鈴鹿8耐に向けた合同テストが開催された。2日前に梅雨入りした鈴鹿サーキット。朝からの雨で生憎のテスト初日となった。Team HRCに今年も現役MotoGPライダー:ヨハン・ザルコが登場。午後のセッション2とセッション3で合計30周のロングランをこなす。雨が止み、次第に路面コンディションが良くなってきた状態とは言え、2’18.962とただ一人18秒台に入れる。しかもロングランの終盤ラスト2周でマークした。
昨年高橋巧とペアを組んで優勝、お互い気心は知れていると思うが、約1年ぶりのスーパーバイクマシン、鈴鹿サーキット、ブリヂストンタイヤにポンとタイムを出せるところがさすがMotoGPライダーだ。
昨年のEWC世界チャンピオン、ゼッケン1を引っ提げて鈴鹿8耐に戻ってきたYOSHIMURA SERT Motul。今回のテストは渥美心が一人でテスト。精力的に周回して2’19.268、TOPから0.3秒差に近づけた。
「つい先日のスパ8時間耐久レースでウェットでのラップタイムが伸び悩みました。自分が最初に乗った時に”あぁ、なるほど、そうかも“と感じましたので、その対策に費やしました。おかげで解決の道筋が見えました。今年は新しいコンセプトでマシン造りを進めています。その中でウェットに関する時間が足りずスパの結果に繋がったのかなと思います。そういう意味ではこんなに長くウェット走行できたことはデータ収集上も、自分の自信にも繋がり良かったと思います。」
3番手はTeam ATJ。2’20.545。岩田悟がマークした。今年は鈴木光来、國峰啄磨の3名で臨む。
「チームと良い方向に向かっているし、後輩ライダー二人が積極的に乗ってくれているのでてもポジティブな初日でした。鈴鹿8耐はどんなコンディションになるのかわからないのでウェットコンディションの中でも上位にいなくてはならないと思っていたので良かったと思います。」
ここ数年グンと速さを見せてきたTeam ATJ。チームメカニック・スタッフが全員ATJの社員。しかも人材育成プログラム業務として従事していると言う。
「チーム立ち上げから3年目くらいで”2台体制にしても良いのではないですか“とチームと会社(ATJ)に言っていました。
車やバイクを触れる一流のプロがいるのだから、そういう知識の人たちをレースの場に引っ張ってきたらどんな化学反応を見せるのか面白いと思います、と言ってきました。」
「彼らは車とバイクをいじれるプロだけど“レースと言う時間軸”の中では素人同然です。そんな彼らにレースウィークを通しての動き方・時間の使い方・突然の対処方法、さらにはオンとオフの切り替えなど、レースの現場で経験を積むことで他の部署に行った時に違うステージに上がれると思います、と提案してきました」
岩田の提案・熱意を会社が理解して今年2台体制となった。また、岩田自身もそれだけのことを言うのであればキチンとしたポジションにいなくてはならない、と言う決意もあり、ここ数年結果を残している。
そして、この男が鈴鹿8耐に帰ってきた。6年ぶりのファクトリー復活で大きな反響を呼んだYAMAHA RACING TEAMの中須賀克行。初日はウェットコンディションのため走行しなかったが明日の走行に注目が集まる。
「6年ぶりの鈴鹿8耐。緊張感と楽しみが入り混じっています。ウィングレッドを付けて初めての鈴鹿サーキット。もちろん耐久仕様になっているので車重が重くJSBマシンとの比較はできませんが効果を確認するにはもってこいのテストだと思います。
参戦する以上は優勝、そのプレッシャーはありますが、だからこそしっかりと準備ができると思います。」
そして昨年ワールドスーパーバイク(WSBK)のワークスマシンを持ち込み大きな話題となったDUCATI Team KAGAYAMA。全日本ロードレース第2戦SUGOの事前テストで水野涼が転倒、両肩骨折という大怪我を負い、今回のテストは見送った。炎上して大破したマシンをスペアパーツでなんとか1台組み上げて2台を持ち込んだ加賀山。マシンチェックを込めて加賀山自らがマシンに乗り込んで確認をしていた。午後の走行はレオン・ハスラムが担当した。
明日の予報は曇り。ドライコンディションのテストができるだろう。
鈴鹿8耐合同テスト初日総合上位10位は以下の通り(Racing Heroes独自集計)
1:#30T Team HRC 高橋巧/ヨハン・ザルコ 2’18.962
2:#1T YOSHIMURA SERT Motul 渥美心 2’19.268
3:#40 Team KAGAYAMA 岩田悟/鈴木光来/國峰啄磨 2’20.545
4:#1 YOSHIMURA SERT Motul 渥美心 2’21.149
5:#30 Team HRC 高橋巧/ヨハン・ザルコ2’21.783
6:#17T Astemo Pro Honda SI Racing 野左根航汰/荒川晃大/西村硝 2’22.430
7:#52 NCXX RACING with RIDERS CLUB 1 井手翔太/豊島怜/岡部蓮2’22.713
8:#71T Honda Dream RT SAKURAI HONDA 伊藤和樹/ジョシュ・ブロック 2’22.823
9:0T Team SUZUKI CN CHALLENGE 津田拓也/エティエンヌ・マッソン 2’23.066
10:11T Kawasaki Webike TRICKSTAR グレゴリールブラン/マイク・ディ・メリオ/ロマンラモス 2’23.152
Photo & text : Toshiyuki KOMAI