3ヶ月ぶりの全日本。浦本修充がトップタイム!ART合同走行

2025/08/22

鈴鹿8耐を挟み約3ヶ月ぶりに全日本ロードレースが栃木県のモビリティリゾートもてぎで開幕した。8月も下旬だと言うのに真夏の暑さ。湿度も高く鈴鹿8耐のような気候の中で金曜日の走行が行われた。

総合トップは浦本修充(AutoRace Ube Racing Team)1’48.291。今シーズンからBMWファクトリーと同じスペックのマシンを持ち込み、開幕戦、第2戦と連続で表彰台に立っている。鈴鹿8耐でもレコードを更新する速さを見せている。ここもてぎでも速さを見せているが帰ってきたのは意外なコメントだった。

浦本修充:「気持ちよく乗れていません」

「1本目、2本目とずっとユーズドタイヤで走行していましたがなかなかフィーリングが掴めませんでした。2本目の最後に新品タイヤで出てタイムが上がりなんとか戦えるところに来たのかな、という感じです。」

なんとか戦える状態、とは意外なのだが。

「気持ちよく走れていないのです。このコンディションに合わせ切れていないと言うこともありますが、ブレーキングで止まれない、クリッピングポイントにつけない、スムーズに走れません。アベレージも中須賀さんの方がコンスタントに刻んでいると思います。」

「とは言え、鈴鹿8耐で走り込んだことは大きいです。豊富なデータを収集できましたし、何よりマシンの理解度が上がりました。明日は一発のタイムというより決勝を見据えて40分間の予選を上手に使おうと思います」

スプリントで戦うマシンで鈴鹿8耐を走れたことが大きいと言う。

総合2番手は野左根航汰(Astemo Pro Honda SI Racing)1’48.759。序盤の速さには定評があるが後半沈むことが多かったが第2戦SUGOでは最後までトップ争いを展開して2位表彰台を獲得した。

野左根航汰:「明日はもうワンステップ上げたいですね」

「BMWの浦本選手をターゲットにしていたのですが自分的には想定内のタイムかなと思います。今回エンジンスペックの違うマシンを2台持ち込み乗り比べながら走行しました。方向性は決まり、このコンディションに合わせたセットを加えて明日は今日よりワンステップ上げて臨みたいです。当然周りも上げてきますでしょうから自分の気持ちで踏ん張っていきたいと思います。」

「実は鈴鹿8耐ではマシン造りの方向性を少し間違えてしまったことが反省点です。でもそのおかげで反省点も見えたので今回はそれを活かしたマシンを持ち込んでいます」

3番手は中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)1’48.904。

中須賀克行:「思ったよりタイムが伸びませんでした

「このコンディションに苦しめられているって感じかな。午後は路面温度も気温も上がった中で他のライダーは2本目にタイムアップしていますが自分は上げられませんでした。今回選んだタイヤが合わなかったことも要因のひとつです。但し、アベレージは刻めています。周りを見ると一発のタイムを狙っている感もあるので2本目の走行はロングを行いました」

「鈴鹿8耐はキツかったですね。勝つことを目的としたファクトリーチームが2位ではダメだろう、と言う意見もあるかと思いますが自分たちにできる最大限のことをやりましたし、チーム・ライダー一体となってもぎ取った2位なので良かったと思います。さらに同じセッティングでも他のライダーが乗ると“まだ行けるんだ”“こう乗れば速くなるんだ”と言う発見があったことが大きかったです」

岡本裕生や野左根航汰が中須賀より速い時は彼ら独自のセット。だから中須賀には合わない。だが今年の鈴鹿8耐で中須賀が作ってきたバイク・セットで限界だと感じていたところをジャック・ミラーやアンドレア・ロカテッリはタイムを伸ばしてきた。その発見は大きなプラスとなったし刺激的な鈴鹿8耐になったという。

総合4番手は津田拓也(Team SUZUKI CN CHALLENGE)1’49.136。2024年からスタートしたサスティナブルなレース活動を目指すプロジェクトで今年2面目。一度レースの世界から退いたスズキだがこのプロジェクトはメーカー直系:ワークス体制で臨む。そして今年の全日本ロードレース後半戦全戦に参戦することが先日発表された。

津田拓也:「正常進化しています

「昨年の鈴鹿8耐は総合8位、今年はトラブルで順位が下がってしまいましたが一時期は4位・5位を走っていました。そして今年の予選のベストタイムが昨年の2分8秒から今年2分6秒6まで1秒半くらい向上しました。自分はライダーなので出るからには勝ちたいですしそこを目標に走っていますが、チームとしての成長・進化が著しいと感じています。」

「今日の走行は(鈴鹿8耐時との)タイヤの違いに少し戸惑いましたがチームが上手くまとめてくれたと思います。SUGOでは表彰台に上がっていますし鈴鹿8耐でも正常進化したのでここもてぎでも行けるところを証明したいですし魅せられるようにしたいです」

開幕戦優勝、昨年の最終戦から数えると3連勝した水野涼(DUCATI Team KAGAYAMA)。第

2戦SUGOの事前テストで転倒、両肩骨折の大怪我を負ったが鈴鹿8耐ではダブルスティントを行うパフォーマンスを発揮。約3ヶ月ぶりに全日本ロードレースに戻ってきた。

「肩の骨折はくっ付いたのですが、動かしていなかったので可動域が狭く、バイクに乗るときに動きが日常性格とは違うので特に1本目の走行は痛かったですね。もてぎはストップ・アンド・ゴーのサーキットなので余計に痛みを感じました。」

怪我しているからいっぱいいっぱいではなく、それなりに走れるまで回復してきた水野。開幕戦優勝しているここもてぎだからこそ勝ちたい願望が強い。

明日は公式予選とレース1が開催される。この暑さの中、どんなバトルが観れるのだろうか。

全日本ロードレース第4戦SUPERBIKE RACE in MOTEGIART 合同走行上位10位は以下の通り

1:#31浦本 修充 AutoRace Ube Racing Team 1’48.291
2:#4 野左根 航汰 Astemo Pro Honda SI Racing 1’48.759
3:#2 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 1’48.904
4:#7 津田 拓也 Team SUZUKI CN CHALLENGE 1’49.136
5:#8 岩田 悟 Team ATJ 1’49.465
6:#10 長島 哲太 DUNLOP Racing Team with YAHAGI 1’49.605
7:#3 水野 涼 DUCATI Team KAGAYAMA 1’49.738
8:#9 伊藤 和輝 Honda Dream RT SAKURAI HONDA 1’49.947
9:#30 鈴木 光来 Team ATJ 1’50.366
10:#6 名越 哲平 SDG Team HARC-PRO. Honda 1’50.498

Photo & text: Toshiyuki KOMAI