中須賀克行2連勝!91勝目。浦本修充悔しい2位。正真正銘の3位表彰台津田拓也。

2025/05/25

 「同じミスはしない」。さすが中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)。しっかりタイヤマネジメントを行い2連勝を飾る。まさかのマシントラブルに見舞われた浦本修充(AutoRace Ube Racing Team)がしっかり2位。そして幻の表彰台となった津田拓也(Team SUZUKI CN CHALLENGE)が正真正銘の3位表彰台を獲得した。

中須賀はこれで最高峰クラス通算91勝目。昨日は記念すべき90勝目であったが記録には興味がない。目の前の1勝を獲りに行く、それだけ。その結果として記録が付いてくる。勝利への執着心は人一倍強い。

前日からの雨は止んだものの路面はなかなか乾かず2時からのレース2はところどころウェットパッチが残る非常に難しいコンディション。全車ドライタイヤでグリッドに付く。

ホールショットは野左根航汰(Astemo Honda Dream SI Racing)、しかし2コーナーの進入で転倒。早々に戦線離脱した。
「集団の中にいるとウェットパッチのあるラインを通るのでリスクが高い。序盤のペースには自信があったので前に出て引っ張ろうと思って2コーナーに進入したのですが、ウェットパッチに乗ってしまいフロントから切れ込んでしまいました。感覚的にはほんの数cm膨らんだだけなのですが」

昨日の野左根のペースなら優勝争いに絡んでくると思っていたのだが残念。

トップに立ったのは長島哲太(DUNLOP Racing Team with YAHAGI)。

「1周目にトップで帰ってこられなかったらキツイと思っていたので早い段階でトップに立って後ろを引き離そうと思っていました」

コメント通り1周目のラップタイムは後続より約2秒も速い。ダンロップタイヤの暖まりの良さを活かして一気に後続との差を広げる作戦だった。

2番手に浦本が上がる。「序盤の長島選手のペースは付いていくのがやっとなくらい速かったです。抜こうとしてラインを変えるとウェットパッチがあるので抜くことができませんでした」

5周目に入ると長島を先頭に浦本、中須賀、岩田悟(Team ATJ)、伊藤和輝(Honda Dream RT SAKURAI HONDA)の5台のパックとなる。

ここで3番手の中須賀は考えていた。「序盤に浦本君がトップでハイペースで逃げられると昨日と同じくタイヤを使ってしまう。今日は我慢のレースになると思っていたので、(長島)哲太の後ろでマネジメントしながら浦本君をブロックするために一度前に出ました」と、5周目のシケイン進入で浦本の前に出る。

一方の浦本。「序盤は長島選手の後ろにいましたが中盤あたりから“自分の方がペースが速いな”と思って前に出て自分のペースで走ろうと思いました」と、10周目のバックストレートで長島を捉えてトップに浮上する。と、同時に中須賀も2番手に浮上、長島は3番手にドロップダウン。

浦本の背後についた中須賀。「浦本君の後ろで走るのが初めてで最初はリズムを掴むのに苦労しました。ペースも速かったし。ですが前半にある程度タイヤマネジメントできていたので多少無理しても大丈夫だという確信はありました。さらに浦本君のタイヤの右側が荒れてきているのが見えたので“昨日の自分と同じだ”と確信して抜きどころを考えていました」

スタートダッシュを決めて2番手まで上がったが2周目には6番手までドロップダウンした津田。ストレートの速さでは他車に遅れを取っているのでコーナーで抜く戦い方をしていたがコーナーにウェットパッチが残っているとトラクションが効かず抜けてしまう症状に苦しんでいた。「ストレートでもコーナーで為すすべもなくズルズルと順位が下がってしまいました」

しかしレース中盤、事態が好転する。路面コンディションが回復してウェットパッチが無くなってきた。そうすると津田の戦い方であるコーナー勝負ができるようになる。

「ラップタイムペースも上げられるようになり、一台一台確実に仕留めていくことに集中しました」

その言葉通り、岩田、鈴木光来(Team ATJ)、長島を交わして4番手に浮上、19周目には激しく競り合っていた伊藤をパスして3番手まで浮上してきた。

浦本と中須賀のトップ争い。18周目の馬の背コーナーで浦本がミス。進入でスライドしてしまい膨らんだ、その隙を逃すはずがなく中須賀がトップに浮上。すると一気にスパートをかけて1分26秒2まで上げてきた。浦本はタイヤが厳しく付いていけない。みるみる差が広がる。中須賀はなんとファイナルラップに26秒フラットのファステストラップをマークしてSUGO2連勝を飾る。

「今日は昨日以上に路面コンディションが不安定で難しかったです。そんな中、昨日の反省を活かしてタイヤマネジメントできた結果レースをコントロールできたかなと思います」と中須賀。我慢のレースにすると決め、その戦略に則ってレースをコントロールするところが中須賀の凄いところ。同じ轍は踏まない。

2位の浦本。「もちろん昨日あんなことがあったから2位表彰台は嬉しいですが、見た目以上に中須賀さんとの差は大きいと感じました。開幕戦ではぶっつけ本番みたいな中での表彰台で嬉しさ半分、悔しさ半分でしたが、今回は開幕戦よりも悔しさが大きいです」

3位の津田。「ウェットパッチに乗った時のトラクション不足、コーナリング速度が上げられないことはレースに参加しないとわからなかったことなのでそう言う意味では参戦して良かったと思います。鈴鹿8耐に向けて非常にポジティブな週末だったと思います」

二人とも昨日のレース1で悔しい思いをしたがレース2では雪辱を果たした。

 

 

これで今シーズンの前半戦を終えた。鈴鹿8耐に参戦しないチームは2ヶ月間のインターバルとなる。多くのチームが鈴鹿8耐に参戦するのでその間にマシンのセットアップを詰めることができるだろう。

次戦8月のもてぎで勢力図が変わるのか、それも楽しみである。

全日本ロードレース第2戦SSUGO 決勝レース2 上位10位の結果は以下の通り

1:#1中須賀克行YAMAHA FACTORY RACING TEAM
2:#3浦本修充AutoRace Ube Racing Team
3:#7津田拓也Team SUZUKI CN CHALLENGE
4:#9伊藤和輝Honda Dream RT SAKURAI HONDA
5:#30鈴木光来Team ATJ
6:#8岩田悟Team ATJ
7:#10長島哲太DUNLOP Racing Team with YAHAGI
8:#11関口太郎SANMEI Team TARO PLUSONE
9:#13児玉勇太Team KODAMA
10:#20津田 一磨Team BabyFace

Photo & text:Toshiyuki KOMAI