、亀井、加賀山の3台による3番手争い。4周目に加賀山が亀井をパス、4番手に浮上。ここに濱原が追いつく。このセカンドグループから名越がアタマひとつ抜け出し単独走行。加賀山は4番手。5番手亀井に濱原がヒタヒタと迫る。8周目のダブルヘアピン1つ目で捉えて濱原が5番手、亀井は6番手に後退。

トップに立った中須賀、その後も手綱を緩めることなく31秒台でラップ、2位以下に10秒712もの大差をつけてポール・トゥ・ウィン!今季8勝目を挙げた。今シーズンここまで負けなし。チャンピオン獲得のプレッシャーから開放され、純粋に“勝ちを狙い”にいける状態になった中須賀。清々しささえ感じる。

2位には清成。ウェットでもドライでもマシンのフィーリングは良かった。決勝レースでも序盤は1分31秒台で周回する好走を見せたが徐々に離されてしまい悔しい2位となった。

3位は今季2度目の表彰台獲得の名越。「トップグループに混じって走りを勉強したかったが、3番手に上がる頃には差が開いてしまった」と悔しがる。しかし『タイヤを潰して走る』ことができなかったJSBルーキーの進化は大きい。それでも「自分はトップグループに居なくてはならない存在。まだまだ全然ダメです」と自らを戒め鼓舞する。

亀井を抜き去り5番手に浮上した濱原は前を行く加賀山に迫り、15周目にはテール・トゥ・ノーズのバトルとなる。17周目のレッドマンコーナーで加賀山がやや膨らむ、その隙を逃さず濱原がインからパス、4番手浮上しそのままチェッカー。

加賀山の背後に亀井が追いつき激しくプッシュするも抑えきり5位でチェッカー。6位には亀井。その差はわずかコンマ231秒であった。

3年ぶりの開催となった岡山大会。二輪専用シケインは賛否あるものの大きな事故もなく新しいコースでの決勝レースを終えた。次戦はいよいよ最終戦オートポリス。

 

優勝:中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)記者会見

「恐らく清成選手との我慢比べになると思っていました。スタートから前に出てスパートかけようと思ったのですがそれは他の選手に読まれていましたね。他のサーキットでは前の選手の走りにリズムを合わせやすいのですが岡山は短くてストップアンドゴー的な要素が強いので合わせにくかったです。タイヤのスピニングも大きくなりタイヤマネジメント的にも前に出た方が得策だと判断して早い段階で前に出ました。周回を重ねていくうちに後ろとの差がちょっとずつ開いていったので自分のリズムで走り切りました。事前テストを含めてしっかりと対応の準備をできていたことが勝因だと思います。

次戦はオートポリス。九州での最終戦は初めてなのでしっかりと準備をして地元のファンの皆さまの前で良いレースを魅せたいと思います。」

2位:清成龍一(Astemo Honda Dream SI Racing)記者会見

「事前テストからバイクのフィーリングは良かったです。ウィークに入ってからもウェットでもドライでもちょっとアジャストするくらいでした。それでも毎セッションいろいろ試しながら走りましたがアベレージを刻むことができませんでした。レース序盤もタイヤやブレーキなど抑えながら走っていたのですが全部使い切ってしまった感じです。1分31秒台後半で走りたかったのですが攻めきることができず悔しいレースとなってしまいました。マシンの改良もそうですがそれ以上にライダーである自分をもっと進化させて頑張らなくてはいけない、と思いました。」

3位:名越哲平(MuSASHi RT HARC-PRO. Honda)記者会見

「事前テストでも金曜日もタイムを刻めず、ドライの予選でも合わせきれませんでした。トップ2台との差は開いていましたが3位以降のタイム差は僅差だったのでなんとか表彰台には登ろうと考えていました。そのために最初の数周で前に出ることができたことは良かったと思います。それでもトップとはかなり差があるので満足できる結果とは言えませんがシーズンを通して少しずつステップを踏めているのかなと思っています。これからも自分自身を含めてチームと一緒に成長したいと思います。」

全日本ロードレース第6戦岡山 決勝レース上位10台は以下の通り

優勝:中須賀克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2位:清成龍一 Astemo Honda Dream SI Racing
3位:名越哲平 MuSASHi RT HARC-PRO. Honda
4位:濱原颯道 Honda Dream RT 桜井ホンダ
5位: 加賀山就臣 Team KAGAYAMA
6位:亀井雄大 Honda Suzuka Racing Team
7位:山口辰也 TOHO Racing
8位:秋吉耕佑 MURAYAMA.TJC.RT
9位:柳川明 will raise racing RS-ITOH
10位:関口太郎 SANMEI Team TARO PLUSONE

Photo & text : Toshiyuki  KOMAI