鈴鹿主催テストセッション2日目。前日同様真夏の暑さとなった。本番とほぼ同じコンディションでテストできたことは良かった、とどのチームも言っていた。しかし暑い。。6月だと言うのにこの暑さは堪える。
夏本番の暑さの中、トップタイムはHonda HRC、2’05.395。イケル・レクオーナがマーク。やはりホンダワークスがアタマひとつ抜き出ている感がある。「一発のタイムは意味は持たない」と言う高橋の言葉通り耐久レースはアベレージが大切。HRCは2分6秒台中盤から7秒台前半でコンスタントにラップしている。それでも高橋自身はまだ納得のいく仕上がりになっていないようだ。
「自分はタイムには拘っていませんが(レクオーナが)タイムを出してくれたことは良いことだしチーム内の雰囲気も明るくなります。ですがまだまだ詰めるところはたくさんあります。今年、東コースの改修によりラップタイムが上がるのは想定できましたし他のチームも上がるはずです。現状のベストタイム付近をもっと多く刻める(周回できる)ようになるのが理想ですね」
今年から変更したオーリンズへの対応もまだ道半ば。良いところを見つけると他が悪くなる、の繰り返しだと言う。
「次にバイクに乗れるのはレースウィーク。圧倒的に時間が足りません。昨年もレースウィークにマシンを乗り換えて良くなったと、と言うこともあるのでウィーク中にアジャストできるようにしたいです。」
「参戦する以上は優勝を目指します。しかも圧倒的な強さを見せて。昨年、ある程度自分たちの強さを見せられたかな、と思っています。だから今年もそれ以上に強くなって勝ちに行きたいと思います」
高橋は満足していないようだがHonda HRCの速さは抜き出ている。今年もどこまでその強さを魅せてくれるのか楽しみである。
総合2番手にはBMWの浦本修充(AutoRace Ube Racing Team)2’05.985。「BMWは速い」と多くのライダーが口にする。先週のテストでもトップタイムで締め括った。今週から耐久仕様となるマシンでどの程度のパフォーマンスを見せるのか注目されたが、やはり速かった。
「BMWは制御がしっかりしているんだなと感じました。耐久仕様にしてもパワーダウン的な感覚があまりありませんでした。最後にガス欠テストして燃費の確認も取れました。これでレースに出られますよ、と言う状態になっています。」
「耐久仕様への変化より(先週に比べて)気温と路面温度の変化の方がキツかったです。ですが鈴鹿8耐前に本番とほぼ同じ環境でテストできたことはすごく良かったと思っています」
アタックして5秒9をマークできるほどのポテンシャルを持っている浦本。このタイムは午前中の暑い時に出したもの。自分が総合トップだと思っていたところにレクオーナが5秒3をマークしたことを悔しがっていた。だが2分7秒台で回れるアベレージは周りのチームにとって脅威となるだろう。
総合3番手はBMWワークス「BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM」2’06.080。2番手・3番手をBMWが占めることからもその速さが窺い知れる。
今年、ヨシムラが速い。総合4番手・5番手に入った。渥美心が2’06.108、ダン・リンフットが2’06.236。
「昨年は2分8秒台、9秒台のラップでしたが今年は6秒台でグルグル回ろうと思えば回れるところまで来ています。」先週のテストで聞いた「新しいコンセプトのセッティング」が効いているのだろうか?
「効果は出てきていると思いますが、それが全てとは言えません。マシン全体として進化していることと、どうやって走らせるかをチームとペアライダーと一緒に考えていることなどいろんな要素の相乗効果だと思います」
加藤陽平監督に聞いたところ、セットアップを詰めているがまだ煮詰まっていないとのこと。特にウェットでのタイムの伸びが今ひとつ。やはり今までとは違う尖った方向へ振ると従来とは違うところに影響が出てくるそうだ。そしてサスペンションをZFに替えるとのこと。このテストで感触が良かったので鈴鹿8耐本番でも使用する。
渥美からも「乗りやすくなりました。信頼できるのでまだいける、と言う安心感があります。」と好感触のコメント。サスペンションの変更はキャラクターによりマシン特性も大きく変わる。その辺りも含めて新たなことにチャレンジしているヨシムラ。今年の鈴鹿8耐での躍進が期待できる。
水野涼が帰ってきた。と言っても走ったわけではなくピットにその姿を現した。全日本ロードレースSUGOの事前テストで負った右肩骨折はまだ完治しておらず、鈴鹿8耐本番に向けて懸命に今はリハビリに励んでいる。
今回のテストは「代役・俺」の加賀山就臣に加えて2023年に生形秀之のS-PULSE DREAM RACING・ITECから参戦したマルセル・シュロッターが走行。2’06.527をマークする速さを見せた。
これで事前テストは終了。次の走行はレースウィークの7/30(水)テストセッション。今年も猛暑の中での開催が予想される。ライダーもチーム関係者も来場するお客様にも厳しいレースとなりそうだ。
鈴鹿主催テストセッション 2日日総合上位10位は以下の通り
1:#30T Honda HRC 2’05.395
2:#76T AutoRace Ube Racing Team 2’05.985
3:#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM 2’06.080
4:#1 YOSHIMURA SERT Motul 2’06.108
5:#1T YOSHIMURA SERT Motul 2’06.236
6:#37 BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM 2’06.415
7:#3 SDG-DUCATI Team KAGAYAMA 2’06.527
8:#7T YART YAMAHA 2’06.913
9:#73T SDG Team HARC-PRO. Honda 2’07.006
10:#30T Honda HRC 2’07.027
Photo & text : Toshiyuki KOMAI