鈴鹿8耐合同テスト2日目。前日の雨から一転、晴れ間がのぞく蒸し暑い気候となった。今日は90分間のタイヤメーカーテストが2本、30分間の特別スポーツ走行が2本開催された。
午前中の走行でいきなりHRCのヨハン・ザルコが2分5秒732を叩き出し周囲を驚愕させる。
2本目、ザルコが1本目とほぼ同じタイムをマーク、やはりHRCは速いなと感心していたところに、中須賀克行が来た!2分5秒670でタイヤメーカーテストの総合トップに立った。これで中須賀のトップタイムは変わらないだろうと誰もが思っていた。
しかし、最後に行われた特別スポーツ走行で浦本修充が中須賀を上回る2分5秒578 を叩き出し、2日間の総合トップに躍り出た。
2024年ワールドスーパーバイクチャンピオンとほぼ同じ仕様のマシンを日本に持ち込んで全日本ロードレースに参戦。開幕からその速さで周囲を驚かせていたが、鈴鹿を走るのが今回が初めて。とにかく時間が足りないと言う。
「昨日は雨でセッティングを出すまでには至らず、今日が初走行と言ってもいいと思います。自分が最初に確認して乗れる状態にしてチームメイト(ロリス・バズ、ハネス・スーマー)に渡しました。」
「時間が無い中でこのタイム(2’05.578)には満足ですし自己ベストを更新しました。とにかく速いですね。一発のタイムだけではなくアベレージでも6秒台を連発できているので、8耐仕様にしてどこまで詰められるか、来週のテストで確認します」
6年ぶりの鈴鹿8耐参戦。いろいろな意味でブランクは大きいと言う中須賀。耐久仕様のマシンにリズムがつかめずむしゃくしゃしながら走っていたと言う。
「今年からEWC指定のミッションを使用することになり全日本とは全く感覚が違ってコーナー毎のギアレシオが合わなかったりして”どうやって走ればいいの?“と言う感じでした。今日1日は試行錯誤の連続でした。」
「ウィングレッドの効果も図りたかったけど重量が(JSBに比べて)増えているので効果を感じるまで至っていませんね。午後の走行初っ端にニュータイヤを入れましたがタイムが上がらず、リズムを掴めない焦りもありむしゃくしゃしました。
ですが、後半にユーズドのやや柔らかめのタイヤを入れたらフロントのフィーリングが戻ってきてタイムが一気に上がりました」
「やはり6年間のブランクを感じますね。ですがいろいろ見定めなくてはいけなかったのでそう言う意味では来週に向けて方向性は見つかったし今日のテストは良かったと思います」
初日から速さを見せつけたHRC。今シーズンからフロントサスペンションをオーリンズに替えた。昨年のベース車両があるとは言えサスペンションの変更はマシン造りに大きな影響を及ぼす。
「今回のテストは2台で走ったのでザルコメインと言うわけではないです。ですが来週のテストに(ザルコが)来られないのでどう言うふうに鈴鹿を走るのかを再確認してもらい、慣れてもらうためにも少し多めに走ってもらいました。その中でこのタイムが出ているので気分良くフランスに戻れるのではないでしょうか」
「オーリンズの良さを引き出せるようにしたいのですがまだ詰めきれていません。昨年ある程度まとまったマシンを振り出しとまでは言いませんが30%くらいのところから新たに造っている感じです。ですので走行時間が足りないですね」
これだけ速いのに高橋的にはまだ満足できないと言う。残すは来週のテスト2日間。どこまで詰められるか。
Astemo Pro Honda SI Racingは今回4名のライダーで走行した。野左根航汰、山中琉聖、西村硝、荒川晃大。驚くべきは山中だ。初めて乗る1,000ccのマシンでいきなり2分6秒台を連発した。「自分も少し焦りました」と野左根。どんなラインアップになるのか楽しみだ。
DUCATI Team KAGAYAMAのレオン・ハスラムが最後に2’06.370まで上げてきた。加賀山自らがマシンに乗り込み新たに組み上げたマシンの確認を精力的に行なっていた。来週のテストに水野涼が来るのか、注目される。
今シーズンから新たなコンセプトでマシンを創り上げているヨシムラ。今日もひたすらメニューをこなす走行。
「新しいコンセプトで鈴鹿を走るのは初めてでしたので確認を含めて走行を重ねました。その中では良いタイムも出ました。昨年までの実績・データはありますが昨年と同じタイムではさらに上の結果は望めないので全体の底上げができるように開発しています。そう言う意味では今後に向けて明るい兆しも見えたテストでした」
来週6月18日・19日にも事前合同テストが開催される。
鈴鹿8耐合同テスト2日目総合上位10位は以下の通り
1:#76T AutoRace Ube Racing Team 2’05.578
2:#21 YAMAHA RACING TEAM 2’05.670
3:#30T Team HRC with Japan Post 2’05.736
4:#30 Team HRC with Japan Post 2’06.042
5:#76T AutoRace Ube Racing Team 2’06.269
6:#17 Astemo Pro Honda SI Racing 2’06.328
7:#3 DUCATI Team KAGAYAMA 2’06.370
8:#1T Yoshimura SERT Motul 2’06.380
9:#17 TAstemo Pro Honda SI Racing 2’06.518
10:#1 Yoshimura SERT Motul 2’06.675
Photo & text : Toshiyuki KOMAI