速い!BMW浦本修充が独走で最高峰クラス初優勝!

2025/08/24

BMWの浦本修充(AutoRace Ube Racing Team)が後続を大きく引き離し独走で初優勝!圧勝であった。4月の開幕戦もてぎでシェイクダウンしたBMWファクトリー仕様のマシンで早くも初優勝を飾った。

午前中に行われた公式予選では野左根航汰(Astemo Pro Honda SI Racing)がポールポジションを獲得。実に5年ぶりにホンダ車のポールポジション獲得となった。2番グリッドは中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)、3番グリッドは浦本修充(AutoRace Ube Racing Team)がフロントロー。

午後1時45分、決勝レース1スタート。この時の気温37度、路面温度59度。この暑さがライダーたちの想定を狂わせる要因となった。

抜群のスタートを決めた野左根がホールショットを奪う。中須賀、津田、浦本と続いて1コーナーに進入する。3コーナー進入では津田が中須賀をパスして2番手、さらに高速S 字コーナーで野左根のインを突くとトップに浮上!しかしダウンヒルストレートで野左根が奪い返しオープニングラップを制する。

2周目のホームストレート、浦本が津田をパスして2番手に浮上、トップの野左根を追う。中須賀もダウンヒルストレートで津田をパス、3番手に浮上、津田は4番手にドロップ。

野左根の背後から浦本がプッシュを続ける。野左根は3周目に1’49.424のベストラップを刻むがそこからペースダウンが始まる。そこを見逃さなかった浦本は4周目のS字コーナーをレイトブレーキングからインを突いてトップ浮上!「野左根選手のペースが思ったほど上がっていないと感じましたので、ここで一度前に出て自分のペースで走ったらどうなるのかな、と思って前に出ました」

一方の野左根は「柔らかめのタイヤを選定したのですが想定以上に路面温度が上がってしまいタイヤを使ってしまいました。昨日までの温度であれば最後までグリップさせられると思っていたのですが、ここまで高い温度でこのタイヤをテストしたことがなかったので15周、コース内に留まっているだけで精一杯という感じでした」と、この温度上昇が想定を狂わせることとなった。

浦本はその後1分48秒台に入れ、5周目には1’48.693のファステストラップを刻む。本来ならここに中須賀が付いていくはずだがその差が詰まらない。むしろ周回ごとにコンマ数秒ずつ開いていく。中須賀もこの温度上昇に苦しんでいた。「予選ではレース1:2番グリッド、レース2:ポールポジション、と良い形で進められたのですが、決勝レースでは路面温度が一気に上昇してマシンとリアタイヤのバランスが変わってしまい、グリップ感が足りなくなりました。リアが喰わない分フロントを駆使することとなってしまい、それ以上攻めることができませんでした」

浦本はその後も1分49秒台前半で周回を続ける。10周目の浦本:1’49.077に対し、2番手中須賀:1’49.639、3番手津田:1’50.109とコンマ7秒以上違う。この時点で浦本と中須賀の差は3.554秒にまで開いていた。「中須賀さん、津田さん、野左根選手が今回のライバルだと思っていました。中でも一番は中須賀さんで金曜日もロングをやってラップを刻んでいましたので後半に必ず追いついてくると思い、気が抜けませんでした。」

しかし中須賀はこの時それ以上攻める事ができず49秒後半でプッシュができなかった。終わってみれば浦本が 6.582秒もの大差をつけて全日本最高峰クラス初優勝を飾る。

 

「こんなに差が開くなんて思ってもいませんでした。最高峰クラス初優勝なので素直に嬉しいです。今回フロントもリアも少し柔らかめのタイヤを選択して最後まで保つか多少の不安はありましたがなんとかペースをキープする事ができました。もしかしたらそれが今回良かったのかもしれません、でもやはり路面温度がここまで上がると今朝まで出ていなかったフロントが切れ込んだり、想定外の症状が出てきて最後まで気が抜けませんでした。」

2位は中須賀。「浦本選手がこのコンディションの中でも合わせてきてしっかりとペースを刻んでいました。対して自分は合わせきれず。今回の敗因はそれに尽きます。レースではその時のコンディションに合わせられたライダー・チームが勝ちます。浦本選手の全日本初優勝を心から祝福したいです。完敗でした。ですがこのまま負けたまま終えるつもりはないので明日のレース2に向けてしっかりと準備をします」

3位には津田。オープニングラップでは一時トップを奪う快走を見せて場内を沸かせた。カーボンニュートラルのパーツを使いながらも序盤はトップグループと同じラップタイムで周回、前戦SUGOに続く3位表彰台を獲得。

「序盤から前に出てトップグループについて行こうとしたのですがやはりトップ2台のペースが速くて結果的に離されてしまいました。開幕戦もてぎでは自分たちの立ち位置を図るために昨年の鈴鹿8耐の仕様そのままで戦い、結果こそ8位でしたが内容は周囲との差を痛感させられました。SUGOでは対策を講じ、さらに鈴鹿8耐で走り込んで見えてきた課題をひとつひとつ潰してもてぎに乗り込みました。結果的には3位でしたが開幕戦より一発のタイムもアベレージも向上していることをポジティブに捉えています」

肩の可動域は狭いけど体調的には問題無いという水野涼(DUCATI Team KAGAYAMA)、リアのトラクション不足に悩ませられながらも予選では1’48.643で5番グリッドを獲得。しかしスタートで出遅れオープニングラップを8番手で通過する。昨日まで症状が出ていなかったシフト系に問題が生じエンジンブレーキが使えない状態の中で戦いを強いられた。

「1人の時ならそれなりの走りはできるのですが集団の中だとオカマを掘りそうになり、序盤に先頭集団から離されてしまいました。リアのトラクションを解決するために今日はタイヤを少し柔らか目のものに変えて臨みました。この温度なのでグリップダウンが気になったのですがそんなこともなく、むしろ終盤の13周目にベストをマークしました。」

「序盤にブレーキング勝負できず先頭グループと離れてしまったのが悔しいですね。怪我しているから乗れないということは全然なくて、初日1分51秒から始まって予選では約3秒も縮めることできました。調子が上向いてきただけに残念です」

心配された身体的には問題無さそうで安心したが、上向き調子なところにマシントラブルに遭いフラストレーションが溜まっているようであった。。

多くのライダーが「鈴鹿8耐よりもキツかった」と言っていたレース1。明日のレース2は今日よりもさらに気温が上がり37度近くまで上がるとの予報。危険な暑さの中でさらに5周多い20周のレース。体調不良や怪我をするライダーが1人も出ず、無事に終わって欲しい。

全日本ロードレース第4戦SUPERBIKE RACE in MOTEGIART 合同走行上位10位は以下の通り

優勝:#31浦本 修充 AutoRace Ube Racing Team
2位:#2 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM
3位:#7 津田 拓也 Team SUZUKI CN CHALLENGE
4位:#3 水野 涼 DUCATI Team KAGAYAMA
5位:#4 野左根 航汰 Astemo Pro Honda SI Racing
6位:#8 岩田 悟 Team ATJ
7位:#9 伊藤 和輝 Honda Dream RT SAKURAI HONDA
8位:#11 関口太郎 SANMEI Team TARO PLUSONE
9位:#13 児玉 勇太 Team Kodama
10位:#24 星野 知也 TONE RT SYNCEDGE4413 BMW

Photo & text: Toshiyuki KOMAI